一酸化炭素や、アスベスト、ダイオキシン…
火災が起きたときに発生する有害物質というと、このような名前が浮かぶのではないでしょうか。
火災が発生しだけど消火できた、ボヤ程度で済んだ。けれど火災が起きた現場で生活を続けることを不安に思う方もいるかと思います。
「火災後の発生現場って、有害物質があるのかな」
「火がおさまったあとでも、火災現場に入ったら健康に悪いものを体内に入れてしまうんじゃないか」
と、心配している方も多いのではないでしょうか。
実際に、火災によって発生する有害物質は複数あります。
火災時に発生する煙に含まれる有害物質と、火がおさまってからも火災現場に残っている有害物質の2つに分けられます。
◆火災直後に残っている有害物質
- 一酸化炭素
- シアン化水素
- 多環式芳香族炭化水素
◆消火されても、火災後にしばらく残っている有害物質
- アスベスト
- ダイオキシン
こういった有害物質が残っている可能性のある火災現場に足を踏み入れたり、生活を続けてしまうと、有害物質が体の中に入り、健康に被害を及ぼす可能性があります。
この記事では、火災後に残っている有害物質と、それを体内に入れることで引き起こしてしまう健康被害を具体的に解説します。
その危険性が理解できれば、有害物質の除去をする必要があることがわかります。
でも、有害物質の除去はどうやって行うの?と疑問に思うでしょう。
結論は、火災現場清掃業者に依頼するのが安心です。
でも、火災現場業者ってどうやって選ぶの?という方のために、記事の後半では、火災現場清掃業者を選ぶ際におさえておくべきポイントも3つご紹介します。
- 火災直後の有害物質を分解してくれる
- ダイオキシン濃度の測定をしてくれる
- 石綿含有量調査をしてくれる
この記事を読むことで、有害物質の恐ろしさを知り、自分の健康を守るため、できるだけ早く火災後の有害物質を取り除き、安心して生活できるようにしていきましょう。
Contents
1.火災直後に残っている有害物質とその健康被害
火災直後の火災現場には、まだ煙が残っていることがあります。
火災によって発生する煙には、多数の有害物質が残っているので注意が必要です。
また、煙の発生がおさまっていても、しばらく火災現場に残る有害物質もあります。
そのような状況の中で、片付けのために跡地に入っていいのか、そもそも火災の後に安全に暮らせるのか、どのような有害物質が残っているのか心配になりますよね。
火災現場に残る主な有害物質と、その症状や健康被害は、次の通りです。
火災直後に残る有害物質
有害物質 | 症状・健康被害 |
---|---|
一酸化炭素 | ・頭痛 ・めまい ・嘔吐 ・呼吸困難 ・全身けいれん ・昏睡 |
シアン化水素 | ・頭痛 ・めまい ・無呼吸 ・全身けいれん ・昏睡 |
多環式芳香族炭化水素 | ・がん ・変異原生 (遺伝子に変化をもたらす) ・内分泌かく乱作用 (内分泌系に影響をもたらす) ・呼吸器系の影響 (気管、気管支、肺胞へ沈着し、呼吸器に影響する) |
火災後しばらく残る有害物質
有害物質 | 症状・健康被害 |
---|---|
アスベスト | ・肺がん ・中皮腫 (胸痛、せき、大量の胸水による呼吸困難や胸部圧迫感、腹水貯留による腹部膨満感、腹痛、食欲低下、腹部のしこり) ・石綿肺 (息切れ、運動能力の低下、重度の息切れや呼吸不全、肺性心) |
ダイオキシン | ・肺がん ・生殖器官の重量や精子形成の減少 ・免疫機能低下 ・甲状腺機能の低下 (無気力、疲労感、動作緩慢、記憶力低下、便秘) |
このように、火災現場にはたくさんの有害物質が残っており、どのような健康被害が起きるかわかりません。
そのため、焼け跡に入ることは絶対に避けて、専門の業者に任せるべきです。
次の章からは、これらの物質について、詳しく解説していきましょう。
2.火災後も残っている有害物質とその健康被害
一酸化炭素は、火災直後の煙に残っている可能性がある有害物質です。
大量に摂取してしまうことで、最悪の場合、死に至ることもあります。
【一酸化炭素による健康被害】
このような健康被害を絶対に回避するためにも、有害物質である一酸化炭素について、詳しく見ていきましょう。
2-1.一酸化炭素とは
一酸化炭素とは、炭素が燃焼するときに、不完全燃焼が起こり発生する気体です。
通常、炭素が燃焼すると二酸化炭素になりますが、酸素が少ない場合不完全燃焼が起こり、二酸化炭素ではなく一酸化炭素になります。
