物やゴミをため込んでしまって、手がつけられないほどのものやゴミが溜まってしまった家のことを「ゴミ屋敷」と言います。
その名のとおりゴミが溜まっている屋敷なので、そこから発生する健康被害が心配になっている人もいるのではないでしょうか。
「兄が一人暮らししているが、片付けができず家がゴミ屋敷化している。」
「親がゴミ屋敷に住んでいるが、虫やネズミがたくさん出ているらしい。健康は大丈夫なのだろうか。」
と、ゴミ屋敷に住むことによる健康被害を心配している方もいるかと思います。
実際に、ゴミ屋敷に住むことは、健康面にとても悪い被害を及ぼします。具体的には、次の8つの健康被害のリスクがあります。
ゴミ屋敷に住むと起こる健康被害
直接的な健康被害 | 間接的な健康被害 |
---|---|
ぜんそく | うつ病など精神疾患の悪化 |
アレルギー | 運動不足による体力低下 |
食中毒 | ゴミの倒壊によるケガ |
その他感染症 | 火災発生によるやけど |
虫やネズミの発生による直接的な病気のリスクがあるだけでなく、ゴミ屋敷に住むことから派生する、付属的な健康の被害のリスクも多くあります。放置すると死に至る可能性まである、恐ろしい環境です。
さらに、ゴミ屋敷を放置すればするほど、上記の健康被害だけでなく、さらに深刻な問題を引き起こす可能性もあります。
▼ゴミ屋敷を放置すればするほど発生する深刻な健康被害
- セルフネグレクト化しゴミ屋敷がさらに悪化
- 子どもが学校でいじめられ心に傷を負う
- 火災が発生し死に至る可能性もある
- 近隣住民に健康被害が及ぶ
この記事ではゴミ屋敷の健康被害や、さらにその先に起こりうる深刻な健康被害について、事例を踏まえながら具体的に解説をしていきます。
実際にリスクのある健康被害やその実例を知ることで、どれだけ危険な状況にあるかを理解しましょう。
危機的状況であることが理解できたら、次はゴミ屋敷の片付けです。片付けや清掃をするために具体的にどうすればいいのかを知っていきましょう。
記事の後半で、「自分で片付ける方法」と、「プロの清掃業者に頼む方法」を併用するやり方を、ポイントをおさえて説明していきます。
ゴミ屋敷に住むことによる健康被害がどれだけ深刻なものかを理解し、ゴミ屋敷を清掃することで、キレイな家での健康的で心地よい生活を取り戻しましょう。
Contents
1.ゴミ屋敷に住むと起こる健康被害
ゴミ屋敷に住むことによる健康被害は、大きく2つに分けることができます。
1つ目は直接的な健康被害です。
直接的な健康被害とは、ゴミ屋敷にいる害虫や生き物、ほこりなどから発生する直接的な被害です。
2つ目は間接的な健康被害です。
間接的な健康被害とは、ゴミ屋敷に住むことにより物理的に影響を受けて健康に被害があるわけではありませんが、ゴミ屋敷に住むことによる精神的なダメージや生活環境の変化により発生する被害です。
ゴミ屋敷に住むと起こる健康被害は、具体的に次の8つです。
ゴミ屋敷に住むと起こる健康被害
直接的な健康被害 | 間接的な健康被害 |
---|---|
ぜんそく | うつ病など精神疾患の悪化 |
アレルギー | 運動不足による体力低下 |
食中毒 | ゴミの倒壊によるケガ |
その他感染症 | 火災発生によるやけど |
それでは一つ一つ具体的に見ていきましょう。
1-1.直接的な健康被害
ゴミ屋敷に住むことにより、次の4つの直接的な健康被害に悩まされることになります。
1-1-1.ぜんそく
ゴミ屋敷に住んでいると起きる1つ目の健康被害はぜんそくです。
ぜんそくとは、気管支喘息とも呼ばれ、発作的に咳が出る病気のこと。原因は、ハウスダストやダニ、 ほこりなどの小さな細かい粉のようなものが 気道に入り、炎症を起こすことから発生します。
ゴミ屋敷には、たくさんのハウスダストやほこり、ダニ・ゴキブリなどの害虫のフンが家の中に潜んでいます。そういったものが息を吸う時に気道に入り、炎症を起こしぜんそくになってしまう可能性があります。
症状は咳だけでなく、たんが出たり、息苦しくなったりと、日常生活においてぜんそくがあると、なかなか落ち着いて過ごすことができません。
