独居老人の孤独死とは、一人暮らしをしている高齢者が、誰にも看取られずひとりで亡くなることをいいます。
近年、日本の高齢化社会が進むにつれて、社会問題として発生しており、ニュースなどで取り上げられているため、見たことがある人もいるのではないでしょうか。
「地方に住んでいる高齢の義父がひとりで住んでいて、今後のことが心配。」
「近所に住んでいるよくすれ違うお年寄り。もう高齢だけど身寄りはいるのだろうか。」
と、心配になったことがある人もいるかもしれません。
実際に、44%以上もの一人暮らしの高齢者が、自分が孤独死をすることを不安に思っているというデータがあります。
参考:内閣府 平成30年版高齢社会白書(全体版) 4 生活環境
孤独死が実際に身近な人に起きてしまうと、
「もう少し早く発見されていれば、対応が間に合ったかもしれないのに。」
「周囲とのつながりがあれば、だれかが最後を看取ってあげることができたかもしれないのに。」
という後悔につながりかねません。
この記事を最後まで読めば、独居老人の孤独死の実情や発生の背景・原因を理解でき、独居老人の孤独死を防ぐために具体的にどうしたら良いのかわかります。
事前に準備をしておくことで、最悪の状況を避けることも可能になるかもしれません。
ぜひ最後まで読んで、対策をとってみてくださいね。
Contents
1.独居老人の孤独死の実情
冒頭でも触れたように独居老人の孤独死とは、一人暮らしをしている高齢者が1人で亡くなることをいいます。
独居老人の孤独死を防ぐために、まずは実際にどういった状況でどれくらい発生しているのか、以下について詳しく説明していきます。
- 独居老人の孤独死の発生件数
- 独居老人の孤独死の事例
- 独居老人の孤独死が発生すると起きること
という独居老人の孤独死の実情を知りることで、どれくらい深刻な問題なのか把握することができます。
それぞれについて、具体的に見ていきます。
1-1.独居老人の孤独死の発生件数
独居老人の孤独死の発生は、年々増加傾向にあります。
次のグラフは、東京都監察医務院が毎年発表している、東京都23区内での高齢者の孤独死件数です。
グラフからも見られるように、2005年が1,837人だったのに対し、2020年は3,913人と、独居老人の孤独死件数は、15年間で2倍以上に増えています。
参考:東京都監察医務院 東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計
2020年には約4,000人もの人が、誰にも看取られずにひとりで、亡くなっているのです。
さらに2015年と2020年を比較すると、独居老人の孤独死は約800件も増加しています。
この増加ペースで行くと、独居老人の孤独死件数はさらに増加して行くことが予想されます。
実際に数字を見てわかるように、独居老人の孤独死は深刻な社会問題として大きくなっているのです。
1-2.独居老人の孤独死の発見者と日数
年々多くのケースが発生している独居老人の孤独死ですが、実際にはどのように発見されているのでしょうか。
実際に発生したケースを知っておくことで、具体的にどのように発見されているのか、イメージをしておくことができます。
下記の表は、孤独死が発生した時の「発見者及び発見のきっかけ」「孤独死全体のうち占めている割合」「孤独死発生後の発見までの日数」をまとめたものです。
発見者・発見のきっかけ | 孤独死全体における割合 | 発見までの日数(平均) |
---|---|---|
家族および友人 | 46% | 3.14日 |
ヘルパー | 26% | 2.26日 |
新聞が溜まっている | 5% | 6.43日 |
異臭 | 5% | 11.95日 |
家賃滞納 | 5% | 14.39日 |
職場 | 3% | 1.78日 |
参考:日本交通科学学会誌「高齢者孤立死の現状と背景についての検討」
表からわかるように、まず、孤独死の半分近くは家族や友人が発見しています。
次に多いのは、高齢者の身の回りの世話をするヘルパーによる発見です。
また、職場が出勤しないことを不審に思い気づくケースが約3%で、この場合は平均1.78日と、最速で発見されています。
