「孤独死を防ぐことってできるのかな?」
「高齢の家族が一人暮らしで心配…孤独死対策があるなら知りたい」
高齢者の一人暮らしで心配なのは、「孤独死が起こってしまわないか」ということ。孤独死は様々なことが原因で起こるため、本人にとっても家族にとっても心配事は尽きません。
孤独死が起こらないために個人ができる事は、いろいろとあります。例えば、以下のような対策を行うことで孤独死の可能性を減らすことができます。
こうした対策を行うことで、家族の異変にいち早く気づくことができ、最悪の事態を免れる可能性は高まります。
とはいえ、「孤独死は心配だけど、お金がなくて対策できない…」という方も少なからずいらっしゃいますよね。
実は、近年では自治体が孤独死防止のために様々な取組を行っていたり、民間でも孤独死防止のためのサービスがあります。その中には自治体が無料で行っているものや、アプリや家電の導入など、費用をそれほどかけずとも利用できるものも数多くあります。
そこでこの記事では、「孤独死対策」をテーマに、孤独死を防ぐための対策や孤独死が起こってしまう理由等、詳しく解説しています。
ぜひこれをお読みいただき、孤独死を未然に防ぐための対策を行いましょう。この記事を読み、孤独死防止に役立てていただければ幸いです。
1.孤独死を防ぐための8つの対策
まずは、孤独死を防ぐための対策を解説していきます。
孤独死対策の中には費用が掛かってしまったり、手間がかかるものもあります。ここでは、以下の8つの対策についてそれぞれの内容について「費用」や「手軽度」「安心度」といった項目に分けて、5つ星で評価しています。
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
密に連絡を取る | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
社会活動への参加 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
自治体サービスの利用 | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
見守りアプリ導入 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ |
見守り家電導入 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
有料見守りサービスの導入 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
在宅介護サービスの利用 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
介護施設への入居 | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
それぞれ、詳しく解説していきます。
1-1.家族や周りが密に連絡を取る
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
密に連絡を取る | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
一人暮らしをしている高齢者の家族がいる場合は、家族が頻繁に連絡を取ることで無事を確認することで孤独死を防ぐことができます。
近年では電話での連絡のほかに、メールやSNSなどで気軽に連絡を取れるようになりました。電話で連絡する時間がない忙しい人でもスキマ時間に気軽に連絡ができるため、この方法は有効です。
万が一の異変の際には、すぐに救急車や警察を呼ぶことができます。
また、一人暮らしの高齢者の家の近くに住んでいる場合は、頻繁に家の様子を見に行ってみましょう。毎回顔を出さずとも、郵便受けにチラシや郵便物が溜まっていないいないか、カーテンは空いているかなどが確認できます。異変があった場合にはすぐに気づくことができるでしょう。
1-2.ボランティアなど社会活動に参加する
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
社会活動への参加 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
高齢者がボランティア活動など社会活動に参加したり、サークルに参加するといったことも孤独死防止につながります。
孤独死は、社会と孤立した状況で引き起こされる可能性が高まるもの。社会活動を行うことで、万が一の場合に助け合える関係性を作ることができれば、その予防にもつながります。