そういった症状があるにもかかわらず、ゴミ屋敷に住み続けると、ぜんそくが起こる頻度が高くなったり、さらに症状が悪化したりすることになります。
1-1-2.アレルギー
ゴミ屋敷に住んでいると様々なアレルギーにも悩まされることになります。
アレルギーには様々な種類がありますが、ゴミ屋敷に住んでいることで発生しうるアレルギーは次のようなものがあります。
●ゴキブリアレルギー
ゴミがたまるとゴキブリが出てきます。そのフンが人間の体内に入ることにより、アレルギー反応を引き起こします。
● ダニアレルギー
衣類に発生しやすいと言われるダニの死骸やフンが人間の体内に入ると、アレルギーになります。
● ハウスダストアレルギー
掃除をしないことにより、ほこりがたまり、それが人間の体内に入り、アレルギーを起こします。
アレルギーの症状も、原因や体質によってさまざまですが、代表的には以下の症状があります。
- 鼻水
- くしゃみ
- せき
- のどの痛み
- アトピー性皮膚炎
体内に害虫の死骸やフンが入るのはとても不衛生な上に、一年中こういった症状が続くと、イライラもたまり、やる気を失うことにもつながります。
1-1-3.食中毒
ゴミ屋敷に住むことで、食中毒になるリスクもあります。
食べかけの食事や、空のお弁当が家の中に放置されると、ゴキブリやネズミが発生します。
外からやってきたゴキブリやネズミは、ゴミ置き場や下水の中を歩いた後に家の中へ入ってきます。それだけでなく、家の中でも、お風呂の排水溝やキッチンなど、たくさんの菌や汚れがある所へ入り進み、そのまま室内へ菌を持ちこみます。
その菌が人間の体内に入ると、食中毒を引き起こします。
ゴキブリやネズミによって運ばれてくる、食中毒を引き起こす菌には、以下のようなものがあります。
- サルモネラ菌
- 赤痢菌
- O-157
食中毒になると、主に次のような症状が発症します。
- 腹痛
- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
腸の中で菌が繁殖することにより、辛い症状が待っています。
下痢や嘔吐を繰り返すことで、菌を体の外に出そうとするため、こういった症状がおきます。
菌が体内に入ると、胃の機能が低下してしまうため、ご飯を食べる気も起きず、吐くばかりでどんどん痩せほそり、体力も低下していくケースもあります。
1-1-4.その他感染症
同じくネズミや害虫、カビの菌が原因で、他の感染症になる可能性もあります。
●ツツガムシ病
ツツガムシというダニに刺されることで、発熱や発疹が現れます。基本的には屋外で見られるダニですが、ネズミの体にくっついていることもあるため、ネズミを介して部屋の中へ持ち込まれることがあります。
●アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
カビを吸い込むことで発症する感染症です。通常、健康な人はかかりにくいですが、肺が弱っている人や高齢者はリスクがあります。
主にぜんそくのような症状ですが、重症化すると血痰や発熱といった症状が出ることもあります。
●ダニ媒介性脳炎
マダニに噛まれると発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感といった症状が発症します。その後に、痙攣や麻痺、意識障害といった症状につながります。
日本ではまれなケースですが、可能性はゼロではありません。
ゴミ屋敷に住んでいると、ネズミやゴキブリなど外から入ってくる害虫が、どういった菌を持っているかわかりません。普通の生活環境で起こる病気のレベルではなく、深刻な病気をもたらす可能性もあります。
1-2.間接的な健康被害
一方、ゴミ屋敷に住むことによる精神的なダメージや生活環境の変化により発生する、間接的な健康被害は次の4つが挙げられます。
1-2-1.うつ病など精神疾患の悪化
うつ病などの精神疾患をもともと持っている人は、ゴミ屋敷に住むことでさらに症状が悪化することがあります。
もともと、ゴミ屋敷と、うつ病などの精神疾患には深い関係があるとされています。