ここまでで、家族・友人、ヘルパー、職場の人といった身近な人に発見されるケースが、全体の70%以上を占めています。
こういった身近な人により発見されるケースは、表の通り、孤独死発生後1〜3日で発見されるため、遺体の劣化が始まる前なので、次の章で説明するような異臭問題などにもならずにすみます。
一方、「新聞が溜まっていることにより近隣住人が気づく」「異臭により近隣住人が気づく」「家賃滞納により管理人などが気づく」といった、ケースが合計で全体の4分の1を占めています。
身近に気にかけてくれる人がおらず、結果として、異常が発生してから周りの人が気づくこれらのケースは、発見までの日数が6日以上、長い場合は14日と、すでに遺体の変化が始まってしまっているタイミングとなります。
身近な人が死に気づいてくれず、長い間ひとりきりで、ご本人は辛いでしょう。さらに周囲にとっても、発見された時にはすでに目を当てるのも辛い状況になってしまう。これが、孤独死が特に問題視されているところです。
上記のことからわかるように、家族や友人、ヘルパーとのつながりがある場合や、仕事をしていて社会とのつながりがある場合は、亡くなってから割と早く発見されています。
反対に、異臭が出るまで周りが気づかないほど長い間放置されてしまっているケースは、その間誰も、当人と連絡をとっていなくても気づかれない、周囲とのつながりが薄いケースだといえます。
1-3.独居老人の孤独死が発生すると起きること
独居老人の孤独死は、状況によっては5日以上経ってから発見されるケースが、全体の15%を占めています。
発見までに日数が経ってしまうと、人間の体は、死後変化といわれる現象を始めます。
亡くなったあと、夏は2-3日、冬は5〜7日ほどで、体内のガスや体液が外へ漏れ出し、強烈なにおいを放ち始めます。一般的にそのにおいは、チーズや生ゴミが腐ったようなにおい、と表現されます。
そのにおいは部屋へ充満し、部屋自体や家具、遺品へ染み付きます。外からでもわかるような、部屋に入ることさえできない異臭になります。
こういった状況になると、次のような問題を引き起こします。
- 家具や遺品ににおいが染みつき、遺品整理をする時、多くの大切な遺品を処分しなければならない
- 賃貸物件に住んでいた場合、「原状回復義務」として、次の人が住める状態に物件を回復するよう大家から依頼される
- 近隣の人がにおいにより孤独死が発生したこと知り、不吉に感じ、苦情が来る
身近な人の孤独死が起きたあと、ご家族や友人は悲しみの中、このような事態にも対処しなければならなくなります。
悲しみからまだ抜けきれない状態で、現実と向き合わなければいけないのは、精神的にも辛いでしょう。
それだけでなく、上記の事態に対処するために、時間や費用などもかかってきます。
孤独死が起きてしまったあとに必要になる対処は、第6章「孤独死が発生した時に必要な対処法」で詳しく説明していきます。
2.独居老人の孤独死が多発している背景
独居老人の孤独死が増えているのは、日本の社会のさまざまな社会問題が関係しています。
- 核家族の増加
- 高齢化
- 未婚率の増加
といった背景が、間接的に独居老人の孤独死が増えることにつながっています。
背景を知っておくことで、独居老人の孤独死が今後どれだけ増えてしまうかを理解し、寂しい最期を送る人をできるだけ減らすためにできることを考えていきたいですよね。
それでは、それぞれの問題が具体的にどのように影響しているのか、見ていきましょう。
2-1.核家族の増加
独居老人の孤独死の多発の背景に、核家族が増えている、という現実があります。
核家族とは、一世帯のみで作られる家族のこと。
「夫婦のみ」「夫婦とその子ども」「親とその子ども」といった形で、特に都会では多くの人が核家族です。
昔の日本は、『サザエさん』など日本を代表するアニメからも想像できるように、「おじいちゃんおばあちゃんがいて、お父さんお母さんがいて、子どもがいる」のように、三世代で住んでいる家族が多くありました。
しかし今、周りを見てみるとどうでしょうか?「おじいちゃんおばあちゃん」と同居している人はあまりいないのではないでしょうか。
そうなると、いわゆる「おじいちゃんおばあちゃん」は誰と住んでいるのでしょうか?