例えばスポーツなどのサークルに加入したり、地域での子育て支援を行うなどのボランティアなど、様々な社会活動を行うことができます。そうした取組の多くは無料で行っているため、費用を出せないといった状況でも参加できるのも魅力です。
社会活動への参加は、周りとの関係性を培うのみならず健康上でもいい面が多いためおすすめです。
社会活動へ参加する高齢者は増加傾向にある
実は、社会活動へ参加する高齢者は近年、増加傾向にあります。
厚生労働省が2020年に調査した「高齢者の社会活動への参加状況」によると、「社会活動にまったく参加したことがない」とする高齢者は35.0%ということが分かります。
これは5年前の第8回(2015年)の47.6%と比べて大幅に減少しているのです。
このように、近年では高齢者の社会活動への参加は一般化しつつあるといっていいでしょう。
1-3.自治体のサービスを利用する
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
自治体サービスの利用 | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
自治体では孤独死防止のために様々なサービスを行っています。孤独死防止のための高齢者向けサービスの内容は各自治体により異なります。以下は、その代表的な例です。
自治体の高齢者向けサービスの例
- 配食サービス
- 安否確認サービス
- 緊急通報装置の貸し出し
- バリアフリーリフォーム支援
- 福祉用具、補助具の貸し出し
- 家庭ごみ訪問収集
- 配達員による異変報告
このように、自治体ごとに様々なサービスを提供しています。
それらのサービスの多くは無料で利用できるため、有料の見守りサービスやシステムの導入ができない方にもおすすめです。まずはお住まいの自治体でどのようなサービスを提供しているのかを確認し、利用を検討してみましょう。
自治体のスマート見守り家電導入事例
自治体で見守り家電を開発し、提供する取組も行われています。
北海道亀田郡七飯町では、民間企業が開発した見守り介護ロボット「いまイルモ」を独居高齢者宅に設置。これは、家族や近隣住民3名、七飯町の職員が1グループとなって高齢者を見守るといった取り組みです。
高齢者の状況をリアルタイムで確認できるほか、データをグラフ化して生活習慣を確認できるといった内容です。
独居高齢者宅だけでなく、老人ホームやサービス付き高齢者住宅でも活用できる「いまイルモ」は現在、多くの自治体で導入されています。
1-4.「見守りアプリ」を利用する
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
見守りアプリ導入 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ |
スマートフォンを活用した「見守りアプリ」の導入もおすすめです。スマートフォンにアプリをダウンロードするだけで利用できるものや、月額性のサブスクリプションサービスとして提供されているものなど、幅広い種類のアプリが展開されています。
アプリによってその機能は異なります。以下はアプリでできる事の例です。
見守り機能 | 内容 |
---|---|
位置情報共有機能 | GPSを使って位置情報を確認できる機能。 |
家族への通知機能 | 利用者(高齢者)がボタンを押すことで、家族に通知が届き安否確認ができる機能。 |
コミュニケーション機能 | メールでのコミュニケーションが難しい方向けに、「元気です」「忙しい」「助けが欲しい」などあらかじめ設定された8つのボタンでメッセージを送れる機能。 |
カメラ機能 | 端末のカメラ機能を使って、利用者(高齢者)の状況を確認できる機能 |
緊急ボタン機能 | 災害時や非常時に、利用者(高齢者)一斉にメッセージを送ることができるボタン機能 |
こうしたアプリは無料で提供されているものも多くあります。自分の用途に合ったものを探して利用してみましょう。
1-5.「見守り家電」を利用する
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
見守り家電導入 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
「見守り家電」を利用することもおすすめです。
近年は様々な家電のスマート化が進んでいますが、高齢者向けのスマート家電も数多くあります。ここではその例として以下の4種類を紹介していきます。
1-5-1.スマートホームカメラ
部屋内にカメラを設置して安否を常に確認する「スマートホームカメラ」。いつでも相手の様子を目で見ることができるため、最も安心できる商品です。
マイクやスピーカー内臓のものであれば、いつでも会話をすることもできます。
中には、被写体の動きに合わせてカメラが動く追従機能が搭載されていたり、不審者が来た場合にアラームを鳴らすなどの機能があるものも。