仕事のストレスなどでうつ病を発症した人が、全てに対し無気力になり、家の片付け・掃除という普通の生活ができなくなり、家がゴミ屋敷化してしまうのです。
そこから、家がゴミ屋敷になることでさらに精神的ストレスを溜め込み、何をするにも気力がどんどん起きなくなり、もっとゴミが溜まっていってしまう、という悪循環に陥ってしまいます。
そしてゴミ屋敷が悪化し始めると、さらにどこから手をつけたらいいか分からなくなり、どんどんと放置し、さらにその溜まっていくゴミを見てさらに憂鬱な気分が増加していく….という精神疾患の悪化につながります。
1-2-2.運動不足による筋力低下
ゴミ屋敷に住むことで、運動不足による筋力の低下のリスクもあります。
ゴミ屋敷に住むと、家の中にどんどんゴミが溜まり、足の踏み場もなくなっていきます。
家の中を歩く事はおろか、外の人からもどういった目で見られているかわからないと言う精神的不安に陥り、外出することさえも億劫になってしまいます。
そうなると、家の外でも中でもほとんど歩くことがなくなり、体の筋力がどんどん低下し、体力ががくんと落ちてしまいます。
例えば、病気のためベッドの上で安静にしなければいけない人は、約3週間で60%もの体力が落ちてしまいます。
そして、1日安静にしていて落ちた体力を回復するには1週間のリハビリが必要で、1週間安静にしていて落ちた体力を回復するには1ヶ月のリハビリが必要になります。
ゴミ屋敷に住んでいる人は、ベットの上で安静にしている人よりは動いているはずなので、実際にここまで体力の低下が早いわけではありませんが、体力が一度低下すると、取り戻すのに長い時間がかかってしまいます。
1-2-3.ゴミの倒壊によるケガ
ゴミ屋敷の中のゴミが倒れてきて体に当たり、ケガを負ってしまうというリスクもあります。
ゴミ屋敷に住む人はなかなか物が捨てられないため、ものがどんどんたまってしまい、家電製品などを大きく重ねてまとめていたり、たくさんのゴミをどんどんと上に重ねて保管している状態です。
そうなると、積み重ねられたゴミがいつ倒れてくるか分かりません。高く積み上げられた家電製品などがあるきっかけで倒れてきた場合、頭などに落ちてしまうと大きなケガにつながります。
また、ものがたくさんあり、足の踏み場もない状態で家の中を歩いていると、思わぬものを踏んで足をケガする可能性もあります。
1-2-4.火事発生によるやけど
ゴミ屋敷に住むことで、火事が発生しやけどを負うリスクもあります。
ゴミ屋敷にはものが大量にあるため、少しでも火がついてしまうと、止める間もなくどんどん燃え盛ってしまう傾向にあります。なのでゴミ屋敷は火災の発生がリスクが大きいのです。
- タバコの火が消えていなかった
- ガスコンロを使おうとしたら、キッチンにものやゴミがたくさんあり火が広がってしまった
- ゴミ屋敷の近くに住んでいることで迷惑を被った近隣の人が放火した
といった、さまざまな原因や背景から、火災が起きる可能性があります。
一度火災が起きてしまうと火がどんどん広がり、逃げる時間がないため、やけどや一酸化炭素中毒など火災による健康被害を負う可能性があります。
2.健康被害につながるゴミ屋敷の事例
では実際にこういったゴミ屋敷による健康被害は、どういった状況下で発生しているのでしょうか。
ここではゴミ屋敷に住んでいる人たちの実際の事例を、 起こりうる健康被害ごとにご紹介します。
関東部会投稿フォーマットと大阪市の事例を見ていきましょう。
2-1.ぜんそくやアレルギー、食中毒、感染症につながる事例
ぜんそくやアレルギー、食中毒、感染症といった、ゴミ屋敷に住むことによる直接的な被害は、食べ物が放置されて腐っている、動物が住み着いているなど、衛生環境が悪い場合に起こります。
こういった健康被害が起きる可能性のある、3つの実際の事例を見ていきましょう。
ケース①ごみが山積みで、悪臭がひどい
市営住宅に住む、一人暮らしの83歳の高齢者。
認知症および精神疾患の疑いがある。
部屋の中は、足の踏み場もないくらいごみが山積みになっており、悪臭がひどい状態であった。
起こりうる健康被害
・ぜんそく ・アレルギー ・食中毒 ・感染症
「悪臭がひどい」ということは、食べ残した食材や空の弁当容器などが捨てられず、腐っていると考えられます。