強い毒性を持った成分で、無味無臭のため、空気中に混ざっていても気づかないという怖さがあります。
炭素が燃えることによって発生するガスなので、火が消されれば、発生自体はおさまります。しかし煙として火災現場に滞留している可能性もあるので、火が消えたあとは完全に安全だとは言い切れません。
2-2.一酸化炭素による健康被害
一酸化炭素による健康被害は、煙を吸い込むことによって発生する「一酸化炭素中毒」です。
一酸化炭素が体内に大量に入ることによって、血液の中のヘモグロビンが、酸素を全身へ運ぶ働きができなくなり、 脳細胞に酸素が行き渡らなくなります。 それによって、酸欠になり、次のような症状を引き起こします。
- 頭痛
- めまい
- 嘔吐
- 呼吸困難
- 意識障害
吸い込む量や濃度によって様々ですが、濃度の高い一酸化炭素を吸い込んでしまうと、一瞬で昏睡状態になってしまうこともあるくらい、危険な気体です。
次のデータは、消防庁が発表した、平成30年の日本国内の火災による死因別死者発生の状況です。
参考:令和4年版消防白書「建物火災の死因別死者発生状況」
なんと、住宅火災で亡くなる方の3割が、焼死ではなく、一酸化炭素中毒が原因となっています。
消化された後の火災現場であれば、そこまで濃度の高い煙が残っている事はまれですが、それでも少しでも吸い込んでしまうと、中毒症状が出る可能性がないとは言い切れません。
ですので、火災直後の現場には、できる限り足を踏み入れないようにしましょう。
一酸化炭素中毒の被害を避けるには
- 絶対に現場に立ち入らない
- 現在現場に居る場合は、窓を全開にし、できるだけ低い姿勢で離れる
※その際、タオルやハンカチなどで、口と鼻を覆う
3.【火災直後に残る有害物質2】シアン化水素とその健康被害
シアン化水素も、火災直後に残る煙などに含まれる有害物質です。
火災が発生したときに、カーテンなどが燃えることによって、そのアクリル物質やビニールプラスチックが燃えることによりシアン化水素が発生します。
【シアン化水素による健康被害】
シアン化水素について、詳しく解説していきましょう。
3-1.シアン化水素とは
シアン化水素とはメタンニトリル、ホルモニトリルなどとも呼ばれる、猛毒の気体の1つです。
とても強い毒性を持っているため、化学兵器や服毒自殺として使用されることもあるほどの有害物質です。 基本的には、カーテンや衣服などのアクリル物質などが燃えることによってシアン化水素が発生します。
一度消火されれば、シアン化水素の発生はおさえられると考えられますが、火災直後は注意が必要です。
3-2. シアン化水素による健康被害
シアン化水素を大量に吸い込むことによって「シアン化水素中毒」が発生します。 具体的な症状は次のようなものがあります。
- めまい
- 頭痛
- 無呼吸
- 全身痙攣
- 昏睡
化学兵器としても使われるほどの強い猛毒なので、大量に吸い込むと死に至る危険性が十分にあります。
火が消されたあとの現場にまだシアン化水素が残っているかどうかは状況によりますが、絶対にないとは言い切れません。
このような健康被害を最小限に抑えるためには、火災現場から速やかに避難して、煙を吸い込まないことが大切です。
シアン化水素中毒の被害を避けるには
- 絶対に現場に立ち入らない
- 現在現場に居る場合は、窓を全開にし、できるだけ低い姿勢で離れる
※その際、タオルやハンカチなどで、口と鼻を覆う
4. 【火災直後に残る有害物質3】多環式芳香族炭化水素とその健康被害
多環式芳香族炭化水素は、プラスチック製品や塗料などが燃える際に生成される物質です。
一酸化炭素などの気体とは異なり、焼け跡のススなどに付着して、自然に分解されることはほぼありません。
発がん性もあり、大変危険な有害物質です。
【多環式芳香族炭化水素による健康被害】
多環式芳香族炭化水素について、詳しく見ていきましょう。
4-1.多環式芳香族炭化水素とは
多環式芳香族炭化水素は、人体に有害で、発がん性があり、遺伝子に影響を及ぼす可能性もあるとされています。
発生したら、ススなどの微粒子にくっついて離れず、火災直後の現場には残存している可能性が高いです。
一酸化炭素のような気体ではありませんが、煙やススなどの微粒子に付着して大気中に放出される危険性があります。
4-2.多環式芳香族炭化水素による健康被害
多環式芳香族炭化水素には発がん性があるとされています。発症する部位は主に、肺がんです。
その他にも、次のような健康被害を引き起こします。
【多環式芳香族炭化水素による健康被害】
- がん
