「このまま、誰にも看取られずに人生の最期を迎えるのかな」
そういった不安に襲われたことはありませんか?
実は独身の孤独死のうち70%は、ひとり暮らしの男性が占めているのです。
以下のグラフをご覧ください。
出典:東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和元年)
このように、男性の孤独死が全体の約70%を占めており、年齢別でみると40~50代の比較的若い男性の孤独死が増加していることが分かります。
孤独死が増加している理由としては、以下が挙げられます。
孤独死が増加している理由
- ひとり暮らし人口の増加
- 貧困のため十分な医療が受けられない
- 近所付き合いが希薄
- 栄養管理や衛生管理がうまくいかないことによる生活の質の低下
- ひとり暮らし中の30~50代の病気休職、退職者
孤独死を防ぐために、行政や各企業が見守りサービスなどを提供したりとさまざまな対策が行われています。
しかし、対策をしていても万が一孤独死してしまったら・・?
離れて暮らす家族や親戚に迷惑をかけるかもしれないと心配になるかもしれませんが、事前に備えることで安心して生活していくことができます。
心身ともに元気なうちに対策することで、人生を今以上に前向きに生きていくことができます。ぜひできることから実践されてみてください。
1.独身の孤独死は65歳から74歳までの男性に多い
誰にも看取られずに亡くなる孤独死が年々増加しています。
のちほど孤独死を未然に防ぐための方法についてお伝えしますが、この章ではまず、実際のデータをもとに孤独死の現状についてお伝えします。
- 孤独死の約70%は男性
- 10年間で孤独死が約1.4倍増加
- 高齢者に限らず、40~50代の若い世代の孤独死が増加
以下で、上記について詳しく述べていきます。
1-1. 男性の独身孤独死は全体の70%
孤独死は圧倒的に女性よりも男性の孤独死が多く見られます。
令和元年に東京23区で孤独死した人数は5554人ですが、そのうち男性は3868人と全体の約70%を占めています。
出典:東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和元年)
上記のグラフからも、男性の死亡数が女性の死亡数を引き離していることが分かります
また、85歳以上になると男女の死亡者数が逆転しますが、平均寿命から考えると、85歳以上まで生存している男性が少なくなることから逆転現象が起こっているのでしょう。
男性の孤独死数が女性の倍以上も発生してしまう理由については、後ほど「2-4. 栄養管理や衛生管理がうまくいかないことによる生活の質の低下」で詳しくお伝えしますが、生活習慣による影響も大きいと考えられています。
1-2. 10年間で孤独死が約1.4倍に
実はここ10年間で孤独死の総数が約1.4倍に膨れ上がっていることはご存知でしょうか?
残念ながらすべての県で孤独死の詳細なデータが出ているわけではありませんが、東京23区の2009年から2019年までのデータを見ると、じわじわと孤独死が増えてきています。
出典:東京都監察医務院
上記のグラフを見ると2019年は5554人で、1日におよそ15人が23区内で孤独死している計算です。
ひとり暮らし人口が年々増加していることから、急な発作の際など第三者に気づいてもらえず孤独死してしまう人が増えているのです。
1-3. 40~50代の若い世代の孤独死が増加傾向にある
孤独死が増加傾向にある中、亡くなっているのは高齢者だけではありません。
40代、50代といった若い世代の孤独死も増えています。
先ほどご紹介したグラフ内に、令和元年に東京23区で孤独死した人数は5554人とありましたが、そのうち約30%にあたる1641人が65歳以下です。中でも40~50代の比較的若い世代が960人を占めています。
以下のグラフで見てみましょう。
出典:東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和元年)
上記のように40歳を過ぎてから、とくに男性は45歳以降に急激に死亡者数が増加しているのが分かります。
死亡原因は病死や自殺などさまざまですが、全体の約30%が65歳以下であること、男性を中心に40代から死亡者数が急激に増加することから、孤独死は高齢者特有の現象ではないことは明らかです。
2.孤独死が増加している理由
先ほど述べたように、年々孤独死が増加しており、今後もさらに増えていくのではないかと予測されています。
ここでは、下記5つについて詳しくお伝えしていきます。
孤独死が増加している理由
- 一人暮らし人口が増加していることで緊急時に気づかれにくい
- 貧困のため十分な医療が受けられない
- 近所付き合いが減少して異変があっても気づかれない
- 栄養管理や衛生管理がうまくいかないことによる生活の質の低下
- ひとり暮らし中の30~50代の病気休職、退職者
2-1. 一人暮らし人口が増加していることで緊急時に気づかれにくい
