ゴミ屋敷を解消!自治体の対策9つと今すぐ自分でやるべき対策6つ

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ゴミ屋敷を解消!自治体の対策9つと今すぐ自分でやるべき対策6つ

「近所のゴミ屋敷にみんな迷惑しているのに、行政で何か対策を打てないの?」
と疑問や不満に思うこともあるのではないでしょうか。

近所のゴミ屋敷からの悪臭や害虫で多くの人が困っているのに、国や自治体が何も対策をしないことに気をもむことも少なくありませんよね。

実は、現状では、ゴミ屋敷を直接的に規制する法律が整備されていないため、国がゴミ屋敷を取り締まることはできません。このため、今すぐ国がゴミ屋敷に対して何か対策を取ることは難しいといえます。

では行政はゴミ屋敷に対して何もしないかというとそうではありません。国の対策は整っていないものの、地方自治体が地域住民の生活と健康を守るため、独自に「ゴミ屋敷条例」を制定するなどさまざまなゴミ屋敷対策を取っています

この記事では、そうした「地方自治体のゴミ屋敷対策」について具体例を交えて紹介します。

これを読むことで、自治体がゴミ屋敷に対して具体的にどのような対策を取ることができるのか把握することができます。

また、実際のところ、自治体の対策には非常に時間がかかるため、当記事では「今すぐ自分でやるべきゴミ屋敷対策」についても紹介します。

最後まで読むことで、ゴミ屋敷問題を解消するために対策を取ることができるでしょう。ぜひこの情報を活用して、一日も早く快適で安心できる生活環境を取り戻しましょう。

1. 自治体によるゴミ屋敷対策9つ

冒頭でも触れましたが、自治体ではゴミ屋敷問題の解消に向けて自主的にさまざまな取り組みをしています。自治体の取り組みの代表的な例が、ゴミ屋敷への対策を定めた「ゴミ屋敷条例」の制定です。

国や自治体といった行政は、法的な取り決めがないと、問題事象であっても強制的に取り締まることができません。そのため、自治体は、国の法律の範囲内で独自の「ゴミ屋敷条例」を定め、ゴミ屋敷対策を進めています。

とはいえ、ゴミ屋敷条例を定めている自治体は、88市区町村と自治体全体の5%程度です。多くの自治体では、ゴミ屋敷条例はまだ整備できていない状態です。 これらの自治体が「ゴミ屋敷条例」を制定していないからといって、ゴミ屋敷に対して何も対処していないというわけではありません。ゴミ屋敷条例のない自治体も、現行制度下でさまざまな対応をしています。

ここでは、ゴミ屋敷条例のある自治体とゴミ屋敷条例のない自治体とに分けて、それぞれのゴミ屋敷対策について詳しく紹介します。それぞれの自治体の窓口も紹介しますので、問い合わせるようにしましょう。住民からの声があると自治体も動きやすくなり、ゴミ屋敷問題の解消が早まります。

1-1. ゴミ屋敷条例のある自治体の対策6つ

条例は自治体ごとに定めるため、実際には自治体によって条例に含める項目や項目の定義に若干違いがありますが、ここでは一般的にゴミ屋敷条例に含める項目とその定義について紹介します。

①調査

「調査」とは、ゴミ屋敷の状況を確認するために立入調査を行なったり、居住者の親族関係や福祉サービスの受給状況などを調査したりすることです。

調査は、自治体のゴミ屋敷対策の第一歩といえる作業です。通常は調査を踏まえて、その後「指導」や「支援」といった対策が取られます。

②指導・支援

「指導」は、ゴミ屋敷を片付けない居住者に対し、ゴミ屋敷を片付けるように助言および指導をすることです。指導は問題が解消されるまで繰り返し行われます。

「支援」は、ゴミ屋敷を片付けない居住者に対し、ゴミ屋敷を片付けるように支援を行うことです。指導との違いは、支援の場合は「ゴミ屋敷の住人は片づけたくても片付けられない要支援状態にある」という視点に立っていることです。

実際にゴミ屋敷の居住者には、精神的・身体的障害や、経済的な困窮が原因となって、ゴミ屋敷のゴミを片付けられなくなっているケースが少なくありません。「支援」には、ゴミ屋敷の片付け作業を直接的に支援するほか、医療・福祉的支援、経済的支援といったことも含みます。