操作はアプリから遠隔でできるため、遠方からでも利用しやすい製品となります。
とはいえ、常に監視状態になってしまうため、高齢者側がストレスを感じてしまうことも。設置する場合にはよく話し合う必要があります。
1-5-2.スマートLED電球
スマートLED電球には、高齢者の動きなどをリアルタイムで通知してくれるものもあり、おすすめです。
人感センサー付きのスマートLED電球は、の動きを察知して電気を自動的に点灯してくれます。そしてその動きの履歴をアプリによって確認したり、リアルタイムで通知してくれるのです。動きを通知するだけなので、プライバシーを気にする高齢者にもお勧めできます。
また、スマートLED電球は声やアプリなどによって電気をつけてくれるもの。高齢者がいちいちスイッチのある所に移動して電気をつける必要がないため、体が不自由な方であれば特におすすめです。
スマートLED電球は特に必要な設備などなく、電球を変えるだけで導入できるという点も魅力といえるでしょう。
1-5-3.スマートセンサー
ドアや窓に設置できるスマートセンサーは設置をすると、ドアや窓の開閉時や人の動きがあった場合にアプリに通知してくれるもの。
振動などでも通知があるため、いたずら対策や防犯対策として活用できます。こちらも設置は手軽で、本体をドアなどに貼り付けるだけで利用できます。
「しばらくドアの開閉がない」「あまりにもドアの開閉が頻繁過ぎる」といった異変にいち早く気づくことができるのが魅力です。
スマートホームカメラなどに比べ、高齢者の様子を詳しく確認できるものではありませんが、高齢者側のプライバシーを確保しつつ家族も安心して見守ることができるため、近年導入する家庭が増加しているアイテムです。
1-5-4.見守り冷蔵庫
冷蔵庫のドアの開閉状況をスマホに知らせる、「見守りサービス付き冷蔵庫」といったものも近年注目されています。
これは、冷蔵庫や冷凍庫の開閉回数をアプリに通知したり、生活のリズムに変化があったらプッシュ通知するなどの見守りサービスです。
実は、冷蔵庫は人々の健康状態を洗わず様々な情報を持っています。冷蔵庫の開け閉めが少ない場合は「食事が取れてないのかな?」と健康状態を図ることができますし、逆に冷蔵庫の開け閉めが多い場合は「水分の取りすぎでは?」など、異変に気づくこともできるのが魅力です。
1-6.有料の見守りサービスを利用する
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
有料見守りサービスの導入 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
民間企業が提供する、月額制のサブスクリプションサービスの利用もおすすめです。見守りサービスには様々な価格帯・形態のものがあります。ここでは例として以下の5種類を解説していきましょう。
1-6-1.「訪問型」の見守りサービス
地域密着型の企業などが提供する見守りサービスです。主に郵便局などが行っているサービスで、局員が訪問したり、地域に住む介護スタッフが訪問するものです。
郵便局の場合は月額2,500円の費用で、月に一回職員が高齢者宅へ訪問。30分ほど会話を行い、生活状況と確認するといった内容です。
その他、民間の企業でも様々な訪問サービスを行っている例もあります。自宅付近ではどのようなサービスがあるのか確認してみましょう。
1-6-2.「センサー型」の見守りサービス
家電メーカーやセキュリティ会社などが提供しているのが「センサー型」見守りサービス。センサー機器をトイレや浴室など部屋ごとに設置し、高齢者の動向を監視します。
「見守り家電」で解説した「見守り冷蔵庫」などもセンサー型の見守りサービスに当たります。サービス内容は企業によって異なりますが、常に家族が監視するのではなく、サービス提供者側が監視して異変の際などに家族に速やかに連絡してくれる点がメリットと言えるでしょう。
1-6-3.「オート連絡型」の見守りサービス
企業が電話やメールなどを利用して健康状態を確認する見守りサービスです。こちらは自動音声電話などで毎日連絡したり、メールが配信されるといったもの。高齢者はそのなかで自分の健康状態について聞かれ、それに答えることで状況を把握します。
オート電話サービスは郵便局でも行っているサービスです。こちらは毎日自動音声電話で体調確認をするというもの。利用料金は月額1,070円と、比較的安価に利用できます。
その他にも様々な民間企業がサービスを提供していますので、費用とサービス内容を確認して利用を決めましょう。
1-6-4.「カメラ型」の見守りサービス
セキュリティ会社などが提供している「カメラ型」の見守りサービスです。24時間監視サービスなどを提供しており、あらゆる時間帯でトラブルが起こってもすぐに駆けつけてくれるといったもの。