食べ残した食材があると、ネズミやゴキブリが寄ってきます。
そのフンや菌から、ぜんそくやアレルギー、食中毒、感染症になる可能性があります。
ケース②冷蔵庫や冷凍庫の中にもゴキブリが発生
妻と夫の2人暮らしの家庭。
家の中に、過去の洋裁時の布切れ、道具等が山積みになっている。
ゴキブリが大量発生しており、近所からも苦情が出ているほどである。
さらに、冷蔵庫や冷凍庫の中にまでゴキブリがいる状態。
起こりうる健康被害
・ぜんそく ・アレルギー ・食中毒 ・感染症
冷蔵庫や冷凍庫の中にまでゴキブリが発生している、さらに近所の人からも苦情が出るほどのゴキブリが発生している、という状態から、家の中の衛生状態はとても悪い状態であると考えられます。
そうなると、ゴキブリのフンなどからくるぜんそくやアレルギーだけでなく、ゴキブリが持っている菌から食中毒や感染症になる可能性が高くなります。
ケース③猫が20匹おり、ノミ、ダニ、ゴキブリが発生
30歳代女性の母親と、子供4人の母子家庭。生活保護を受給しており、賃貸住宅に住んでいる。
猫が20匹いることから、ノミ、ダニ、ゴキブリ等が発生しており、衛生上問題あり。
裏口に衣服やごみが放置されている。
参考:大阪市 ゴミ屋敷に関するアンケート結果より
起こりうる健康被害
・ぜんそく ・アレルギー
20匹もの猫が家にいることにより、大量のノミやダニが発生している状態です。
ノミやダニはハウスダストの原因となり、アレルギーから、ひどい時はぜんそくまで引き起こすことがあります。
2-2.運動不足による筋力低下につながる事例
運動不足から筋力低下につながるケースは、ごみがたまりすぎて足の踏み場がなく、歩くことがなくなる状況で起こります。
物を大量にためてしまった実例を見てみましょう。
ケース①ためこみ癖があり、家の外まで物が溢れていた
一人暮らしの高齢者。
色んな物を拾ってきて家に置いておくので、家の外まで物があふれている状態。
ためこみが始まってから数年後に脳梗塞を発症。
参考:関東部会投稿フォーマット
考えられる健康被害
・運動不足による筋力低下
ものをため込んでしまうタイプのこの高齢者は、家の外までものが溢れていたという状況から、家の中には足の踏み場がなかったことが予想できます。
そうなると、家の中で歩くスペースもなく、ゴミに埋もれて限られたスペースの中で生活することで、極度の運動不足になっていたことが考えられます。
その結果、運動不足による筋力の低下が起きていた可能性があります。
2-3.ゴミの倒壊によるケガにつながる事例
物があふれ返り、さらにその中でも、家電や家具など大きなものも混沌と乱雑に置かれているパターンのゴミ屋敷では、そういったごみが倒れてきて、ケガにつながる被害が考えられます。
ケガが起こりかねない実例を2つ見ていきましょう。
ケース①物があふれ返り、大型の電気製品が5,6台ある
一人暮らしの高齢者。
シンクや浴室にまで物が溢れかえり、使えない状態。大型の電気製品が 5~6 台あり。
その後、入院して統合失調症と診断された。
参考:関東部会投稿フォーマット
考えられる健康被害
・ゴミの倒壊によるケガ
シンクや浴室にまで物があふれている状態で、さらに大型の電気製品が5,6台あるというということは、これらの電化製品は、ゴミと一緒に乱雑に家の中に置かれていたのではないかと推測できます。
ゴミや他の物の上に、テレビなどの大きくて重い家電が置かれていた場合、何かのはずみでテレビが落下してきて、居住者の上に落ちてくると、大きなケガを負ってしまうリスクがあります。
ケース②古い家具や壊れた家電等が混沌と部屋中を埋め尽くしている
80歳の一人暮らし男性。3LDKの持家マンション在住。アルコール依存症および認知症の診断あり。
古い家具や壊れた家電、書籍、衣類、寝具など、さまざまなものが部屋中を埋め尽くし、床が見えない状態。
本人は着衣の汚れが目立ち、入浴もできていない様子。
考えられる健康被害
・ゴミの倒壊によるケガ
家具や家電、寝具などさまざまなものが部屋中を埋め尽くしている状態ということは、全く整理されておらず、さまざまなものが乱雑に置かれている状態が想像できます。