- 変異原生:遺伝子に変化をもたらす
- 内分泌かく乱作用:内分泌系に影響をもたらす
- 呼吸器系の影響:気管、気管支、肺胞へ沈着し、呼吸器に影響する
最近では、消火の際、消防士の防火衣に付着した多環式芳香族炭化水素が、健康被害のリスクを増加させると問題になっています(消防科学セーフティレポート「火災現場で発生する有害物質の危険性に関する検証」)。
そのため、火事が起きた際に着用していた服や持ち物は、ビニール袋に入れて、すぐに破棄することをおすすめします。
参考:環境保健クライテリア「多環式芳香族炭化水素(PAH)」
多環式芳香族炭化水素の被害を避けるには
- 火災の現場に立ち入らない
- 現在現場に居る場合は、ススが付着している物を触らないように、速やかに離れる
- ススが付着した衣服は、廃棄する
- ススが肌についた場合は、石鹸と温水でよく洗う
5. 【火災後しばらく残る有害物質1】アスベストとその健康被害
火が消され、煙が出なくなると、煙に含まれる多くの有害物質はおさまります。
しかし、火災後の現場にも、人の体に被害を及ぼす、恐ろしい有害物質があるのです。
その一つが「アスベスト」で、つぎのような健康被害が生じる可能性があります。
【アスベストの健康被害】
アスベストは、ニュースなどでもよく耳にする名前なので、体に悪いものであるというイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし、実際にどれだけ危険なのかを知っておくことで、健康被害を回避できるようになります。
これらの有害物質の恐ろしさをしっかりと知り、意識を持っておきましょう。
5-1.アスベストとは
アスベストとは、天然の鉱物繊維で、石綿(いしわた)とも呼ばれます。
発がん性があり、飛び散ったり吸い込んだりすると危険な有害物質です。
とても細い繊維が集まっているような見た目で、その名の通り、わたのように見えます。
その性質から、保温、断熱、防カビ、防音などの効果があり、建物の壁の中などに使用されていましたが、危険性が確認され、2006年に製造禁止となりました。
基本的には、2006年以降に建てられた家であればアスベストの使用はほぼないと言えます。
反対に、2006年以前の建物には、アスベストが使用されている可能性があります。
特に、1970年から1990年代はアスベスト全盛期だったため、この期間に建てられた建造物には、アスベストが使われている可能性が高いです。
アスベストが使用されている建物で火災が発生すると、建物の外壁が燃え、壁の中に使用されているアスベストが出てきます。
そのアスベストが飛び散り、それに触れてしまったり吸い込んでしまったりすると、重大な健康被害をもたらします。
5-2.アスベストによる健康被害
アスベストによって引き起こされる健康被害は、次の3つです。
- 石綿肺
- 肺がん
- 中皮腫
5-2-1.石綿肺
石綿肺とは、肺組織が広範囲に渡って瘢痕化(はんこんか)する病気。アスベストの粉塵を吸い込むことにより発症します。
瘢痕化とは、やけどや傷が完治せず、膨らんだり陥没したり、色素沈着して痕として残ること。それにより肺が固くなり、次のような症状に悩まされることになります。
- 息切れ
- 運動能力の低下
- 重度の息切れや呼吸不全
- ばち状指
- 肺性心(心不全の一種)
アスベストが小さく砕かれて粉塵状になっていなければ体内へ吸い込むことはまれですが、火災現場ではアスベストがどのような状態になっているかわかりません。
火災現場へ立ち入ってしまうと、何かしらの形でアスベストを体内へ入れてしまう可能性があるので、絶対に立ち入らないようにてください。
5-2-2.肺がん
アスベストにさらされている期間が長いと、肺がんになるリスクも高まると言われています。
肺がんは、アスベストにさらされることに加え、タバコを吸っているとさらにその発症率が高いと言われていますが、具体的にどれくらいの量や期間、アスベストにさらされているとがんになるかはまだ証明されていません。
ですが、アスベストの恐ろしさは、その潜伏期間です。
アスベストにさらされてから、がんを発症するまでの潜伏期間は、平均で30〜40年と言われています。
火災後に軽い気持ちで火災現場に立ち寄り、そのあとすぐに健康被害が起きなければ「なんだ、大丈夫だったじゃん」と思ってしまうかもしれませんが、その恐ろしさは数十年後にやってくるかもしれません。
参考:独立行政法人 環境再生保全機構 アスベスト(石綿)とは?