高齢夫婦だけで住んでいる、もしくはすでに配偶者がいない場合、一人暮らしをしているのです。
職場が東京なので、地方に住んでいる祖父母と同居できない、といった理由により、一人暮らしをする高齢者が年々増え続けています。
2-2.高齢化
高齢者の人口が増えることによって、必然的に一人暮らしをする高齢者の数も増えてきます。
日本に数ある社会問題の中でも特に深刻と言われている、高齢化問題。
実際にデータからもわかるように、全人口に対する高齢者人口の割合はどんどん上がり続けています。
参考:総務省統計局
人口の3割が高齢者となると、その中には家族や子どもがいない高齢者も多く含まれていることが予想出来ます。
こういった人たちは、高齢者同士、もしくは一人暮らしをしており、孤独死のリスクがある生活をしているということになります。
2-3.未婚率の増加
未婚率が年々上がっていることも、独居老人の孤独死の増加に間接的につながっています。
結婚していない人が増えていると言うことは、誰かと一緒に住んでいない一人暮らしの人が増えているということ。
次のデータからもわかるように、50歳の時点での未婚率は、昭和の時代と比べると爆発的に増えています。
人生で一度も結婚していない人が増えたり、離婚する人が増えたりと、背景はいくつかありますが、50歳の時点で5人に1人は結婚していない状態であるということになります。
50歳の時点ではまだ働いており、仕事を通じて社会とつながっている人が多いですが、そのまま歳をとって定年退職してしまうと、家族がおらず、仕事もないまま、ひとりで生活していくことになります。
その結果、人との関わりがうすくなり、頻繁に連絡をとったり挨拶をする人がおらず、亡くなっても気付かれない、という辛い最期を迎えてしまう可能性があります。
3.独居老人の孤独死が発生しやすい人の特徴
実は孤独死の発生は、次のような特徴がある人に起きやすいと言われています。
- 男性である
- 無職である
- コミュニケーションが得意でない
- 金銭的余裕がない
孤独死が起きやすい人の性格や特徴を把握しておくことで、自分の身近な人は当てはまるかどうか確認し、備えることができます。
それでは、それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。
3-1.男性は女性よりも孤独死が発生しやすい
孤独死が起きやすい人の特徴としてまずあげられるのが、「男性であること」。
男性は女性よりも、次の2つの理由から孤独死になる可能性が高いと言われています。
・家事ができず、生活力が低い
一般的にまだまだ世の中では、男性が働き、女性が家で家事をする、と家庭が多い世の中。
男性は仕事に忙しく、家事能力が低いことから、まともに食事をとらず健康を害し、それが孤独死の原因になってしまうことがあります。
・女性よりも社会とのつながりが弱い
先ほどと同じく、家事を担当することが多い女性の場合、スーパーに買い物に行ったり、事務手続きをしに市役所に行くことが男性より多くあります。
そうなると、社会とのつながりが自然に出てきます。
それに比べ、男性は社会とのつながりを作る機会が女性に比べると少ないケースが多いです。
その結果、近隣に知り合いや友人が出来づらく、万が一の時に気づいてくれる人がいないと言うことになります。
3-2.無職の場合、孤独死が発生しやすい
同様に、仕事をしていない無職の人も、孤独死のリスクが高まります。
毎日でも2日おきでも、仕事をしていれば、出勤しないことに異変を感じた職場の人が気づいてくれます。
前述の通り、孤独死の発見者のうち、3%は職場の人となっており、発見日数は平均1日と最短です。職場のつながりがいかに大きいものかがわかります。