家具や家電といった大きなものが上の方に積まれている場合、何かのはずみで落下し、居住者に当たったら、大きなケガを負う可能性があります。
3.ゴミ屋敷を放置すればするほど健康被害が拡大
実際に発生しているゴミ屋敷の事例から、健康被害が発生する可能性のあるケースが多くあることが分かりました。
こういったアレルギーや喘息などの病気にかかる事はとても辛いですが、それを放置したままにするとさらに大きな健康被害につながってしまいます。
具体的には次の4つのようなことが起きます。
- 「セルフネグレクト」という心の病になる
- 子どもが学校でいじめられ心に傷を負う
- 火災が発生し、死に至った実例も
- 近隣住民に健康被害が及ぶことも
精神疾患や子どもの精神衛生にまで被害が及ぶと、病院に通って薬をもらう程度では治せない病気になってきます。
さらには、死にまで至る、もしくは近隣住民にまで迷惑をかけるというように、被害がどんどん拡大してしまい、手に負えなくなります。
具体的に見てみましょう。
3-1.「セルフネグレクト」という心の病になる
ゴミ屋敷に住み続けていると「セルフネグレクト」という心の病になってしまう可能性があります。
「セルフネグレクト」とは、次のような状態のことをいいます。
『セルフ・ネグレクト』とは、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い、周囲に助けを求めない状態を指します。
引用:NHK福祉情報サイト ハートネット「“セルフ・ネグレクト” その実態とは?」
セルフは「自分」、ネグレクトは「無視」という意味の通り、自分自身のことを無視し、自分の健康や生活に対し気力を失い、何もしなくなってしまうのです。
東邦大学大学院看護学研究科の岸恵美子教授の調査によると、全国には9,381~12,190人ものセルフネグレクトの高齢者がいるのではないかとされています。
ゴミ屋敷とセルフネグレクトは大きく関係しているとされています。
ゴミ屋敷に住み、ゴミが溜まり普通の生活がどんどんできなくなっていくことで、「もういっか」と気力をなくしてしまい、さらにゴミ屋敷が悪化していくことになります。
セルフネグレクトになると全ての気力を失い、自分のことを気にかけなくなります。周囲へ助けを求めることもなくなり、最悪の場合、孤独死に至るケースも考えられます。
3-2.子どもが学校でいじめられ心に傷を負う
ゴミ屋敷に住んでいる人に家族がいる場合、子供がいる場合、その子供がゴミ屋敷に住んでいることで、学校でいじめられて心に傷を負うケースもあります。
ゴミ屋敷に住んでいると、どうしても大量のゴミから発生するにおいが服に染みつきます。
洗濯機周辺もゴミでいっぱいだったり、洗濯物を干す場所がなかったり、という理由で、服を洗濯できず、何日も同じ服を着ている傾向があります。
この状態で子どもが学校へ行くと、明らかに普通の家に住んでいるのではないことが周りから見てわかります。
それにより、子どもが学校でいじめられてしまう可能性があります。いじめられた子どもは心に深い傷を負い、これから先の人生に支障をきたす可能性があります。
3-3.火災が発生し、死に至った実例も
ゴミ屋敷で火災が発生し、実際に死に至ってしまった実例があります。
2016年、福島県郡山市で火災が発生し、そこに住んでいた男性とみられる住人が亡くなりました。この家はゴミ屋敷として以前から知られていました。
事故が起きる前から、火災のリスクがあるとして近隣住人から報告されており、火災発生の少し前にゴミが一旦強制撤去されたばかりでした。
しかしその後、またゴミ屋敷化してしまい、今回の火災事故に至ってしまったと言われています。
健康被害だけでおさまらず、最終的に死亡にまで至ってしまうリスクが、ゴミ屋敷にはあります。
参考:exciteニュース「福島・郡山の「ごみ屋敷」全焼 住民男性死亡か」
3-4.近隣住民に健康被害が及ぶことも
ゴミ屋敷が悪化すると、虫やネズミがどんどん発生していきます。
その数は増え続け、家の中だけではなく家の外へ出て行き、ゴミ屋敷周辺の道や近隣住宅にも虫やネズミが発生し始めます。