5-2-3.中皮種
アスベストの繊維を吸い込むことで、中皮腫になるリスクが高くなります。
人間の内臓は膜に覆われており、その表面を中皮と言います。この中皮の細胞から発生する悪性の腫瘍のことを、中皮腫と言います。
中皮腫は、具体的には次のような症状が表れます。
- 胸痛
- せき
- 大量の胸水による呼吸困難や胸部圧迫感
- 腹水貯留による腹部膨満感(お腹が張った感じ)
- 腹痛
- 食欲低下・腹部のしこり
2022年の厚生労働省「都道府県(特別区-指定都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~令和4年)人口動態統計(確定数)」によると、中皮腫の死亡者数は、1,554名となっています。
死に至るケースも多い危険な病気である中皮腫を回避するためにも、火災現場にはみだりに立ち入らないようにすることが大切です。
参考:独立行政法人 環境再生保全機構 アスベスト(石綿)健康被害の救済
アスベストの健康被害を避けるには
- 現場に絶対に立ち入らない
- 現場の近くに行く際は、防塵用マスクや保護服などを身につける
アスベストが使用されていることが分かっている場合は特に、絶対に火事の現場には立ち入らないようにしましょう。
6.【火災後しばらく残る有害物質2】ダイオキシンとその健康被害
ダイオキシンといえば、燃えないゴミを燃やすことで発生する有毒のガス、というイメージがある方が多いのではないでしょうか。
ダイオキシンは、単一の物質ではなくいくつかの物質の総称で、それぞれ特性が異なります。
発がん性があるほか、生殖や免疫、神経に対しても毒性があるとされています。
【ダイオキシンの健康被害】
ダイオキシンについて、詳しくみていきましょう。
6-1.ダイオキシンとは
ダイオキシンは、塩素源と炭素源が空気中で不完全燃焼する(燃え切らずにくすぶった状態になる)ことで発生します。
塩素源とは、塩やしょうゆに含まれている他、塩化ビニールにも含まれており、塩化ビニールは次のようなものに使用されています。
- おもちゃ
- 合皮
- ラップ
- ビニール系の床材
- シャンプーなどのボトル
上記の通り、家にある身近なものが塩化ビニールを含んでいるので、火災後のダイオキシン発生につながる可能性があります。
そのダイオキシンを、吸い込みもしくは、皮膚から吸収してしまうと、大変危険です。
ダイオキシンは、人間のつくり出した化学物質の中で最も強い毒性を持つとも言われています。
非常に危険なため、ダイオキシンが発生している可能性のあるエリアへは、特別な防護服を着て立ち入ることが必要です。
そのため、消防士や火災現場の清掃業者のような専門家以外は、絶対に立ち入ってはいけません。
参考:埼玉県 環境化学国際センター 「ダイオキシン」ってどんな物質?
