孤独死発生から特殊清掃の依頼まで!遺族がやる5つの事とは?

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孤独死発生から特殊清掃の依頼まで!遺族がやる5つの事とは?

「孤独死はどうやって発見されるの?」
「孤独死として発見された場合どうなるの?」

近年、孤独死が社会問題となっており、万が一自分が孤独死をしたらどうなってしまうのか不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

孤独死は、当事者と音信不通になり家やアパートを訪れたところで発見されることが多いです。孤独死は突然起こることなので、連絡を受けて対応に追われる親族に心身ともに大きな負担をかけてしまいます。

それだけでなく、火葬や葬儀、特殊清掃の費用と親族に支払ってもらわなければならないことも多々発生し、金銭的にも苦しめることになるのです。

孤独死は誰にでも起こり得ることですが、だからこそ孤独死として発見されるとどうなるのか現状を知り、孤独死に備える対策が必要です。

この記事を最後まで読めば、孤独死を発見するきっかけや孤独死が発見されたときの対応が把握でき、孤独死をした場合を想定した対策が打てるようになるはずです。

孤独死は誰にでも起こり得ることなので、孤独死をしたときの対応を把握して対策が打てるようになるでしょう。

1.孤独死を発見するきっかけ

そこでまずは、一般社団法人日本少額短期保険協会の「第5回孤独死 現状レポート」(2015年4月~2020年3月までの孤独死のデータを集計)をもとに

  • 孤独死を発見するきっかけ
  • 孤独死の第一発見者
  • 孤独死は発見される平均日数
  • 孤独死の原因
  • 孤独死の年間人数

を解説していきます。どのような状況で孤独死が発見されるのか、ぜひ参考にしてみてください。

1-1.孤独死を発見するきっかけは当事者との音信不通

孤独死が発見されるきっかけは、当事者と音信不通になり訪問をするケースが51.3%と圧倒的に多いです。
3日以内に孤独死として発見される場合に限定すると、87.1%が音信不通がきっかけとなっています。

音信不通の次に多いのが、異臭や虫の発生、水漏れなどの居室の異常です。アパートやマンションで暮らしている場合は、「隣の部屋から異臭がする」「隣の部屋の電気が付いたままになっている」などの連絡を受けて発見に至ることが多いようです。

孤独死から日数が経過すればするほど、異臭や虫の発生などが発生しやすくなり近隣住民が異変に気づきます。死後30日以上を経過した孤独死に限定すると、孤独死の発見のきっかけとして居室の異常が2番目に多くなります。

そして、残りの家賃滞納や郵便受けの滞溜は、建物の管理会社や大家さんが異変に気づくポイントです。家賃の支払いが滞っているため部屋を見に行くと、孤独死をしていたというケースもあるようです。

このように、孤独死が発見されるきっかけは、当事者との音信不通が最も多く、次いで住まいの異常に近隣の住民が気づくことが多いことが分かります。

1-2.孤独死の第一発見者は管理人や親族が多い

孤独死の第一発見者は、アパートやマンションの管理人や親族であることが多いです。
次いで、福祉関係者や友人など当事者と関係のあった人たちが、音信不通などをきっかけにおかしいと思い部屋を訪れるようです。

実際に孤独死を発見したときの状況としては、下記のような声があります。

  • 契約者と管理会社の間で連絡が取れず、部屋を見に行ったところ深夜に電気がついていたおかしいと思い警察と一緒に部屋を見に行くと、孤独死をしていた。
  • 年金の受け取りが行われず不審に思い警察に連絡をしたところ、孤独死が発見された。
  • 家族と連絡が取れなくなり警察に安否確認を依頼したところ、孤独死をしていた。

このように、第一発見者となる人はいつもとは違う様子を不審に思い、部屋を訪れたり警察に連絡をしたりして孤独死の発見に至ります。

1-3.孤独死が発見される平均日数は17日

孤独死をして発見されるまでの平均日数は17日程度です。

日数別に見ると3日以内で発見されることが最も多いのですが、4日~30日経過したところで発見される孤独死も一定数いることが分かります。そのため、平均すると2週間を超えた17日程度となります。