虫やネズミが街を歩き回ることで菌がまき散らされ、近隣に住んでいる住民にまで健康被害が及んでしまうことがあります。
4.健康被害を避けるためにはすぐにゴミ屋敷を片付けるべき
ゴミ屋敷に住むことにより、自分の健康を大きく害してしまうのはもちろん、子供や近隣の人にまで迷惑をかけたり、将来に及ぶまで心の傷を負わせてしまうことになります。
- ぜんそくやアレルギー感染症
- やけどやケガのリスク
- うつ病などの精神疾患や、子供が学校でいじめられ心に傷を負う
一度、健康被害を負ってしまうと、また以前の健康状態を取り戻すことは、簡単ではありません。
精神的にやられてしまうと、将来に及ぶまで辛い思いをすることになります。やけどをしたら跡が残りますし、体力が低下したら、回復するのにとても長い時間がかかります。
それだけでなく、医療費もかかってきます。
症状が軽いうちは少額で済むかもしれませんが、重症になればなるほど、治療費もかさんできます。
生きていく上で、健康よりも大切なものはありません。
ゴミ屋敷を片付けるのにとても気力が入る事はよくわかります。しかし、ゴミ屋敷に住んでいる人の、今後の健康被害のことを考えると、長い目で見ても、今すぐゴミ屋敷を片付けた方が良いです。
数ヶ月後、数年後、大きな病気にかかってから、「あの時片付けをしておけば…」と後悔しないためにも、今すぐゴミ屋敷から脱却するのが1番の方法です。
とはいえ、「どこからどう手をつけていいかわからない」「自分で掃除できるのか業者に頼むべきなのかわからない」と、どこから行動に移したらいいか見当がつかない人も多いでしょう。
ゴミ屋敷の清掃方法は、自分で片付ける方法とプロの業者に頼む方法があります。
一度ゴミ屋敷になってしまうと、そう簡単に片付けられるものではありません.。あせらず状況を見て最適な方法をとっていきましょう。
具体的にどういった形で進めるかは次の章で詳しく解説していきますね。
5.ゴミ屋敷の片付けは業者との併用がおすすめ
ゴミ屋敷の清掃方法は、「自分で片付ける方法」と「プロの業者に頼む方法」がありますが、この2つを併用するのがベストです。
なぜなら、「自分で片付ける方法」と「プロの業者に頼む方法」どちらにもメリットとデメリットがあり、どちらか1つだけで済ませようとすると、思ったように清掃ができなかったり、お金がかかりすぎてしまったり、と何かしらの問題が起きてしまうからです。
ゴミ屋敷の片付け | 自分で片付ける方法 | プロの業者に頼む方法 |
---|---|---|
メリット | ・費用がかからない ・プライバシーを守ることができる | ・完璧にキレイになる ・労力がかからない ・健康被害を負うリスクがない |
デメリット | ・労力がかかる ・健康被害を負うリスクがある | ・費用がかかる |
2つの方法を併用することで、両方のメリットを活かして、ゴミ屋敷を清掃するのがベストです。
自分で片付けられるところまで自分で片付け、労力のかかる作業や、健康被害の恐れがある部分は業者に頼むことで、費用をおさえつつ、ゴミ屋敷を完璧にキレイにすることができます。
それでは、清掃方法を2つのステップに分けて、具体的にやり方を確認していきましょう。
▼ゴミ屋敷を片付けるステップ
- STEP1. 自分で片付ける
- STEP2. ゴミ屋敷専門の業者に依頼する
5-1.STEP1. 自分で片付ける
まずは、自分たちでゴミ屋敷の片付けをしてみましょう。ある範囲まで自分たちで片付けることで、後々、プロの清掃業者に依頼する時の費用をおさえることができます。
自分たちでゴミ屋敷の片付けをするときに、闇雲に片付けるだけでは、分類しなければいけないゴミの種類が多すぎたり、作業が一日で終わらなかったりと、心が折れてしまうことがあります。
そこから、「やっぱり自分は片付けができない人なんだ」と落ち込み、精神的な健康被害を引き起こしてしまう可能性もあります。
ですので、自分たちでゴミ屋敷の清掃をする時のポイントは、自分たちで片付ける範囲を決めて行うことです。