③勧告

「勧告」は、ゴミ屋敷の居住者に助言や指導を行っても改善が見られない場合に、ゴミ屋敷を片付けるように、厳しめに伝えることです。

指導よりも一歩踏み込んだ厳格な行政措置です。ただし、「命令」ほどの強制力はないため、従わなくても、罰則を適用したり、代執行を適用することはできません。

④命令

「命令」は、助言や指導、勧告などを経てもゴミ屋敷が改善されない場合、ゴミ屋敷の居住者にゴミ屋敷の片付け作業を命令することです。

具体的には、氏名を公表されたり、罰金を科されたりします。罰金は自治体によって金額が異なりますが、5万円以下の罰金とするところが多くみられます。

⑤罰則(氏名公表・罰金)

「罰則(氏名公表・罰金)」は、ゴミ屋敷を片付けるように「命令」されたにもかかわらず、命令に反してゴミ屋敷の居住者が片付けを行わない場合に科される罰則です。

具体的には、氏名を公表されたり、罰金を科されたりします。罰金は自治体によって金額が異なりますが、5万円以下の罰金とするところが多くみられます。

⑥代執行(強制撤去)

代執行とは、ゴミ屋敷の居住者が命令された行為を期限内に行わない場合に、行政が代わりに強制執行することです。行政代執行ともいいます。

具体的な内容としては、ゴミ屋敷の居住者が命じられた期限内にゴミの除去や処分を行わなかった場合に、自治体が代わりにゴミ屋敷の強制撤去を行うというものです。

以上が、ゴミ屋敷条例のある自治体が取るゴミ屋敷への対策です。

【ゴミ屋敷条例のある自治体一覧】(2021年9月現在)

現在、ゴミ屋敷条例を定めている市区町村は以下の88市区町村になります。

北海道:長沼町、妹背牛町、ニセコ町、伊達市、様似町、士別町、東川町、上士幌町、陸別町

青森県:六戸町、五戸町

岩手県:平泉町

宮城県:登米市

秋田県:秋田市、大潟村、東成瀬村、

山形県:河北町

福島県:郡山市

茨城県:筑西市、坂東市、かすみがうら市

栃木県:宇都宮市、栃木市、さくら市

埼玉県:草加市、桶川市、八潮市、三郷市、小川町

東京都:新宿区、品川区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、荒川区、練馬区、足立区、日野市、

武蔵村山市、八王子市

神奈川県:横浜市、横須賀市、鎌倉市

富山県:立山町

福井県:坂井市

長野県:駒ヶ根市、中川村、木祖村、小布施町、高山村

岐阜県:岐南町

静岡県:三島市、袋井市、湖西市

愛知県:岡崎市、豊田市、小牧市、稲沢市、名古屋市、蒲郡市、豊橋市

京都府:京都市、井手町

大阪府:大阪市、泉大津市、茨木市、門真市

兵庫県:神戸市、加東市、猪名川町

奈良県:十津川村

岡山県:総社市

山口県:宇部市

香川県:土庄町、多度津町

福岡県:田川市、八女市、岡垣町

佐賀県:小城市、嬉野市

長崎県:長与町

熊本県:合志市、南小国町、あさぎり町

大分県:杵築市

宮崎県:高原町

鹿児島県:於市

出典:環境庁「平成29年度ごみ屋敷に関する調査報告書」一般財団法人地方自治研究機構「ごみ屋敷に関する条例」

それぞれの自治体の問い合わせ先としては、「ゴミ屋敷対策係」といった専門部署を設けている場合もありますがごく少数です。専門部署を設置していない場合は、住民の生活環境を守る「福祉課」「環境課」といった部門でゴミ屋敷に関する対応をしています。

<問い合わせ窓口>
◎ゴミ屋敷対策課
 ゴミ屋敷対策に特化した部門を設けている場合
◎福祉課
 自治体により、保健福祉課、生活福祉課、生活衛生課など名称が異なる。
◎環境課
 自治体により、環境政策課、環境事業課、環境保全課、まちづくり課と名称が異なる