ひとり暮らしの世帯が増えることで、急な発作など体調などに異変があっても、すぐに第三者に気づいてもらえず、結果として孤独死に結びつくケースが増えています。
総務省が発表した平成30年度版の資料によると、2000年頃は単独世帯の割合は約27%でしたが、年々増加しており、現在は単独世帯の割合は35%以上にものぼります。このままのペースだと2040年には40%に達するとの予測がされています。
単独世帯が増えている理由としては、生涯を通して未婚の人が増えていること、結婚後も配偶者の死亡や離別、子どもの独立などでひとり暮らしとなる人が増えていることが挙げられます。
こういったことから、たとえば急変時にすぐに救急車の手配を行うといったことができず、孤独死の増加につながっているのが現状です。
2-2. 貧困のため十分な医療が受けられない
経済的に困窮している人を中心に、貧困のために十分な医療を受けられず、結果として自宅で倒れて孤独死してしまうケースが増えています。
たとえば、以下のようなことがきっかけで孤独死につながると考えられます。
持病が悪化してしまう
持病があり、本来は定期的に通院をして検査や診察、投薬治療が必要。
しかし、家賃や光熱費、食費など生活最低限の費用を支払うと手元にお金が残らないため、病院に行かないことで持病が悪化し、孤独死を引き起こしてしまう。
命に関わる大きな病気に気づかず見逃してしまう
強い胸の痛みを感じるなど体調が悪くても、医療費に充てるお金の余裕がないため病院には行かない。
その結果、病院で診察、検査を受ければ心筋梗塞などの命に関わる大きな病気が見つかる可能性があったとしても、気づかず見逃してしまう。
最終的に、自宅で心筋梗塞の発作を起こし倒れてしまい、孤独死を引き起こしてしまう。
このように、経済的な原因で医療を受けないことで、結果として自宅で突然亡くなってしまう可能性が増えています。
2-3. 近所付き合いが減少して異変があっても気づかれない
人づきあいが苦手でご近所さんと挨拶すら交わさない、目も合わせないというような人の場合、突然の発作などで家の中で倒れても、誰にも気づいてもらえず孤独死する可能性が高まります。
日本でも昔は、「お醤油が足りなければお隣さんに借りに行く」「ご近所さんと立ち話をしてコミュニケーション」といった文化がありました。
そのような時代であれば、毎日散歩をしている誰々さんを昨日今日と見かけない。となれば、ご近所さんがドアホンを鳴らして元気かどうか声をかけたかもしれません。
しかし現代では、そのような距離の近い付き合い方をしている地域は減ってきました。もともと近所付き合いが少ない人であれば、周りから気にかけてもらえないのが現状です。
2-4. 栄養管理や衛生管理がうまくいかないことによる生活の質の低下
直接的に孤独死に結びつく原因ではありませんが、毎日の栄養管理、衛生管理が不十分なために健康状態に悪影響を及ぼし、将来的に孤独死に結びつく可能性があります。
ずっと独身であっても料理が苦手だったり、配偶者に家事を任せていたものの、離別や死別でひとり暮らしになり、外食やコンビニ、インスタント食品に頼りきりになる人も。
コンビニで販売されている食品やインスタント食品には、カップラーメンに代表されるように添加物の多い加工食品も多く、そういった食品を過剰摂取することで健康状態にマイナスな影響を及ぼす可能性があります。
また、トイレをはじめとして家の中の掃除が行き届かず、不衛生な暮らしを続けることで、栄養面だけではなく衛生面でも生活の質の低下が起こります。
個人差はありますが、女性の家族と同居していた期間が長かった男性の場合、自ら料理を作るという経験がない、もしくは不足している人もいるようです。
栄養状態に偏りが出ると、結果的に健康を害して孤独死につながる可能性があると言えるでしょう。
2-5. ひとり暮らし中の30~50代の病気休職、退職者
30代~50代の働き盛りに、うつ病や糖尿病などの疾患で休職、あるいは退職した人にも孤独死の危険性があります。若い世代だからといって安心ではありません。
会社の人間関係がなくなり、うつ病などで家に引きこもりがちになると、近所付き合いもなくなり孤立化してしまいがちです。
高齢者であれば、行政の見守りサービスなどもあり気にかけてもらえる機会が増えますが、若年層の場合は地域の見守りもないため、家の中で倒れて亡くなった場合に発見が遅れることがあります。
3.孤独死を未然に防ぐための7つの対策
ここまで、孤独死が増えている原因についてお伝えしてきましたが、以下の対策を取ることで孤独死を未然に防ぐことができます。
孤独死を未然に防ぐための7つの対策方法
- 地域のコミュニティ活動に参加する
- 自治体による見守りサービスを利用する
- 有料の見守りサービスに登録する
- 生協や弁当の定期宅配サービスを利用する
- デイサービスを利用する
- 独身者同士シェアハウスで暮らす
- 老人ホームへ入居する
無料でできるものから費用がかかるもの、利用にあたり条件が必要なものなどさまざまですが、年齢を問わず利用できるものもあります。