録画機能付きのカメラで常に動向を確認できるようになっており、サービス提供者だけでなく家族も録画した映像を見ることができます。
1-6-5.「宅配型」の見守りサービス
宅配弁当の配達時に、配達員が高齢者の健康状態なども確認するサービスです。食事は栄養のバランスが配慮されたもので、高齢者でも食べやすい味付けや硬さになっているのが特徴です。
一人暮らしの高齢者は食事の用意が簡単ではない場合も多く、栄養の偏った食事となってしまうことが少なくありません。宅配型の見守りサービスを利用することで、栄養のバランスの行き届いた食事を採れる上、安否の確認もしてもらえるため注目されているサービスです。
食事の相場は1食500円ほどで、おおよそ月額20,000円(1日2食×週5日)ほどとなっています。
1-7.在宅介護サービスを利用する
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
在宅介護サービスの利用 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
一人暮らしの高齢者には在宅介護もおすすめです。在宅介護には主に「訪問型」と「通所型」の2種類があります。
タイプ | サービス内容 |
---|---|
訪問型 | 訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ など |
通所型 | デイサービスやデイケア(リハビリ)など |
これらは自宅での生活を行いながら受けられるため、人気の高いサービスです。また、地域には様々な生サービスや訪問介護があるため、自分で好きな企業を選ぶことができるのも魅力といえるでしょう。
介護や看護だけでなく、食事や運動なども行うことができるのが魅力。その他にも、福祉用具のレンタルや販売、住宅の改修を行っている場合も。
また、老人ホームへの入居よりも費用が安価で済むのも特徴です。利用を検討する際にはぜひ様々なサービス内容を確認してみましょう。
1-8.老人ホームなどの介護施設に入る
孤独死対策 | 費用 | 手軽度 | 安心度 |
---|---|---|---|
介護施設への入居 | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
老人ホームやサービス付き高齢者住宅への入居は、家族にとって最も安心できる方法の一つといえます。老人ホームや高齢者の健康に配慮した食事を提供するなど、健康管理を行ってくれます。
施設によって様々なレクリエーションを行ってくれるのも魅力の一つ。地域住民や子供たちとも交流ができ、やりがいを見出す方も少なくありません。
とはいえ、有料の老人ホームは費用が掛かってしまうことがデメリットといえます。介護付きの老人ホームであればその費用相場は15~30万円ほどです。
低予算でも入居できる介護保険適用の特別養護老人ホームといったものもありますが、こちらは介護認定3以上でなければ入居できない上、提供が間に合わず入居待ちの状態となっています。
2.孤独死が起こってしまう状況別の対策
こうした状況で孤独死は起こりやすくなります。とはいえ、適切に対処することで孤独死のリスクは下げることができるのです。
ここからは、この5つの項目について詳しく解説していきます。
2-1.一人でも生活ができている
近年はインターネットなどの影響で、人と接しなくても生活ができてしまうため一人暮らしをする高齢者が増えています。そのため、孤独死が起こりやすい環境ができていると言えるでしょう。
以下は、2020年の厚生労働省の調査結果です。これによると、60歳以上の高齢者のうち「人と直接会って会話をする頻度」を「週に1回以下」とする人は12.6%との結果が出ました。この数字は、前回調査した2015年の5.2%と比べて2倍以上の数字なのです。
※令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果より
2015年にはその頻度を「ほとんど毎日」とする人が86.5%いたのに対し、2020年は71.9%と14.6%も下がっている事も注目すべき点です。
つまり、近年は高齢者が直接会って誰かと話をする頻度が減少しているといえます。
その一方でPCやスマートフォンを利用する高齢者は増加傾向にあります。以下は、高齢者の情報機器の利用状況を調べたもの。2015年は「いずれも使わない」とした人が23.3%だったのに対し、2020年はその比率が13.4%と大幅に減少していることが分かります。
※令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果