問い合わせをする際には、ゴミ屋敷対策の専門部署がある場合には専門部署に、そうでない場合は「福祉課」「環境課」などに相談するようにしましょう。

1-2. ゴミ屋敷条例のない自治体の対策3つ

ゴミ屋敷条例のない自治体が取る対策としては、主に下記の3つがあります。

自治体がゴミ屋敷条例を定めていない理由としては、その自治体においてこれまでゴミ屋敷の事案が少なかった、もしくは、全くなかったことが挙げられます。そのため、自治体によっては、ゴミ屋敷の対策に慣れておらず、体制も整っていないケースもあります。

とはいえ、自治体には地域住民の衛生環境を守る役割もあるため、地域住民からゴミ屋敷の苦情が寄せられた場合には、現行制度下で上記のような3つの対応を取ります。以下に詳しく解説します。

①ゴミ屋敷への訪問・見守り・パトロール

自治体では、地域住民からゴミ屋敷の苦情を受けると、そのゴミ屋敷を訪問します。ゴミ屋敷条例がないため住宅に強引に押し入ったり強制的に調査を行ったりすることはできませんが、居住者にヒアリングをし、ゴミを片付けるよう助言をします。

また、訪問を通じて、ゴミ屋敷の居住者に対し、医療面・福祉面・経済面での行政サポートが必要であると判明した場合は、包括的支援・サポート活動につなげます。

状況が改善されない場合は、継続して訪問して見守ったり、住宅周辺のパトロールを行ったりして、改善を促します。

②ゴミ屋敷住人への包括的支援

自治体は、ゴミ屋敷の居住者に対し必要に応じて包括的な支援を行います。

ゴミ屋敷の居住者には、経済的に困窮していたり、加齢や疾患などによる精神的・身体的問題を抱えている人が少なくありません。生活上の問題がゴミ屋敷化の原因となっているケースが多く見られます。

そうした事情が判明した場合、自治体は、居住者に対し、現行制度で行うことのできる医療・福祉的支援、経済的支援など包括的なサポートを行い、ゴミ屋敷問題の改善を図ります。

③住民・警察・消防との連携

自治体は、必要に応じて、近隣住民や警察、消防などと連携してゴミ屋敷問題の解消に働きかけます。

ゴミ屋敷のゴミは、環境衛生上よくないだけでなく、防犯・防災面でも悪い影響があります。ゴミがご近所トラブルを招いたり、道路にはみ出したゴミが通行を妨げたり、大量の可燃ゴミによる火災の心配があったりします。

そうした防犯・防災面で問題が起きないよう、自治体は近隣住民や警察や消防と連携して見守りを強化します。

問い合わせ窓口

ゴミ屋敷条例のない自治体に相談する際には、まず、生活環境に関する相談窓口である

◎暮らし相談窓口
 市民相談、くらし応援室、町民生活課など名称が異なる。

◎福祉課
 自治体により、保健福祉課、生活福祉課、生活衛生課など名称が異なる。

などに相談しましょう。

ゴミ屋敷の悪臭や害虫による被害が大きい場合には、「公害苦情相談窓口」に相談することも想定されますが、「公害苦情相談窓口」では訴訟や調停によって解決を図ることが少なくありません。

さまざまな助言をもらうことはできるものの、相談者が当事者となって問題解決を図るため、相談者の負担がかなり大きくなることに注意が必要です。

2. 自治体によるゴミ屋敷対策の実施例

ここではゴミ屋敷条例のある自治体のゴミ屋敷対策の具体的な実施例を紹介します。

一般的に自治体に対しては、行政代執行といった強制的にゴミ屋敷の撤去を行うことなどを期待しますが、実際には行政代執行はほとんど行われません。実際には代執行以外の方法でゴミ屋敷問題を解決していることが少なくありません。

自治体が行政代執行以外の方法でゴミ屋敷を解決しているといっても、一般的にはイメージがしにくいかもしれません。そのため、ここでは、自治体がゴミ屋敷について実際にどのような対策で解決しているか、具体例を挙げて解説します。

2-1. 実際のゴミ屋敷対策では、「指導」による対応が最も多い

ゴミ屋敷条例のある自治体では主に6つの対策があると述べましたが、それらの対策のうち、もっとも実施されている措置は「指導」です。

出典:環境省 平成 29 年度 「ごみ屋敷」に関する調査

上の図は、ゴミ屋敷条例のある自治体が実際に適用した措置の内容です。最も実施されているのは、「助言・指導」(24.2%)です。次いで「調査」(21.0%)、「支援」(14.5%)と続きます。