実践しやすいものから順に紹介しますので、生活スタイルに合った方法を選んでぜひ試してみてください。
3-1. 地域のコミュニティ活動に参加する
趣味のグループや町内会や自治会のイベントに参加することで、近所に住む知り合いや共通の楽しみを持つ仲間が増え、結果として孤独死を防ぐことにつながります。
遠くに住む家族とはめったに会えない場合でも、近所の人たちとグループ活動やイベントで交流を持つ機会を定期的に作ることで、仲間や近所の人たちが様子を気にかけてくれるようになるでしょう。
「いつも休まず参加しているのに、今日は集まりに来なかったのはどうしてだろう?具合でも悪いのかな?」と、電話やメールで連絡してくれたり、近所であれば直接様子を見に尋ねてきてくれるかもしれません。
「遠くの親戚より近くの他人」と言いますが、このように近所の人や仲間との交流は、孤独死を防ぐことにつながります。
3-2. 自治体による見守りサービスを利用する
自治体が独自に提供している見守りサービスを利用することで、緊急時にすぐに担当者に連絡が取れるため、孤独死の防止につながります。
たとえば、川崎市では「高齢者等緊急通報システム」を提供しています。65歳以上の高血圧や心臓疾患、認知症がある人もしくは、75歳以上のひとり暮らしの人が利用できるシステムです。
見守り専用の携帯電話を貸与し、緊急通報があった場合はGPSで位置検索を行い、警備員が直ちに連絡があった場所に向かいます。必要に応じて救急車の手配もできるため安心です。
所得に応じて月額料金が無料から2070円までかかりますが、年金暮らしなどで住民税が非課税の場合、料金は月額数百円と安く抑えられているため、継続して利用しやすいサービスと言えます。
注意点としては、自治体による見守りサービスは年齢制限がある場合が多く、70歳以上や75歳以上などの規定があることもありますので、必ずお住まいの地域の自治体に確認するようにしてください。
3-3. 有料の見守りサービスに登録する
各社が提供しているさまざまな有料見守りサービスを利用することで、異変を早期に察知できるため、孤独死防止につながります。
利用料金はサービスによって異なりますが、月額数百円から数千円が多く、初期費用として数千円~3万円程度が必要になる場合があります。
先ほど述べた自治体の見守りサービスとの違いは、利用に際して原則年齢制限がないということです。また、各社がさまざまなサービスを提供しており、選択肢が豊富です。
見守り方法 | 家族や知人に通知されるタイミング |
---|---|
LINEアプリのメッセージ | 初回のメッセージに反応がなく、24時間後の再送メッセージにも反応がなかった場合 |
電気ポットの給湯ボタン | 給湯ボタンを押した時 |
水道、ガスの使用量 | 一定期間使用がストップ、異常に量が増えた場合 |
電気の点灯や消灯 | 24時間、点灯や消灯の動作がない場合 |
※LINEアプリを利用した見守りについては、利用料金無料でサービスを提供している会社もあります。
それでは、ひとつずつ詳しくサービス内容を見ていきましょう。
3-3-1. LINEアプリのメッセージを利用した見守りサービス
LINEを活用した見守りサービスを活用することで孤独死を防ぐことに繋がります。
LINEアプリの見守りサービスとは、設定した間隔(毎日、1日おきなど)ごとに安否確認のメッセージが送られるものです。文字を入力する必要はなく、届いたメッセージに付いている安否確認ボタンを押すだけなので、利用者に負担がかかりません。
見守りサービスは高齢者が利用しているケースが多いと思われがちですが、LINE見守りサービスを提供しているNPO法人によると、利用者のうち高齢者と定義される65歳以上は約20%しかいないとのこと。
40代と50代の利用者で半数以上を占めていることから、利用方法の手軽さが受け、スマホの利用頻度が高い若年層になじんだサービスと言えます。
3-3-2. 電気ポットの給湯ボタンを利用した見守りサービス
家電メーカーが販売している電気ポットを利用した見守りサービスを利用することでも、孤独死の防止につながります。
通常の電気ポットとは異なり、見守り機能が搭載されている機種を利用することで、電源コードを差し込んだり、給湯ボタンを押したタイミングで登録者にメール通知が行くシステムになっています。
他のポットと同じように電源コードを差し込むだけで使えるようになり、特別な操作は必要ありません。
食事のタイミングで電気ポットから入れたお茶を飲む習慣があるなど、日頃から電気ポットを使う生活スタイルの人であれば、親和性が高いサービスです。
たとえば1日3回は必ず電気ポットを使う人が、在宅しているはずなのに丸一日一度も使っていない場合、部屋の中で倒れていたり、具合が悪くなっているかもしれないと通知を受ける人が気づくきっかけになります。
3-3-3. 水道やガスの使用量を利用した見守りサービス
普段は意識することのない、水道やガスの使用量を利用した見守りサービスで孤独死を防止する方法もあります。