65歳をすぎて仕事をしている人は稀ですが、何かしらの方法で仕事をすると言うことは、社会とのつながりを作る意味でも、人と関わり精神的に安心すると言う意味でも、とても有効な手段です。
3-3.コミュニケーションが得意でないと孤独死が発生しやすい
コミュニケーションが得意でない人も、孤独死が起きやすいと言われています。
理由は単純で、コミュニケーションが苦手だと、社会とのつながりが出来にくく、万が一のことがあったときに発見してくれる友人や知人が出来にくいから。
特に定年退職までずっと仕事一筋で生きてきた人は、65歳になってから突然友達をつくろうとしても、共通の話題がないというパターンも少なくありません。
共通の話題がなかったとしても、コミュニケーション能力がある程度あれば知り合いを作ることは出来ますが、コミュニケーション力もなく、共通の話題や趣味もない、という人は、要注意です。
3-4.金銭的余裕がないと孤独死が発生しやすい
また、金銭的余裕がないと孤独死が発生しやすいと言われています。
金銭的余裕があれば、介護施設に入る、ヘルパーさんを頼む、ということができ、人とのつながりを作ることができます。
また、例えばゴルフなど、お金のかかる趣味を持っていたとします。その場合、金銭的余裕があれば、お金の心配をすることなく趣味を楽しむことで、趣味を通じて友人ができます。
しかしお金がないと、趣味さえ楽しむのを躊躇してしまい、結果として家からでない、外とのつながりのない生活になってしまうのです。
このような4つの特徴を持った人が、高齢者の中でも孤独死のリスクがある、と言われています。
身近にいる高齢者の方で心配な人がいたら、こういった特徴に当てはまっていないかどうかチェックしてみましょう。
ただ、こういった特徴を持っているからといって、もちろん全員が孤独死をしているわけではありません。
それでは、孤独死を招いてしまう直接的な原因はどういったものなのでしょうか。
4.独居老人の孤独死に至る原因4つ
孤独死に至る大きな原因は、「人とのつながりがない」ことです。
人と話さない、LINEもしない、挨拶をする機会さえもない。
こういった日常生活を送っていると、社会から孤立してしまいます。
さらに具体的に見ていくと、次の4つの原因に分けることができます。
- 家族や友人と頻繁に連絡を取っていない
- 頼れる人がいない
- 社会とのつながりを持とうとしていない
- 人の世話になりたくない
この4つが不足していると、最終的に誰も看取ってくれる人がいない、という状況を作り出してしまいます。
具体的に見ていきましょう。
4-1.家族や友人と頻繁に連絡を取っていない
息子や娘、孫といった家族や友人に連絡を頻繁にとっていないと、孤独死に至る可能性が上がります。
連絡を頻繁にとっていれば、連絡がなくなった時に、家族や友人が異変に気づくことが出来ます。
連絡を頻繁にとるほど関係が密であれば、自然と会話の中で、ちょっとした体調の異変などを気軽に話せたりするもの。そこから重大な病気などが見つかる可能性だってあります。
ですが、LINEや電話でそういった会話をする機会がないと、相談相手もいなくなり、小さな体の異変に気づくことが出来ません。
4-2.頼れる人がいない
もう一つの原因は、頼れる人がいないことです。
家族とは疎遠になっている、子どもがおらず、親戚とも疎遠である。友人もいない。
いざという時に頼れる人がいないと、当然ながら万が一のことがあった場合、ひとりぼっちになってしまいます。
4-3.社会とのつながりを持っていない
家族や友人といった、近い関係の人がいなくても、社会とのつながりがあれば、存在を気にかけてくれる人はいます。
例えばヘルパーや介護士など、週に一度でも家に来て世話をしてくれる人がいれば、何かあった時に気づいてくれます。
また、いい話相手になってくれ、体の変化にも事前に気づくことができるかもしれません。