孤独死は発見が遅くなればなるほど死体の損傷が激しく、室内にも異臭などが蔓延します。

アパートやマンションの場合は原状回復に時間とコストがかかるようになるので、できる限り早く発見できる、発見されるのが望ましいです。

1-4.孤独死の原因は病気が多い

どうして孤独死が起きるのか気になっている人もいるかと思いますが、孤独死の原因として最も多いのは病死です。

孤独死の半数以上が病死によるもので、基礎疾患や急な病が原因となり孤独死が起こっています。

また、孤独死は通常の死因原因よりも自殺の割引が高く、自ら命を絶ったことが原因となっていることもあります。

「3.孤独死が発見された後の流れ」で詳しく解説しますが、孤独死の場合はすぐに死因が特定できず検視や検案をして死因を特定しくことなります。

1-5.孤独死は年間約4,400人発見されている

第5回孤独死 現状レポート」によると、1年間で4,448人もの人が孤独死をしています。男女比率では男性が約8割、女性が約2割と圧倒的に男性が多い結果となっています。

また、季節や年齢を問わず孤独死が一定数発生しているのも現状です。内閣府が公表している「平成30年版高齢社会白書」では、孤独死を身近に感じる一人暮らしの60歳以上の割合が30%を超えていることも分かっています。

今や孤独死は誰でも起こりうる身近な問題となっています。孤独死のきっかけや現状を把握できたところで、孤独死をしたらどのように発見されるのか具体的に見ていきましょう。

参考:内閣庁「平成30年版高齢社会白書」

2.孤独死を発見した場合の初期対応

連絡が取れない親族の部屋に入ると倒れていた場合、どのように対応すべきか戸惑う人も多いかと思います。孤独死を発見したときの初期対応は、下記のいずれかになります。

生死が確認できない場合救急車を呼ぶ(119番)
死亡していることが明らかな場合警察を呼ぶ(110番)

2-1.生死が確認できない場合:救急車を呼ぶ

明らかに死亡していることが確認できない場合、まずは救急車を呼びます。

消防庁の「救急車利用マニュアル」によると、下記のような状態はすぐにでも救急車を呼んで欲しい状態に当てはまります。

  • ぐったりしている
  • 呼びかけに反応しない
  • 多量の出血がある
  • 水におぼれている

救急車を呼ぶ必要があると判断できたら119番をして、落ち着いて現状を伝えます。例えば、親族と連絡が取れず家を訪ねたところ倒れていた場合は、「親族と昨日から連絡が取れず家を訪ねたところ、寝室で倒れていました」などと伝えます。

その後、司令員が正確な情報を得るために

  • 当事者の年齢や状態
  • 救急車が向かう場所
  • 電話をかけている人の名前・連絡先

などを聞くので、司令員からの質問に沿って答えていきましょう。

救急車が到着するまでは司令官から応急処置をする指示がない限り、現場に触れないようにしてください。孤独死の状態によっては、感染症のリスクがあります。

救急車は平均7.9分で到着するため落ち着いて待機し、救急車が到着したら救急隊員の指示に従いましょう。

参考:消防庁「救急車利用マニュアル」

2-2.死亡していることが明らかな場合:警察に連絡

孤独死を発見して

  • 一部が腐敗している
  • 当事者と連絡がつかなくなり、数日~数週間が経つ
  • 異臭が放っている
  • 多量の血が乾いている

など、死亡していることが明らかな場合は110番をして警察に連絡をします。警察に「連絡が取れなくなり家を見に来たら亡くなっていた」などと状況を伝えて、アパートやマンション、家まで来てもらいましょう。

警察は遺体を一時的に引き取り、

  • 病死
  • 事故死
  • 自殺
  • 事件性がある死亡

など、当事者の死亡の原因を検案していきます。死因が明確になるまでは、不審死として扱われます。

場合によっては孤独死の現場で重要な証拠などが見つかる可能性もあるため、警察が到着するまでは現場に触れないようにして警察が到着したら警察の指示に従うようにしてください。