まずは小さい範囲を片付ける目標をたてておけば、それを達成できたときに嬉しくなります。 1つの範囲を片付けることができて、まだ続けられそうであれば、もう1つ目標範囲を決めて、進めていくのも良いでしょう。
自分たちで清掃する範囲(例)
- 家中に転がっている弁当箱の空き容器だけをとにかく捨ててみる
- 転がっているペットボトルだけは全部回収してみる
- プライバシーもあるので、衣類だけは自分たちで片付けてみる
- 寝室だけは自分で片付けてみる
など、 無理のない範囲、自分たちでできる範囲を明確に決めておきましょう。
大事なのは、自分たちだけで全部やろうとしなくて大丈夫、ということです。
5-2.プロの清掃業者に依頼する
自分たちで片付けをしてみたあと、これ以上は自分たちの手には負えない!という範囲はゴミ屋敷のプロの清掃業者に依頼するのが確実です。
自分でゴミ屋敷を片付けるのは、規模が大きければ大きいほど困難になってきます。
その点、プロのゴミ屋敷清掃業者であれば多くの経験があり、基本的にはどういったゴミ屋敷でも清掃することができます。
自分たちでできる範囲を決めて片付けてみた結果、これ以上はプロの手を借りた方がいい、というところは、無理せず速やかに清掃業者に相談しましょう。
ゴミ屋敷のプロに依頼する範囲(例)
- ものが多すぎて、ゴミの分別が大変
- キッチンやトイレなど水回りは自分たちの手に負えない
- ネズミや害虫が発生していて、自分たちで片付けると健康被害が心配
- 大きな家具やごみが積み上がっていて自分たちだけで片付けるとケガの心配がある
とはいっても、「他の人にゴミ屋敷を見られるのは恥ずかしい…」という人もいるかもしれません。
ですが、最近のゴミ屋敷の清掃業者は、プライバシーを守る対応もしっかりしているところが多くあります。
- 女性スタッフのみでの対応(女性でも安心)
- 深夜の時間帯での対応(近隣住人に知られることなく対応)
- 立会いなしでの対応(顔をみられたくない人でも安心)
といった状況に合わせた対応も行っている業者も多く、安心して頼むことができます。
全てを自分たちで片付けるといった無理をせず、業者を併用することで、精神的にも無理なく速やかにゴミ屋敷から脱出することができます。
ゴミ屋敷の清掃ならリスクベネフィットにご相談ください
リスクベネフィットでは、ゴミ屋敷の清掃に多くの実績があります。
たくさんのゴミ屋敷を見て実際に作業をして培ったプロならではの技術とスピードで、清掃が不可能なのではないか…と諦めたくなるような家でも、作業後は快適な生活を送ることができる、輝くような家に復元いたします。
ゴミを捨て、ものを片付けるだけではまだまだ不十分。
そのあとの床や壁の清掃まで、しっかり行わせていただきます。
プライバシーが心配な方や、お急ぎの方など、状況に合わせてさまざまなコースをご用意しております。
多くの方に信頼いただいている特殊清掃のプロであり、ゴミ屋敷に関する知識や情報も多く持ち合わせてります。
ゴミ屋敷清掃の実例について、より知りたいという方はこちらも合わせてご覧ください。
お問い合わせは、フリーダイヤルもしくはメールフォームにて受け付けております。
6.まとめ
ゴミ屋敷に住むことは、健康面にとても悪い被害を及ぼします。
具体的には、次の8つの健康被害のリスクがあります。
直接的な健康被害
- ぜんそく
- アレルギー
- 食中毒
- その他感染症
間接的な健康被害
- うつ病など精神疾患の悪化
- 運動不足による体力低下
- ゴミの倒壊によるケガ
- 火災発生によるやけど
こういった健康被害が出ているにもかかわらず、ゴミ屋敷を放置してしまうと、健康被害がさらに拡大し、次のような問題を引き起こします。
ゴミ屋敷が引き起こす問題
- 「セルフネグレクト」という心の病になる
- 子どもが学校でいじめられ心に傷を負う
- 火災が発生し、死に至った実例も
- 近隣住民に健康被害が及ぶことも
健康よりも大事なものなんてありません。
ゴミ屋敷に住んでいる身近な人に、元気でいてもらいたいのであれば、いますぐにゴミ屋敷を清掃しましょう。
大切な人がゴミ屋敷での生活から抜け出し、身体的にも精神的にも健康に生活が送れるよう、この記事がゴミ屋敷解決の助けになることを願っています。