水道やガスの平均使用量とは異なった使用量を記録した場合、契約者に通知されるサービスを各社が提供しています。
たとえば以下のような異変がある場合に自動的に通知されます。
- 水道やガスが一定時間使いっぱなしになっている
- 水道やガスが一日のなかで、まったく使われていない
この見守りサービスは毎日の使用量を元に通知が行われるため、万が一の異変にもすぐ気づくことができるため、孤独死を防ぐことが出来ます。
通知の仕方は各社で異なりますが、家族や知人へのメール連絡のほかに、水道を利用している本人に自動で音声電話がかかることもあります。
ガスの場合も同様に使い始めの通知や、使用量が異常に増えた場合はガスを消し忘れている可能性があるため、使用者に電話連絡が行われます。
3-3-4. 電気の点灯や消灯を利用した見守りサービス
毎日必ずつけたり消したりする電気を用いた見守りサービスで孤独死を防ぐ方法があります。
インターネット環境がない住宅でも、電球を交換するだけで利用できるのが特徴です。
電球内にあるSIMが点灯や消灯を認識すると、基地局に発信される仕組みです。そこから家族や知人の登録メールアドレスにメッセージが届きます。
たとえば毎日必ず2階と1階を往復するはずなのに、夜寝るはずの時間に点灯や消灯の通知がないといった場合には、異変が起こっているのではないかと家族や知人が気づくきっかけになるでしょう。
以上のように、さまざまな見守りサービスが提供されています。
カメラを設置するわけではないため利用者のプライバシーも尊重され、特別な操作も不要です。日常生活を普段通りに送っていればよいため、心理的な負担もかかりません。
3-4. 生協や弁当の定期宅配サービスを利用する
生協や高齢者専門の宅配弁当サービスでは、配達時に安否確認をする見守りサービスを行っているところが多くあります。
生協も宅配弁当も、毎週決まった曜日に担当者が手渡しで直接配達を行うため、体調などの異変に気付きやすいです。必要な場合はスタッフが市町村指定の連絡先や救急車の手配も行います。
品物やお弁当の受け渡し時限定とはなりますが、直接対面で安否確認ができるサービスです。
3-5. デイサービスを利用する
通所介護と呼ばれるデイサービスは、利用時間内はスタッフやほかの利用者と接するため、異変時にも気づかれやすく孤独死を防ぐことにつながります。
デイサービスを利用する場合、スタッフが自宅まで車で迎えに来てくれて、センターで食事や入浴、軽い体操やアクティビティなどを行います。
終了後にはスタッフが車で自宅まで送ってくれるため、万が一体調に異変などが起きた場合も安心感があるでしょう。
しかしデイサービスは要支援、要介護の人しか利用できないなど制限があります。初対面のグループに入るのが億劫に感じたり、人見知りだったりする人にもあまり向かないかもしれません。
3-6. 独身者同士シェアハウスで暮らす
独身者同士、シェアハウスで暮らすことで日々の交流が生まれ、孤独死を防ぐことにつながるという考え方から、近年シェアハウスが日本でもブームになっています。
たとえばUR賃貸住宅では、単身者が共同生活を行えるようにと「ハウスシェアリング制度」が導入されています。
ほかにも若い世代だけではなく、「50歳以上限定のシェアハウス」があったり、高齢者が複数人で助け合いながら暮らす「グループリビング」など、さまざまな暮らし方があります。
複数人で暮らすことで孤立化せず、前向きに過ごすことができ、病気やいざという時にも周りの目があるため、孤独死する可能性を低くすることができます。
3-7. 老人ホームへ入居する
孤独死を防ぐためには、スタッフの見守りがある老人ホームへ入居するという方法もあります。
老人ホームとひと口で言ってもさまざまな種類があり、代表的なものは下記です。
公的施設
- 特別養護老人ホーム
- 養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- ケアハウス
民間施設
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
入居にあたっては、介護認定が必要な場合、不要な場合とさまざまです。費用についても無料のところから、初期費用が数千万単位で必要な場合と大きく異なります。
老人ホームへの入居については、「孤独死対策で老人ホームはアリ?効果的な理由と選び方を解説」で詳しく説明していますので、よろしければそちらをご覧ください。
上にあげた老人ホームの中には、スタッフが常駐し、入居者の安否確認や健康チェックを定期的に行っているところもあります。また、デイサービスや医療施設を併設していたり、入居者同士が交流できるアクティビティなども催されています。
4.もし孤独死が起きたときのために準備しておくこと
これまで述べてきたような対策を行っていても、タイミングが悪く孤独死を迎えてしまうことも、もしかしたらあるかもしれません。
万が一、孤独死が起こってしまった場合のために、どのような準備ができるのでしょうか?