3.孤独死が発見された後の流れ

孤独死が発見されたときに死亡していることが明らかな場合は、警察が検視をするために遺体が現場から運び出されます。

その後は、下記のような流れで調査や手続きが進んでいきます。

どのような手順で孤独死の対応をしていくのか、1つずつ細かく解説していきます。

3-1.警察が現場検証をする

まずは、警察の検死課による現場検証が行われます。現場検証は、孤独死に事件性がないか現場を確認するためのものです。

一時的に貴重品などが没収されますが、事件性がないことが確認できれば後日親族に返還されます。

現場検証の日数は孤独死の状況により大きく異なりますが、基本的には数日で終了します。現場検証の間はアパートやマンションのオーナー、親族などは立ち入りできません。

※当社の経験では死後何日で発見されたのか?季節などによっても変わってきますが
夏場では1週間~2週間長い場合で1か月程度かかります。

3-2.警察より親族に連絡が入る

現場検証と同時進行で行われているのが、身元の確認です。

親族が第一発見者の場合は身元がすぐに分かりますが、死体の損傷が激しい場合や所持品が少ない場合は遺族を探すところから始めます。

基本的には

  • 警察や自治体が扱う公的書類から遺族関係を調べる
  • DNA鑑定をして血縁関係を調べる
  • アパートやマンションに住んでた場合は、連帯保証人や契約書を確認する

ことで、遺族を特定します。遺族が分かったら警察から血縁関係が近い順に連絡をして、遺体発見の連絡や遺体確認、遺体引き取りの段取りをします。

孤独死の場合は親族と連絡がつかないケースも多いので、6親等目(はとこ・いとこの孫)まで順番に連絡をして引き取り先を探します。

3-3.親族が確認できた場合

警察からの連絡で親族の確認ができ遺体の引き取り先が決まった場合は、下記のような手順で手続きを進めます。

孤独死をするとどのような負担がかかるのか、手続きが必要となるのか確認できるので、参考にしてみてください。

3-3-1.親族が遺体を引き取る

警察から遺体発見の連絡を受けたら、指定の場所に遺体を引き取りにいきます。

遺体を引き取るときには

  • 孤独死をした人の身分証明書(提示できる場合)
  • 遺体を引き取る人の身分証明書
  • 印鑑

が必要となるので用意しましょう。警察から検案や現場検証の結果などを聞き、遺体を引き取ることになります。このときに、現場検証で回収をした貴重品と死体検案書を受け取ります。

死体検案書とは死亡の原因や死因の種類などが記載された書類で、この書類がないと死亡届の提出や火葬ができません。このときに死体検案書の作成費用や遺体の保管料などを親族が支払うことがあるので、現金を用意しておきましょう。

また、遺体を引き取るには遺体を乗せる専用車両の手配が必要なので、事前に葬儀屋などに相談をして手配するとよいでしょう!

参考:厚生労働省「死亡診断書記入マニュアル」

3-3-2.死亡届を提出する

死体検案書を受け取ったら、死亡届を提出します。死亡届が提出されていないと火葬許可証が受け取れず、火葬ができません。

死亡届は死亡の事実を知ってから、7日以内に提出をします。死体検案書を持参し、指定の区役所や市町村役場に出向くことで手続きが完了します。このときに、火葬許可証も同時に受け取ることで火葬ができるようになります。

死亡届の提出場所孤独死をした人の死亡地、本籍地、または届出を提出する人の所在地の区役所、市町村役場
死亡届が提出できる人親族,同居者,家屋管理人,土地管理人等,後見人,保佐人,補助人任意後見人,任意後見受任者など

参考:法務省「死亡届」

3-3-3.火葬を行う

孤独死の場合は、通常の死亡時よりも死後日数が経過していることがほとんどです。その分腐敗などが進んでおり、衛生管理上の理由から孤独死が発見された現地で火葬することが多いです。