6-2. ダイオキシンによる健康被害
ダイオキシンは、 発がん性があるほか、生殖や免疫、神経に対しても毒性があるとされています。
しかし、発がん性以外のところは、動物実験での証明であり、人体に対しても同じような影響があるかどうかはまだ証明されてはいません。
【ダイオキシンによる健康被害】
- がん
- 生殖器官の重量や精子形成の減少
- 甲状腺機能の低下
- 免疫機能低下
6-2-1. がん
ダイオキシンには発がん性があり、吸い込んだり、吸収することで、主に肺がんになるリスクがあるとされています。
発症するまでには何年もかかるため、火災後すぐには健康被害を感じなくても、数年後に発症するなど、長期的なリスクがあります。
火災現場に立ち入ることや、そのまま生活することは避けてください。
6-2-2. 甲状腺機能の低下
甲状腺とは、のどぼとけの下にある臓器で、体全体の新陳代謝を促進する働きを持つ甲状腺ホルモンを分泌しています。体の成長を促進したり、エネルギーを作ったりします。
この機能が低下してしまうと、次のような症状が現れます。
- 無気力
- 疲労感
- 動作緩慢
- 記憶力低下
- 便秘
日常生活を送るのが辛くなる症状が多く、大変な健康被害の一つです。
6-2-3. 生殖器官の重量や精子形成の減少
ダイオキシンの影響によって、生殖器官の重量が低下する危険性があります。
精巣の細胞に影響するような毒性があり、ホルモンバランスを乱すためです。
形成できる精子の量が減少することもあり、結果的に不妊につながる可能性もあります。
6-2-4. 免疫機能低下
ダイオキシンは、免疫機能の低下を招く恐れもあります。
免疫機能が低下すると、外から入ってくる菌に抵抗することができなくなり、感染症などに感染しやすくなります。 感染症の中には命に関わる重大なものも少なくありませんから、免疫機能の低下は間接的に命を危険に晒してしまうのです。
ダイオキシンの健康被害を避けるには
- 火災現場に入らない
ダイオキシンが使用されている可能性が少しでもある場合は、絶対に火事の現場には立ち入らないようにしましょう。
7.火災後の有害物質は業者による除去が必須!業者に依頼すべき3つの理由
火災現場には、火災直後も時間が経った後も、体に被害を及ぼす可能性のある有害物質があることがわかりました。
そのため、火災後の現場の有害物質はできるだけ早く除去するべきです。
しかし、自力で行うには、あまりにも危険な行為だといえます。
火災後の有害物質を取り除くなら、火災現場清掃業者などの専門家に必ず依頼しましょう。
それには次のような3つの理由があります。
- 安全性を確保し、健康被害を回避するため
- 危険物質の除去は専門知識と特別な機材が必要であるため
- 石綿含有量調査が必要となるため
それぞれ解説していきましょう。
7-1.安全性を確保し、健康被害を回避しながら作業ができるため
火災現場清掃業者は、有害物質に対して十分な安全性を確保し、健康被害を回避することができます。
有害物質に関しての専門知識があるため、有害物質を分解したり、飛び散りを最小限に抑えたりしながら除去作業が行えるからです。
前に説明した通り、火災直後の煙には多くの有害物質が含まれています。
消火されれば、その内の大部分はおさまると思われますが、実際どれだけの有害物質が火災後の現場に残っているかはわかりません。
現場を歩いただけで、靴底に有害物質が付着し、外へ拡散するリスクも生じるのです。
このようなことを回避するために、火災現場清掃業者の中には、現場に簡易のシャワールームを設置している業者もあります。
作業を行った後にシャワールームを通ることで、有害物質を洗い流し、現場の外へ持ち出しません。 こうした対応により、作業員本人や、周辺の住人への健康被害を回避することができます。
7-2. 危険物質の除去は専門知識と特別な機材が必要であるため
火災現場清掃業者に任るべきなのは、危険物質の除去には、専門知識と特別な機材が必要だからです。
たとえば、アスベストは飛び散る可能性があり、ちょっとした動作で、吸い込んでしまうリスクがあります。
また、ダイオキシンは皮膚からでも吸収されてしまうため、安易に火災現場に足を踏み入れることはできません。
そこで、適切な火災現場清掃業者は、次のような作業を行います。
- シャワールームを設置して、人についた有害物質を洗い流す
- 有害物質が外へ漏れないように、火事現場を密閉する
- 有害物質を分解する装置を使う ・有害物質の濃度を測定する