また、地域のコミュニティに参加する、よく行く八百屋さんでお店の人と顔見知りになって雑談をする、など、少しのつながりでも持っていれば、いざという時に安心です。
しかし、こういったつながりを持つのが苦手だったり、自らつながりを持たないと決めているような人は、万が一の時に頼れる人がいないと言う状況になってしまいます。
4-4.人の世話になりたくないと思っている
人とのつながりを作ろうとしても性格的に作れない人もいますが、一方で、自ら社会とのつながりを断とうとしている人もいます。
こういう人は多くの場合、人の世話になりたくないと思っている傾向にあります。
このような、自分のいる状況や環境が悪化しているのに、それを無視し改善しようとしないことを「セルフネグレクト」と言います。
近隣の人や、周囲のコミュニティにお世話になることを拒み、自分の事は何でも自分でできると頑固になったり、改善する意欲さえもなかったり、と、何も行動しないとどんどん孤立が進んでいくことがなります。
独居老人の孤独死が起きやすい原因は、すべて社会とのつながりがないと言う原因でした。
社会や家族、友人とのつながりを持たないことにより、どんどん孤立してしまい、最終的に万が一のことがあったときに頼れる人がいない、話を聞いてくれる人がいない、発見してくれる人がいないということになってしまいます。
5.独居老人の孤独死を防ぐための対策4つ
それでは、独居老人の孤独死を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。
独居老人の孤独死が発生しやすい原因は全て「人とのつながりがうすい」ということでした。
それであれば対策としては人とのつながりを持つことが重要です。
孤独死を防ぐための具体的な対策は5つあります。
- 自治体とのつながりを持つ
- 見守りシステムを導入する
- 老人ホームに入る
- オンラインコミュニティに所属する
- SNSを通じて人とのつながりを持つ
こういった対策をとり、社会とのつながりを作ることで、独居老人の孤独死をできるだけ多く防ぐことができます。
具体的に見ていきましょう。
5-1.自治体とのつながりを持つ
まず身近で簡単につながりを持ちやすいのが、住んでいる自治体です。
社会問題として大きく問題視されている孤独死に対し、各自治体では高齢者が孤立化するのを防ぐための対策をとっているところがあります。
「老人クラブ」や「高齢者の会」といった、同じ地域に住んでいる高齢者が集まるコミュニティを作っている自治体もあります。
ゲートボールやラジオ対応、講演会への参加など、コミュニティを通じてさまざまな活動を行っており、それを通じて地域の人とつながりを作ることができます。
また、手話サークルやボランティア活動など、高齢者向けに限らず、各自治体ではさまざまなサークルやコミュニティ、活動を行っています。
一度、お住まいの自治体でどういった取り組みをしているか調べてみて、興味のあるものに問い合わせてみるのが良いでしょう。
またそういった自治体の取り組みに対策に関わらなくても、新聞配達の人と挨拶をする、近隣との人と挨拶をするといった、もっと簡単なところから、地域の人とのつながりを持ち始めてみるのも良いでしょう。
5-2.見守りシステムを導入する
高齢者見守りシステムを導入するもの、孤独死を未然に防ぐ方法のひとつです。
高齢者見守りシステムとは、さまざまな技術を使って、離れて暮らしている高齢の家族の安否を確認するシステムのことをいいます。
例えば、高齢の祖母の家にセンサーを設置し、部屋の明るさや温度、トイレの使用などをセンサーで感知し確認することで、もし何も動きがない時に家族に通知が送られ、何か異変が起きたと推測することができます。