一方で、比較的厳しい措置である「命令」まで踏み込んで実施した件数は全体の8.1%と低い水準であることがわかります。さらに、自治体によるゴミ屋敷の強制撤去に相当する「代執行」は、全体の4.8%とほとんど実施されていないことが伺えます。

代執行の対策を多く取らない理由としては、

  • ゴミ屋敷の居住者は身体的・精神的障害を抱えており責任能力に問題がある場合が少なくないため、命令といった順守義務のある措置を執ることは適切ではない。このため、さらに進んだ行政代執行という手段を取ることはできない。
  • ゴミ屋敷の居住者は身体的・精神的・経済的・生活上の問題を抱えていることが多く、この問題を解決しない限り、ゴミ屋敷を強制撤去したところで、元の状態に戻る可能性が高い。
  • ゴミ屋敷の居住者は要支援者であるため、支援を中心に行うべき。

と考えられていることなどが挙げられます。

このため、自治体では、ゴミ屋敷を根本的に解決する策として、「行政代執行」よりゴミ屋敷居住者の「助言・指導」の方が重点的に行われています。

2-2.自治体ごとの個別事例

ここでは、自治体ごとの個別の対策事例を見てみましょう。

具体的には、

  • 多くのゴミ屋敷問題を解決した自治体
  • ゴミ屋敷の強制撤去を行った自治体
  • ゴミ屋敷の居住者に対し経済支援を行っている自治体

の3事例について紹介します。

①東京都足立区「条例制定後10年間で221件のゴミ屋敷を解決」

東京都足立区は、日本で初めてゴミ屋敷条例を定めた自治体です。足立区は、条例に定めた対策を実施し、条例を制定した2013年度から2020年度までに累計221件のゴミ屋敷事案を解決しています。しかし、行政代執行を行なったことは一度もありません。

足立区の施策の具体的内容を見ていきます。足立区がゴミ屋敷問題解消のために、条例に定めたゴミ屋敷の対策は主に下記の5つです。

【足立区が条例に定める対策】

【調査】ゴミ屋敷、土地の所有者に関する調査
【指導・勧告】ゴミ屋敷に居住者への指導・勧告
【氏名公表】指導に従わない場合、ゴミ屋敷居住者の氏名を公表
【命令】指導に従わない場合、ゴミ屋敷居住者に対して改善命令
【代執行】命令に従わない場合、ゴミ屋敷のゴミの強制撤去

出典:【資料】 足立区生活環境の保全に関する条例について (city.adachi.tokyo.jp)

足立区は上記条例に定めた対策で、下記の通り、これまでのゴミ屋敷事案の82.8%を解決しています。

【足立区のゴミ屋敷解決事例】

出典:【資料】 足立区生活環境の保全に関する条例について (city.adachi.tokyo.jp)

足立区では条例にゴミ屋敷の強制撤去を行う「代執行」についても定めていますが、先に述べた通り、実際には代執行を行っていません。他の指導・勧告といった対策で上記のように多くの事案を解決しました。

②京都市「全国初のゴミ屋敷強制撤去を実施」

京都市は、2015年に日本で初めてゴミ屋敷条例に基づき、ゴミ屋敷の強制撤去を行った自治体です。ただし、京都市ではゴミ屋敷の強制撤去までに、数年かけて指導・勧告を繰り返し行っています。

実際の京都市の施策を見てみましょう。京都市が条例に定めるゴミ屋敷対策は下記の通りです。

【京都市が条例に定める対策】

【調査】ゴミ屋敷解消に向けて、事前の立入調査を行う
【支援】要支援の状態にあるゴミ屋敷の居住者に対して支援を行う
【指導】ゴミ屋敷の居住者に必要な指導を行う
【勧告】指導で改善しない場合、居住者に対しゴミ屋敷を片付けるよう勧告する
【命令】居住者が勧告に従わない場合、ゴミ屋敷を片付けるよう命令する
【氏名公表・罰金】居住者が、ゴミ屋敷を片付ける命令に従わなかった場合、罰則として氏名公表、もしくは罰金を科す
【代執行】居住者がゴミ撤去の命令に従わなかった場合、市がゴミ屋敷の強制撤去を行う