このようなことは、一般の人が行えることではありません。 専門的な知識やノウハウのある業者であればこそ、安心して任せることができます。
7-3. 石綿含有量調査が必要となるため
罹災証明を受けた後、火災現場で作業を行う前には、「石綿含有量調査」が必要です。
※罹災証明とは、火災や焼損事故があったことを消防署長が証明する書面です。
これは、現場で作業を行う人の安全を確保するためで、2006年8月の厚生労働省の労働基準局長通達「基発第0811002号」で定められました。
さらに、環境省によって、2023年10月1日以降に建築物(建築設備を含む)の解体・改修工事等を行う際は、有資格者によるアスベスト調査が義務化されています(環境省「アスベスト関連規制が改正されました」) 。
「建築物石綿含有建材調査者」の資格と、調査のための専用の機械が必要なため、一般の人が調査をおこなうことはできません。 そのため、石綿含有量調査を行なってくれる業者に依頼する必要があるでしょう。
8.火災後の有害物質を除去してくれる業者の選び方
ここまでお読みになって、火災後に有害物質を除去するには、専門業者に依頼する必要があることがお分かりになったのではないでしょうか。
しかし、どのような業者に依頼しても良いわけではありません。
火災現場清掃業者を選ぶ場合は、 次の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 火災直後の有害物質を分解してくれる
- ダイオキシン濃度の測定をしてくれる
- 石綿含有量調査をしてくれる
この3つのポイントをきちんと対応してくれる業者に頼めば、火災後の有害物質を取り除き、その後安心して火災が起きた場所での生活や仕事を続けることができるようになります。
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8-1. 火災直後の有害物質を分解し、数値で示してくれる
前に説明した通り、火災直後の煙には多くの有害物質が含まれています。
消火されれば、その内の大部分はおさまると思われますが、実際にどれだけの有害物質が火災直後の現場に残っているかはわかりません。
こういった火災現場で作業をするのは、次の2つのリスクがあります。
- 業者の作業員にとって健康被害のリスクがある
- 現場を出入りする作業員の服についた有害物質が外に持ち出されてしまう
こういった危険を冒さないため、火災直後の有害物質を分解してくれる作業を行う業者を選びましょう。
一般的な業者は、火災から時間がたっても残っている可能性のあるアスベストやダイオキシンなどの有害物質の除去はしてくれますが、火災直後に発生している可能性のある一酸化炭素などの有害物質を除去してくれる業者は限られています。
また、除去したことをしっかりと数値などで証明できるかどうかも、業者を選ぶ際の大きなポイントとなります。
- 火災直後の有害物質を分解する作業が、作業工程に含まれているかをホームページで確認する
- ホームページに記載がない場合、問い合わせて確認してみる
- 有害物質の分解結果を数値で提示してくれるかホームページや問い合わせで確認する
8-2. ダイオキシン濃度の測定をしてくれる
火災清掃現場業者の中には、清掃やすべての作業が終わった後に、ダイオキシンの濃度を測定してくれるところもあります。
建物の中のダイオキシンの濃度を専用の装置で測り、人が生活できるレベルになっているかを判断します。
たとえば、業者に「有害物質を取り除いた」、と口でいわれても、目に見えるのものではないので、本当に取り除かれているか不安になりますよね。。
しかし、実際に「数値」としてダイオキシンのレベルが判断できれば、その後安心して生活を続けることができるようになります。
- ダイオキシン濃度の測定作業が、作業工程に含まれているかをホームページで確認する
- ホームページに記載がない場合、問い合わせて確認してみる
- 過去の作業実績のデータを提示してくれる
8-3.石綿含有量調査をしてくれる
「7-3.石綿含有量調査が必要となるため」でもお伝えした通り、罹災証明を受けた後、火災現場で作業を行う前には「石綿含有量調査」が必要です。
そのため、火災現場を清掃してくれるだけではなく、石綿含有量の調査をしっかりと行った上で、作業をしてくれる業者を選びましょう。
そのためには、
- 石綿含有量調査を実施するための資格を保有しているかどうか
- 調査の実施ができるかどうか
をホームページや電話でしっかりと確認してみてください。
こんな業者には注意!