また、カメラタイプのものや、ベッドにつけるセンサー、仏壇のおりんにつけるセンサーなど、さまざまな形で、ひとりで暮らす高齢者の生活を見守るシステムがあります。
こういったシステムを通じて、家族や友人が、何か会った時にすぐに反応できるようつながりを持っておくこともひとつの手です。
5-3.老人ホームに入る
老人ホームに入るというのも、安全で確実に、孤独死を防ぐ方法の一つです。
老人ホームに入れば、介護士さんやヘルパーさん達や他の老人と毎日ともに生活を送ることになります。毎日人とのつながりができ会話も生まれ、たくさんの人に囲まれた老後生活を送ることになります。
しかし、老人ホームに入る難点は、お金がかかるということです。
老人ホームに入居するための平均の費用は、サービスや地域によって大きく異なります。
特に都市部での民間の老人ホームはとても高額で、東京大学 公共政策大学院の論文によると、豊島区の有料老人ホームの利用料は月当たり約44万円と言われています。
費用はかかりますが、老人ホームに入れば、ひとりの生活を送らなくて住み、孤独死のリスクがなくなるどころか、人々に囲まれた温かい老後生活を送ることができます。
金銭的に余裕があるのであれば老人ホームに入るのが、確実な方法と言えるでしょう。
参考:東京大学 公共政策大学院 「特別養護老人ホーム域外整備の費用便益分析」
5-4.オンラインコミュニティに所属する
社会のIT化がすすむ中、オンラインコミュニティに所属するのも、独居老人の孤独死対策として新しく生まれたひとつの選択肢です。
最近では、インターネットを通じて人とつながるコミュニティがたくさん生まれています。
共通の趣味を持った人たちが集まるコミュニティや、同じエリアに住む人たちが集まるコミュニティなど、共通点はさまざま。中には、高齢者同士のつながりを作るコミュニティもあります。
コミュニティでの活動はさまざまですが、次のような活動をしているコミュニティが多くあります。
- 週に一度Zoomを通じてオンラインで交流会を行う
- LINEやチャットで趣味について語り合う
- オフ会を企画して、対面で会う
オンラインコミュニティやSNSとなると、パソコンやスマートフォンを使って、ズームやSkype、LINEなどでコミュニケーションを取ることになります。
高齢の方にはまだ少しハードルが高いかもしれませんが、今後はさらにIT化が進んでいきインターネットを介してのつながりができやすくなるので、今のうちにこういったIT機器を使えるようになっておくことをおすすめします。
5-5.SNSを通じて人とのつながりを持つ
SNSを活用して人とつながるのも一つの手です。
Twitterやインスタグラム、Facebookなどのソーシャルネットワーキングサービスでは、自分の友人はもちろん、知らない人ともお互いにフォローし合い、SNS上で友達になることができます。
SNS上で投稿し、フォロワーが読んでコメントをしてくれる、といったやりとりを続けていくうちに、本当の友人のようにつながりを感じることができます。
最近では、83歳からTwitterを始めた高齢者の方が話題になっています。
- おはようとツイートしたら誰かがおはようとコメント返ししてくれる。
- 数日間ツイートせず、久しぶりにツイートすると、「心配してました」と言ってくれる人がいる。
意外かもしれませんが、TwitterやインスタグラムなどのSNSでも、人とのあたたかいつながりが作れるのです。
新しいことを始めるのは、最初は抵抗があるかもしれませんが、勇気を出して飛び込んでみると、「始めてみて良かった!」と思えるかもしれません。
6.独居老人の孤独死が発生した場合に必要な対応
孤独死が発生しないよう対策をとっていたとしても、孤独死が起きてしまった場合、そのあとの対応はどのようになるのでしょうか?