「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」と答えた人の割合も、2015年には16.5%だったのに対し2020年は31.7%と倍近くも増加しているのです。
高齢者は近年、PCやスマートフォンを利用する人が増え、ショッピングなどもネットで行うことが一般化しつつあります。以前は必要なものはどんなに体調が悪くとも自分で買いに出かける必要がありました。
体の不自由な高齢者や体力に自信のない高齢者は一人暮らししづらい環境にあったといえますが、近年はインターネットなどを利用して必要なものを簡単に購入できるようになったことで、高齢者の一人暮らしが増えているといえます。
オススメの解決策
- ボランティアなどの社会活動への参加
- デイサービスなどの利用
社会との孤立が孤独死を起こしやすくするため、例え体調面など問題がなくても、ある程度社会との繋がりを持つことをおすすめします。例えばボランティアやサークルなどの社会活動に参加したり、デイサービスを利用するのもオススメです。
2-2.頼れる身内や友人がいない
高齢者に頼れる身内や友人がいない場合に、孤独死が起こりやすくなるという点が挙げられます。頻繁に連絡を取る身内や友人がいれば、異変にすぐに気づきやすくなるためです。
一方、頼れる身内や友人がいない場合には異変に気付くことができず、病気や事故による孤独死に至ってしまうことがあるのです。
ここでは、頼れる身内や友人がいない高齢者が多い理由について深堀していきましょう。
2-2-1.生涯未婚率の増加
近年は未婚率の増加により、子を持たない世帯も少なくありません。そのために、何かあったときに頼れるパートナーや伴侶、子がいないといった状況が考えられます。
以下は、国立社会保障・人口問題研究所が2017年に調査した、生涯未婚率の推移を示したグラフです。これによると、生涯未婚率は2000年以降、飛躍的伸びていることが分かります。
※50歳までに結婚しない人は生涯を通して未婚であるとの推測により算出されたデータ
未婚の高齢者はパートナーや子がいないため、何かがあったときに頼れる存在がいない事により孤独死の原因となりえます。
2-2-2.近所に頼れる友人がいない
頼れる友人がいない事も孤独死の原因の一つといえます。2021年に政府が60歳以上の男女に行った調査によると、近所の人との付き合い方について以下のような結果になりました。
この中で最も多いのが「外でちょっと立ち話をする程度」とする人の比率です。男性は64.7%、女性は67.3%という数字が出ています。
また、「病気の時に助け合う」という人も男女で約5%程度と、非常に少ない数字です。
このように、社会との接点の少ないた一人暮らしの高齢者が孤独死のリスクを抱えて生活しているといえるでしょう。
オススメの解決策
- ボランティアなどの社会活動への参加
- デイサービスなどの利用
社会との接点が少ない人は、やはりサークルやボランティア活動に参加するなどで関係性を作っていくことがおすすめです。
2-3.貧困により有料施設の利用ができない
高齢者の貧困により、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を利用できないことも、孤独死の原因として考えられます。
以下は、厚生労働省が行った調査の結果です。
これによると、65歳以上の単身世帯の貧困率の高さがうかがえます。
この理由は、高齢者の多くが収入源を公的年金にしている点が挙げられます。厚生労働省の調査によると、高齢者世帯の収入減の8割以上を公的年金に頼っている割合は、全体の60.9%に及んでいます。
高齢者の単身世帯は、公的年金といっても「厚生年金や共済年金」でなく「国民年金(基礎年金)」のみを受給している率が高いのです。
現役時代の賃金が低かったり、厚生年金に加入していなかった場合は「国民年金」のみでの生活を強いられます。高齢者になっても十分な公的年金を受けることができず、貧困状態で一人暮らしせざるを得ない状況が少なくないのです。
オススメの解決策
- 自治体での無料サービスの利用
- 無料アプリの利用
貧困状態でも無料で利用できる高齢者向けのサービスがおすすめです。自治体での無料サービスや無料アプリなどを利用し、孤独死のリスクを下げることがおすすめです。
2-4.高齢者向けのサービスを知らない
孤独死が起こってしまう原因として、「高齢者向けのサービスを知らない」といった点が挙げられます。
「1.孤独死を防ぐための8つの対策」でも解説した通り、実はそれほどお金をかけずとも高齢者が利用できるサービスは少なくありません。自治体の「見守りサービス」などはその一例です。
しかし、そういったサービスを受けられることを知らずに導入していない高齢者は少なくないでしょう。そうしたサービスがあることを知る手段がないからです。