京都市は「行政代執行」という厳しい措置を取りましたが、ゴミ屋敷条例に「ゴミ屋敷の居住者は支援の必要な要支援者である」という「支援」の視点を入れたことで注目された自治体でもあります。

実際に、ゴミ屋敷の居住者に支援を行っており、行政代執行を行ったゴミ屋敷の居住者に対しても、強制撤去まで実に6年もかけて繰り返し指導・支援を行っています。

京都市 (2015年代執行実施)

  • 2010年~2015年までの6年間、繰り返し改善指導。
  • 2014年~2015年までの間に約126回の訪問、61回の接触で改善要求。
  • 2015年ゴミ撤去の勧告を行うが拒否
  • 2015年ゴミ撤去の命令を行なうが実施されなかっため行政代執行

行政代執行の直前の1年間には、約60回の面談で改善を要求し、それにもかかわらず応じなかったためやむなく行政代執行に至ったことが伺えます。

京都市が実施したのち、奈良県郡山市、東京都品川区、神奈川県横須賀市、東京都中野区、愛知県蒲郡市でも行政代執行によるゴミ屋敷の強制撤去を行っています。しかし、ほとんどが京都市と同様、行政代執行を決行するまで長期間にわたり、指導・支援を繰り返し行っています。

以上のことから、行政代執行は、指導・支援でゴミ屋敷問題がどうしても解決しない場合にのみ、取られている対策だということがわかります。

③神戸市:ゴミ屋敷の非課税世帯に経済支援最大100万円

神戸市は、2016年にゴミ屋敷条例を制定し、その1年後にはゴミ屋敷事案105件中の約半数を異例のスピードで解決しました。その神戸市のゴミ屋敷条例について特徴的なのは「経済支援」を盛り込んでいることです。

神戸市が条例に定めるゴミ屋敷対策は下記の通りです。

【神戸市が条例に定める対策】

【調査】ゴミ屋敷および居住者に対し必要な調査を行う
【助言・指導】ゴミ屋敷の居住者に向けて、必要な助言・指導を行う
【支援】ゴミ屋敷の居住者に対し、必要であれば経済的支援を行う
【勧告】助言・指導で解決しない場合、居住者に対しゴミ屋敷を片付けるよう勧告する
【命令】勧告に従わない場合、居住者に対し、ゴミ屋敷を片付けるよう命令する
【代執行】居住者がゴミの撤去命令に従わなかった場合、神戸市がゴミ屋敷の強制撤去を行う

神戸市も、条例に「代執行」を定めているものの実施したことはありません。神戸市は、ゴミ屋敷の居住者には、経済的に困窮しているためにゴミの撤去ができない者が多いことに着目し、代執行を行なうよりも、経済的支援を行うことに注目しました。

具体的には、ゴミ屋敷の居住者がゴミの撤去を行う場合には、費用として上限100万円の経済支援を行うようにしました。通常、行政代執行を行なった場合でも、ゴミ屋敷のゴミの撤去費用についてはゴミ屋敷の居住者に負担させる自治体がほとんどのため、これは異例の対策といえます。

また、神戸市は、経済支援によりゴミ屋敷の居住者がゴミを片付けた後も、ボランティアと連携して居住者に対して見守り活動を続け、再度ゴミ屋敷化となることを防いでいます。

このように、神戸市は、居住者に寄り添う経済支援とゴミ撤去後の見守り・サポートによって、ゴミ屋敷を半減させています。

3. 行政のゴミ屋敷対策は非常に時間がかかる

ゴミ屋敷条例の有無にかかわらず、自治体ではさまざまな対策が可能なことがわかりました。ただし、 先の神戸市の事例を除き、自治体の対策でゴミ屋敷問題を解消するまでには、非常に時間がかかるといえます。

実際にゴミ屋敷の居住者は、ゴミ屋敷の片付けを強制する動きに対して警戒心が強いため、自治体の助言・指導に応じるまでにかなりの時間を要します。

先に解説した神戸市で、1年間で約100件の問題を解決したケースがありましたが、これは異例のケースで、ほとんどは、ゴミ屋敷の根本的解決に長い時間をかけて対処しています。