火災清掃現場業者の中でも、「リフォームもやりますよ」という会社には要注意です。
基本的に、リフォームと火災関連の資格は全くの別物だからです。
そのため、「リフォームも何もかも丸投げできます!」という会社は、自社ではなく外注して中間マージンを取っている可能性が高くなります。
基本的に、ぼったくりや詐欺の場合もあるので避けたほうがいいでしょう。
特に火災清掃は、有害物質を取り扱うため、信頼性の高い業者に依頼しなければ危険です。
9.火災後の有害物質除去ならリスクベネフィットにおまかせください
火災現場の有害物質除去は、 火災現場清掃に多くの実績を持つリスクベネフィットへおまかせください!
住宅火災の火災現場の消臭や解体はもちろん、ボヤ程度の火災から、大規模な工場の火災まで、幅広く対応しております。
火災直後の有害物質の分解も、清掃が終わった後のダイオキシン濃度の測定ももちろん行っております。
9-1. プロによる安全性の高い作業で火災直後の有害物質分解も実施
リスクベネフィットの初期有害物質分解作業は、安全性を最優先してから行います。
次のように有害物質の拡散を防ぎ、身体の安全も守ります。
リスクベネフィットの初期有害物質分解
1.シャワールーム設置
火災家屋には毒性の強い煙が残っていることがあります。
そのため、火災現場へはこのシャワールームを通って出入りすることで外へ有害物質を持ち出しません。
2.建物内部密閉作業
ダイオキシン分解作業を効率よく行うため、建物を密封します。また、外部への拡散も防ぎます。
3.初期有害物質分解作業
ダイオキシン分解装置を使い、オゾンガスを発生させます。
これにより、ダイオキシン濃度を一時的に下げることで、その後の作業ができる状態にします。
また、リスクベネフィットでは、有害物質の最終の状態を測定し、人が住める状況か判断いたします。
有害物質が除去されたことが、数字としてキチンと証明されるため、火災前のように安心して暮らせるようになります。
必要であれば「検査結果報告書」の提出や、環境基準に対し、適合を認めた認定書もお渡しいたします。
リスクベネフィットのダイオキシン濃度測定
9-2. 有資格者による石綿含有量の調査が可能
リスクベネフィットでは、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持ったスタッフが、建物の石綿含有量の調査を行います。
「7-3石綿含有量調査が必要となるため」でもお伝えしましたが、石綿含有量調査は、建物の解体工事や改修工事前に必ず行う必要があり、2023年10月より義務化されています。
火災現場を清掃するだけではなく、石綿含有量の調査をしっかりと行った上で作業を行うため、安心しておまかせいただけます。
9-3. 臭気も測定してデータで可視化
リスクベネフィットでは、有害物質を無害化したあとの臭気を数値データで出すことができます。 そのため、安全性を目で確認することができて安心です。
たとえば、専門家に有害物質の除去を依頼した後でも、臭いが残っていると、有害物質が残っているのではないかと心配になりますよね。
リスクベネフィットでは、完全に消臭ができたかをデータで確認することができ、さらに「消臭保証」もついています。
小さなお子様がいるご家庭でも、安心して生活していただけます。
火災現場の清掃の全体の流れと工程表については、
「リスクベネフィットの火災現場復旧、消臭サービスについて」からご確認ください。
お客様が有害物質に触れることで健康な被害を負わないよう、弊社が責任を持って対応させていただきます。 火災現場の有害物質が少しでも心配な場合は、ぜひ以下よりリスクベネフィットにご相談ください。
10.まとめ
火災現場には、火災直後に残っている可能性のある有害物質と、火災後から時間がたっても残っている有害物質があります。
火災直後に残っている有害物質
- 一酸化炭素
- シアン化水素
- 多環式芳香族炭化水素
消火されても火災後に残り続ける有害物質
- アスベスト
- ダイオキシン
こういった有害物質は、人間の健康に被害を及ぼす可能性もあるので大変危険です。できるだけ早く有害物質を取り除きましょう。
火災後の清掃や対応、消臭は、プロの火災現場清掃業者に頼むのが安心です。
プロに頼む場合、次の2つのポイントをおさえておきましょう。
火災現場清掃業者を探すときにおさえるポイント
- 火災直後の有害物質を分解してくれる
- ダイオキシン濃度の測定をしてくれる
この記事を読んで、火災後に現場に残る有害物質について理解し、あなたの健康が守られ、スムーズに火災現場清掃業者に依頼することで、できるだけ早く元の生活が取り戻せることを心より願っています。