孤独死が起こってしまった場合の準備と聞くとマイナスな気持ちになってしまうかもしれませんが、決して後ろ向きなものではありません。
以下でお伝えすることは、孤独死が発生した際の準備だけではなく、周りの家族や友人など大切な人たちに思いを馳せ、それらの人たちとの関わりを改めて実感することができる貴重な機会になるでしょう。
ぜひ一度お読み頂き、一度は実践していただければ幸いです。
4-1. 生前整理をする
生前整理とは、生きているうちに持ち物や財産などを片付けたり整理しておくことです。
生前整理は「終活」のひとつとして考えられていますが、持ち物の整理などはエネルギーを使うため、気力体力が充実している40代、50代から少しずつ開始すると無理なく行えます。
通常の断捨離と同じく不用品を処分するほかに、通帳や実印、有価証券や生命保険の証書、土地家屋の権利書などの重要書類はまとめて一か所に保管しておきましょう。
また、デジタル時代となり、各種IDやパスワードも重要な情報になります。もう利用しないウェブサイトのログイン情報は削除し、必要なものは書き出しておきましょう。
IDやパスワードはアルファベットの羅列になることも多く、手書きでは読み間違いをする可能性もあるため、できればタイプしたものを印刷して保存しておくことをお勧めします。
余裕があれば、エンディングノートなどを活用し、どこに何を保管したか、友人知人など誰に連絡をすればよいかなどを一覧にしておくと、残された家族も戸惑わずに済みます。
生前整理、遺品整理は業者にも依頼可能
元気なうちに自分で生前整理を行いたいと思っても、体力面の不安や物が多すぎるなどの理由で、うまくいかない場合もあるかもしれません。
故人の部屋に入り遺品を整理する遺品整理業者の多くは、生前整理にも対応しています。
不用品の処分から貴重品の分類管理、大型ごみの搬出など、多数の作業が必要な生前整理を業者が代わって行ってくれます。
リスクベネフィットでは、物が多すぎて片付けも行き届かず、ゴミ屋敷と化してしまった家の生前整理と清掃を行った様子が紹介されています。
このように自力では整理が難しい場合は、業者への依頼も検討してみるとよいでしょう。
4-2. 身内や友人と定期的に連絡を取る
できるだけ、家族や親戚、友人知人と普段から連絡を取っておきましょう。可能であれば、近くに住んでいる人がいればベストです。
万が一、孤独死を迎えてしまったとしても、できるだけ早く見つけてほしいと思う人が大半でしょう。普段から定期的に連絡を取っている人がいれば、「そういえばここ3日間、何の連絡もないな」と気になった家族や近所の友人が家を訪ねてきてくれるかもしれません。
また、定期的に連絡を取っている家族や友人知人がいれば、万が一孤独死してしまった場合でも、携帯電話の履歴からすぐに誰に連絡をしたらよいか?警察や病院の担当者も判断が付きやすくなります。
4-3. 孤独死保険に加入する
孤独死保険とは、亡くなった後に部屋の特殊清掃にかかる費用を補償するものです。
個人で契約するほかに、アパートなど賃貸物件の大家さんが加入している場合もありますので、居住している物件が孤独死保険に加入済みかどうか、入居前に不動産会社に確認を取ることをお勧めします。
大家さんが加入していない場合は、個人で孤独死保険に加入することで万が一に備えることができます。孤独死保険の費用は各社によって異なりますが、平均して年間で約1万円ほどとリーズナブルです。
居住者向けに用意されている孤独死保険の多くには、部屋の原状回復にかかる費用を補償するほか、火災や盗難時に備える家財補償やドアロックの交換などの修理補償も含まれているため、普段の日常生活の万が一にも備えることができます。
4-4. 適切な特殊清掃業者を選定しておく