京都市の行政代執行による解決についても6年かかりましたが、他の地域でも問題解消まで数年かかっているケースが少なくありません。また他の自治体では、強制撤去の後も再び同じ居住者によりゴミ屋敷化してしまい、再度対策を行っている自治体もあります。

自治体に早急なゴミ屋敷の解消を求めることは難しいといえます。

4. 今すぐ自分でやるべきゴミ屋敷対策6つ

自治体の対策から、ゴミ屋敷解消に向けての解決策については、強制撤去でなく助言・指導といった注意喚起でも効果的であることが分かりました。ただし、行政によるゴミ屋敷問題の解消には時間がかかるため、ここでは、今すぐ自分でできる対策について紹介します。

具体的な対策項目としては下記の6つです。

自分自身でも、自治体を含め周囲を巻き込みゴミ屋敷に対して注意喚起や働きかけをするようにしましょう。

4-1. 自治体に相談する

近隣のゴミ屋敷に困っている場合には、ゴミ屋敷条例の有無にかかわらず、まず自治体に報告・相談するようにしましょう。

先に自治体の対策は非常に時間がかかると述べましたが、そもそも自治体の対策は、近隣住民からの苦情申請がなければ始動しません。自治体は、ゴミ屋敷居住者の人権を尊重しなければならないため、周囲の生活環境などを侵害していないようであれば、特にゴミ屋敷の居住者の生活に口出しすることはありません。

近隣住民の声がないと自治体はゴミ屋敷解消の対策が打てないため、積極的に相談するようにしましょう。相談先としては下記のような窓口を活用してください。

ゴミ屋敷条例のある自治体:問い合わせ窓口
◎ゴミ屋敷対策課
 ゴミ屋敷対策に特化した部門を設けている場合
◎福祉課
 自治体により、保健福祉課、生活福祉課、生活衛生課など名称が異なる。
◎環境課
 自治体により、環境政策課、環境事業課、環境保全課、まちづくり課と名称が異なる

ゴミ屋敷条例のない自治体:問い合わせ窓口
◎暮らし相談窓口
 市民相談、くらし応援室、町民生活課など名称が異なる。
◎福祉課
 自治体により、保健福祉課、生活福祉課、生活衛生課など名称が異なる。

4-2. ゴミ屋敷が賃貸住宅の場合、管理者に連絡

ゴミ屋敷が賃貸住宅の場合は、物件の大家さんや管理会社に相談するようにしましょう。

住宅の賃貸契約に「近隣住民に迷惑をかけてはならない」という趣旨の条項が設けられていることが多いため、ゴミの撤去や居住者の退去が可能となる場合があります。このため、大家さんや管理会社は、近隣住民がゴミ屋敷による悪臭や害虫被害で迷惑していることを知ると対策を打つことが可能です。

大家さんや管理会社は、自身の保有物件がゴミ屋敷化していることに気づいていない場合も少なくありません。また、保有する賃貸物件がゴミ屋敷化している場合は物件が劣化する可能性が高いため、早めに対策を打ちたいと思う大家さんや管理会社がほとんどです。

そのため、早めに被害状況や苦情を大家さんや管理会社に伝えるようにしましょう。

4-3. ゴミ屋敷のゴミが道路にはみ出している場合、警察に相談

ゴミ屋敷のゴミが道路上にはみ出している場合には、道路交通法違反のため、警察に相談しましょう。

ゴミを道路上に放置することは交通妨害となるため、警察は、道路交通法違反でゴミ屋敷の居住者を検挙することができます。また、道路上にはみ出したゴミを撤去することができます。

ゴミ屋敷内のゴミは、道路交通法違反の対象外のため撤去することはできませんが、問題の一部を解消できるうえ、地域の問題としての注意喚起にもなります。

4-4. ゴミ屋敷の住人がペットを飼っている場合、警察に相談

ゴミ屋敷で多くのペットが劣悪な環境で飼育されているといった場合についても、警察に相談するようにしましょう。

ペットを糞や尿にまみれた劣悪な環境で飼うことは「動物虐待」とみなされ「動物愛護法違反」となり、逮捕や罰金の対象となります。実際に2020年より劣悪な環境でペットを飼うゴミ屋敷の住人が逮捕されるケースが相次いでいます。