基本的に、孤独死が発生した場合に必要となる対応は次の3つです。
- 葬儀を行う
- 遺品整理を行う
- 特殊清掃を行う
この中でも特に「遺品整理」と「特殊清掃」は、通常誰かが亡くなった時とは対応の仕方が大きく変わってきます。
自力では対応できないこともあるので、どういった対応が必要なのか詳しく知っておく必要があります。
それでは具体的に見ていきましょう。
6-1.葬儀を行う
身寄りがいる方の場合、親族が葬儀を行うことになります。
発見者が親族でなかった場合、発見後に警察から親族へ連絡が入り、そのあとは通常の葬儀と同様の流れになります。
もし近い親族がいない場合でも、自治体が戸籍をたどって親族を探し、遺体の引き取りや葬儀を依頼されることになります。
場合によっては近所の人などが対応してくれることもあります。
遠い親族も引き取ってくれる近所の人もいない場合は、自治体が火葬を行うことになりますが、最低限の火葬となります。
そしてその費用は、親族がいる場合は親族や身元引受人へ請求されることになります。
6-2.遺品整理を行う
孤独死があった場合、次に行わなければならないのは遺品整理です。
通常誰かが亡くなった場合、その人が遺したものを確認して、残しておきたいものとそうでないものをわける遺品整理をします。
しかし、孤独死があり発見が遅れてしまう場合、前述の通り遺体からにおいが発生し、それが遺品に染み付いてしまいます。
そうなってしまうと多くの遺品はもう残すことができず、処理することになります。
特に布類や紙類のものにはにおいが染みつき、除去することが難しいので、ほとんどのものを遺しておくことが出来ません。
孤独死後、発見が遅れてしまった場合の遺品整理は、自分たちでやろうとしても、においや状況が大変厳しいため、特殊業者に頼んで対応してもらうのが確実な方法です。
残しておきたいものがある場合も、特殊業者に頼んで消臭をしてもらうことができるケースがあります。
遺品整理の業者を選ぶポイントは次の3つ。
- 残しておきたいものの消臭を確実にする技術があること。
- 遺族の気持ちに寄り添って、遺品整理をしてくれること。
- 遺品整理と特殊清掃をまとめてお願いできる業者だと、一社でまとめて済む。
亡くなったご本人の思い出や遺品をできる限り大事にしたい、という場合は特に、遺品処理の業者選びは重要になってきます。
6-3.特殊清掃を行う
亡くなったあと、遺品整理とともに、本人が住んでいた物件を掃除する必要があります。
しかし、孤独死後に発見が遅れてしまった場合、前述した通り、遺体が損傷してしまい、においや状況によっては個人での清掃では手に負えない場合もあります。
また、においがキツくて部屋へ入ることさえも出来ないという状況も。雑菌などが繁殖し、体によくない影響を及ぼすことも考えられます。
そうなってしまった場合は、特殊清掃のプロに部屋の清掃を頼むのが一番安全で確実な方法です。
特殊清掃ならリスクベネフィットにご相談ください。
リスクベネフィットでは、孤独死が発生したあとの遺品整理と特別清掃をまとめて対応しております。
孤独死後の特別清掃として多くの実績を持つリスクベネフィットでは、孤独死後の対応として必要な製造がまとまった「孤独死パック」や、遺品整理を含む「家財整理」のサービスを行っております。
家財整理では、お客様のご意志を尊重し、お客様のみで整理を行いたいのか、リスクベネフィットで対応するのか等含め、ご相談させていただきながら対応いたします。
また、特許も取得した特殊技術を使用した完全消臭も、確実な実績があります。
多くの方に信頼いただいている特殊清掃のプロであり、孤独死に関する知識や情報も多く持ち合わせてります。
孤独死の対応について、より知りたいという方はこちらも合わせてご覧ください。
孤独死が発生した場合の遺体処理は特殊清掃会社に任せた方が良い理由!
お問い合わせは、フリーダイヤルもしくはメールフォームにて受け付けております。
7.まとめ
独居老人の孤独死とは、一人暮らしの高齢者が誰にも看取られず最期を迎えることをいい、近年多発している社会問題です。
孤独死が起きると、故人として寂しい最期を迎えることになるだけでなく、遺された周囲のひとも精神的に辛い思いをすることになります。
できるだけ孤独死を防ぐためにできることは、とにかく「人とのつながりをつくること」です。
普段から家族や友人、近隣の人とつながっておくことで、体調を崩したときに頼り万が一の事態を防ぐことが出来ますし、万が一のことが起きたとしても、早期に発見してもらうことができます。
独居老人の孤独死を防ぐため、人とのつながりをつくる具体的な方法として、次の4つがあります。
- 自治体とのつながりを持つ
- 見守りシステムを導入する
- 老人ホームに入る
- オンラインコミュニティに所属する
- SNSを通じて人とのつながりを持つ
独居老人の孤独死をできるだけ多く防ぎ、本人も周囲も安心して過ごすためにも、こういった対策をとり、つながりを作っておきましょう。
本記事でご紹介した内容が、少しでも多くの方の不安を取り除き、安心して暮らしていける助けになることを願っています。