高齢者に家族がいれば、そうした高齢者向けのサービスを知る機会もあるかもしれません。しかし、身内がいない場合にはそうしたサービスの存在を知ることができないといった状況は考えられます。
オススメの解決策
- この記事を読んで導入できるものを検討する
この記事を読んで高齢者向けのサービスを知ったら、ぜひできるものから導入してみてください。家族に一人暮らしの高齢者がいる場合にも紹介してあげると良いでしょう。
2-5.緊急時に助けを呼ぶ術がない
緊急時に助けを呼ぶ術がないことで、孤独死に至ってしまうケースもあるでしょう。
例えば、家の中で病気の発作が起きて動けないときなど、わざわざ電話で助けを呼ぶことも困難です。その結果、孤独死に至ってしまうことも。お風呂で滑って頭を打ってしまい、助けを呼べないなどの事故での孤独死も少なくないでしょう。
オススメの解決策
- センサー型の見守りサービスを利用する
例えばセキュリティ会社が提供する、首から下げて持ち歩くタイプのセンサーを利用すればボタン一つでスタッフが駆けつけるといったものもあります。
そうしたサービスを導入することで、もしもの時に異変に気付きやすくなり、孤独死防止につながるでしょう。
3.孤独死が起こってしまったらやるべき対処法
残念ながら孤独死が起こってしまった場合には、どのように対処すればいいのでしょうか? 孤独死の場合は警察が介入するなど、通常の場合と流れが異なります。
具体的に、孤独死が起こってしまった場合は以下の流れで対応していきます。
3-1.①警察へ連絡・身元確認
まずは遺体の発見者が警察へ連絡します。その際、亡くなっているか分からない場合には救急車を呼び、亡くなっていることが分かる場合には直接警察に連絡をする流れとなります。
警察が到着したら現場検証が行われます。遺体を発見したのが家族の場合はすぐに身元の確認が取れますが、そうでない場合はここで身元確認も行われます。
現場検証が終わったら、遺体は警察が引き取ることが一般的です。死亡した理由がはっきりしていない場合は遺体を解剖するなどして検死する必要があるためです。
死亡した理由がはっきりしている場合は、すぐに遺族に引き渡されることもあります。
3-2.②葬儀の手配
遺体を警察が引き取った場合でも、葬儀の手配など準備を始めます。
警察に引き取られた遺体がいつ戻ってくるかは不明ですが、すぐに葬儀に移れるようにあらかじめ準備をする必要があります。
検死が終わり、遺体が戻ってきたら遺族が引き取り、葬儀を行います。
ただし、遺体の状態によっては警察で火葬を行うこともあります。これは、遺体の状況が悪く運搬が難しいなどの事情によります。
3-3.③孤独死した現場の片付け
孤独死現場の片付けを行います。死後どれくらい経ってから発見されたかにより、現場の状態は異なります。時間が経過して痛みがひどい場合には、部屋をもとに戻すのは簡単ではありません。
また、孤独死した現場である家は、同時にゴミや不用品が多く放置されていることも少なくありません。それらもすべて片付け、また人の住める状況に戻す必要があるのです。
孤独死現場の清掃は、特殊清掃業者に依頼するのが一般的です。特殊清掃業者は孤独死など特殊な状況での清掃や消臭に特化した技術を持っているのです。
ただし、特殊清掃業者であればどんな業者でもいいわけではありません。特殊清掃業者を選ぶ際には、消臭技術の高い業者に依頼するようにしましょう。そうでないと、後から臭いが戻ってくるなどのトラブルとなる可能性もあります。
孤独死が起こってしまった場合の葬儀までの流れなどに関して、詳しくは「孤独死の葬儀を徹底解説!発見後の流れから清掃までを解説」でも解説していますので、ご参考にしてみてください。
孤独死の特殊清掃ならリスクベネフィットがおすすめ
リスクベネフィットは孤独死清掃や消臭に特化した清掃が可能です。
ゴミの撤去や清掃はもちろん、完全消臭の確かな技術を持っています。
これら3つの作業において特許技術を取得しており、腐敗臭も完全消臭することが可能です。
4.まとめ
以上、この記事では孤独死の対策について詳しく解説してきました。
この記事を読んで分かったこと
- 孤独死を防ぐための8つの対策
- 孤独死が起こってしまう状況別の対策
- 孤独死が起こってしまったらやるべき対処法
孤独死は一人暮らしをしている高齢者とは、切っても切り離せない心配事です。しかし、実は費用をあまりかけなくても孤独死を防止できる対策方法もあることが、この記事を読んでお分かりいただけたのではないでしょうか?
大切な自分の家族を守るためにできる対策は少なくありません。ぜひ、この記事を生かしていただき、利用できそうなサービスを検討してみてください。
この記事を参考に、高齢者のご家族が幸せに長生きできる手段を取ることができるよう願っております。