ゴミ屋敷の住人が逮捕されると、ゴミ屋敷で飼育されていた動物は動物愛護団体などに保護されます。

ペットの糞尿による被害が大きい場合は、原因となるペットが保護され、現場からいなくなるため、状況を改善することが可能です。ペット保護のためにも、警察に相談するようにしましょう。

4-5. 火災防止に向けて消防署に相談

ゴミ屋敷については環境衛生の問題だけでなく、火災の心配もあります。火災防止のために、消防署に相談することもおすすめです。

実際にゴミ屋敷の火災事故は少なくありません。ゴミ屋敷は、可燃ゴミも多いため自然発火や放火で火災を起こす危険性があります。消防署では、火災予防のためとはいえ、ゴミ屋敷のゴミを強制撤去するような指導はできませんが、地域をパトロールする際にゴミ屋敷周辺を巡回してくれることもあります。

万が一、火災が発生した場合、場所や事情が分かっていると消防署の対処も早いため、消防署に相談するようにしましょう。

4-6. ゴミ屋敷住人の親類・知人に相談する

もし、ゴミ屋敷の住人の身内や親しい知人と話せるようであれば、相談するのがおすすめです。

自治体や警察・消防署にゴミ屋敷の対策を相談した場合は解決までかなりの時間がかかります。それに対して、ゴミ屋敷の住人の親類や知人が対処する場合には、解決が早まるケースが少なくありません。

ゴミ屋敷の住人の身内の判断でゴミを撤去できる場合や、身内や知人の説得でゴミ屋敷の住人がゴミの撤去に応じた場合には、解決がとても早くなります。

ゴミ屋敷の住人がゴミの撤去に前向きになった場合には、特殊清掃会社にゴミの撤去を依頼するとよいでしょう。素人では数日かかるゴミ屋敷の掃除が、短時間ですみます。 ゴミ屋敷問題を短期間で解消することができるため、住民の身内や知人と話ができる場合には積極的に相談するようにしましょう。

5. ゴミ屋敷清掃はリスクベネフィットにご相談ください

ゴミ屋敷の清掃については、ぜひ一度、特殊清掃会社のリスクベネフィットにご相談ください。リスクベネフィットは、ゴミ屋敷の清掃も含めた特殊清掃を専門とする会社です。

リスクベネフィットでは、

  • 業界最安値での対応が可能!
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といった数々のメリットがあります。どの地域の方でも安心してお任せいただけます。

5-1. 業界最安値での対応が可能!

リスクベネフィットは業界最安値を誇っています。

特殊清掃会社の多くは、業界団体に加盟し技術や特殊清掃用具を購入しなければならないため、団体加盟料や技術使用料などの経費が掛かります。しかし、リスクベネフィットは特殊清掃業界のトップランナーとして、技術を提供したり様々な用品を販売したり、ノウハウを提供する側に位置しています。

このため、他社よりも原価を下げることができ、業界最安値を実現しています。

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リスクベネフィットは業界先駆者として、8000件以上の豊富な実績があります。

ゴミ屋敷と一口にいっても、そのゴミの内容はさまざまです。経験豊富なリスクベネフィットでは、生ものから長年蓄積して踏み固められたゴミまで手慣れたスタッフが迅速に対処します。ゴミの分別も適切に対処します。

また、特殊清掃の現場で培った高度な消臭技術や除菌技術により、ゴミ屋敷のしつこい悪臭や病気を招きかねない雑菌の対処も可能です。さまざまなゴミ屋敷の清掃に素早く対処できるため安心してお任せください。

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リスクベネフィットは、全国に拠点を持ち、各地域で地元密着型対応をしています。

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6. まとめ

この記事では、ゴミ屋敷に対して「自治体が行う対策」と「今すぐ自分でできる対策」を紹介しました。自治体の行う対策は以下のようなものです。

自治体のゴミ屋敷対策については、「行政代執行」以外の「指導」や「支援」といった対策が実際には効果を発揮していることも把握できたことと思います。ただし、自治体の対策によりゴミ屋敷問題が解消するまでには非常に時間がかかります。そのため、下記のような自力での対策も取るようにしましょう。

これらの情報を活用して、いち早くゴミ屋敷問題を解消し、安心して過ごせる生活環境を取り戻すようにしてください。

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