万が一孤独死が起こってしまった場合、出来るだけ早くの発見が望ましいですが、中には死後数週間から1か月以上経過して見つかるケースもあります。
このような場合、遺体の傷みが進行し腐敗臭が広がり、部屋の床に体液などの汚れが染みついてしまったり、害虫が発生する可能性があります。その場合、床や壁紙をはがしたり、特殊な薬剤を用いて消臭する作業が必要です。
こういった特殊清掃を行う業者は多数ありますが、専門知識の豊富さや清掃技術の高さはもちろん、誠意をもって対応してくれる業者が望ましいでしょう。
孤独死が起こったあと、残された家族は葬儀などで忙しく、気持ちも落ち込んでいる中で特殊清掃業者を選ぶのは想像以上に心身に負担がかかります。
そういったことからも、元気なうちに万が一に備え、特殊清掃業者を選定しておきましょう。
リスクベネフィットでは、下記3つの特許技術を持ち、孤独死後の部屋の汚れも完全に清掃、消臭します。
これらの技術を用いどのように清掃作業を行ったか、多数の実例がリスクベネフィットのサイトで紹介されていますので、ご覧ください。
詳しい問い合わせは、下記より行えます。
5.まとめ
ここまで、孤独死が増えている現状やその理由、対策方法などについてお伝えしてきました。具体的には、以下のような内容です。
孤独死の増加について、東京都23区を例にすると、
独身の孤独死は65歳から74歳までの男性に多い
- 孤独死の約70%は男性
- 10年間で孤独死が約1.4倍増加
- 高齢者に限らず、40~50代の若い世代の孤独死が増加
孤独死が増加している理由には、以下のようなことがありました。
孤独死が増加している理由
- ひとり暮らし人口の増加
- 貧困のため十分な医療が受けられない
- 近所付き合いが希薄
- 栄養管理や衛生管理がうまくいかないことによる生活の質の低下
- ひとり暮らし中の30~50代の病気休職、退職者
孤独死と言っても、必ずしも高齢者に限らないこと。働き盛りと言われる30~50代の人たちにも多いことが分かりました。
貧困のために十分な医療が受けられなかったり、自炊などが苦手で栄養管理がうまくいかず、生活の質が下がることにより結果的に孤独死につながっている現状も浮かび上がってきました。
また、近年は近所付き合いが希薄な地域も増え、人見知りの人などはとくに他者と交流する機会も少ないため、万が一亡くなった場合にも発見が遅れてしまうことが増えています。
孤独死しないための対策として、以下の7つの方法をご紹介しました。
孤独死を未然に防ぐための7つの対策方法
- 地域のコミュニティ活動に参加する
- 自治体による見守りサービスを利用する
- 有料の見守りサービスに登録する
- 生協や弁当の定期宅配サービスを利用する
- デイサービスを利用する
- 独身者同士シェアハウスで暮らす
- 老人ホームへ入居する
有料の見守りサービスには下記のようなものがありました。
見守り方法 | 家族や知人に通知されるタイミング |
---|---|
LINEアプリのメッセージ | 初回のメッセージに反応がなく、24時間後の再送メッセージにも反応がなかった場合 |
電気ポットの給湯ボタン | 給湯ボタンを押した時 |
水道、ガスの使用量 | 一定期間使用がストップ、異常に量が増えた場合 |
電気の点灯や消灯 | 24時間、点灯や消灯の動作がない場合 |
また、対策をしていても万が一孤独死が起こってしまった場合に備えて出来る準備として、以下の4つをお伝えしました。
もし孤独死が起きたときのために準備しておくこと
- 生前整理をする
- 身内や友人と定期的に連絡を取る
- 孤独死保険に加入する
- 特殊清掃業者を選定しておく
すべてを一度に行う必要はありませんが、備えあれば憂いなしです。できることから少しずつ進めていくことで、自分の人生を主体的に、前向きに生きていくことができるでしょう。