遺体を親族の住まいの地域や指定の地域まで搬送することも可能ですが、遺体の搬送には霊柩車を使う必要がありかなりの移動費用がかかります。

まずは火葬をしてお骨の状態で帰郷する場合には、地方自治体の火葬場や民営の葬儀場に連絡をして火葬の段取りをしてしていきます。

3-3-4.葬式を行う

お骨や遺体が帰郷したら、遺族によって葬儀を行います。

葬式の流れや段取りは、一般的な葬式と変わりません。葬儀の費用は喪主を務める親族が負担する場合が多く、平均費用は約196万円だと言われています。

葬式の費用や規模を考慮しながら、最期のお見送りの方法を検討して実施しましょう。

【葬式をしない火葬のみでお見送りをする方法も】
孤独死も一般的な死去の場合も、必ずしも葬式をしなければならない訳ではありません。火葬のみでお見送りをする「直葬」という方法もあります。
どのような方法で最期のお見送りをするのかは考え方や費用によって大きく異なるため、一つの方法として知っておくといいでしょう。

3-3-5.遺品整理を行う

親族は、孤独死をした人の遺品整理を行う必要があります。とくに、アパートやマンションなどの賃貸物件に住んでいた場合は原状回復をしなければならないため、早めに遺品整理を進めなければなりません。

遺品整理の流れや注意点について詳しく把握したい場合は、下記の記事を参考にしてみてください。

3-3-6.基本的には特殊清掃が必要

先ほども述べたように孤独死をした人がアパートやマンションなどの賃貸物件に住んでいた場合は、原状回復をして物件を返却する事が多いようです。そのため、基本的には特殊清掃が必要です

孤独死の現場は異臭や血液、体液など通常の清掃では落ちない汚れが染み付いてしまうことが多いです。場合によっては害虫などが発生していることがあり、簡単に掃除ができるものではありません。

この汚れを親族など身内で清掃しようとすると感染症に感染する可能性や心身ともに大きな負担となる可能性がありとても危険なので、特殊清掃ができる業者に依頼をするとよいでしょう!

特殊清掃の流れやコストは下記の記事にまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。

3-4.遺族が確認できない場合:地方自治体で火葬する

孤独死の場合は

  • 親族が遺体の引き取りを拒否する
  • 親族が見つからない

という理由で、遺体の引き取り先が見つからないことがあります。引き取り先が見つからない孤独死の遺体は、行旅死亡人と呼ばれることになります。

行旅死亡人とは、身元が判別せず引き取り先のない遺体を指す法律上の言葉です。行旅死亡人となると行旅死亡人取扱法に従って、地方自治体で速やかに火葬されます。

その後、地方自治体で一定時間お骨が保管され、この期間中に親族などの引き取り手が見つかればお骨が渡されます。一定時間が経過してもお骨の引き取り先が見つからない場合は、無縁塚に埋葬されることになります。

孤独死にはさまざまなケースがあるため、今回ご紹介した流れは一例となります。孤独死が発見された場合は、警察などの指示に従い適切な対応を取ることが大切です。

4.孤独死を発見した後に親族がやること一覧と費用

孤独死を発見した後には、親族は下記のようなことしなければなりません。

遺族がやること費用の目安
遺体の引き取り遺体の搬送費用:20,000円(搬送距離により異なる)
死亡届の提出死亡の事実を知ってから7日以内に提出:無料
火葬公営の場合:20,000円程度(自治体により異なる)
民営の場合:150,000円程度(ランクにより異なる)
葬式平均196万円(規模により大きく異なる)
遺品整理業者に依頼する場合:1LDKで70,000円~
遺言書、遺書の確認遺言書、遺書の有無の確認
特殊清掃1LDKで100,000円~(状況により大きく異なる)
マンション等の賃貸物件の解約契約状況により違約金発生
周囲への連絡勤め先等がある場合は死亡したことを連絡する
孤独死をした人が使用していたものを停止スマートフォン代やガス、電気等を停止する
墓地を建てる80万~300万円(ランクにより大きく異なる)
相続の手続き相続すべきものがある場合は相続手続きをする
(遺言書がある場合は内容に沿って相続をする)
相続の規模や方法により、費用が大きく異なる
孤独死を発見した後に親族がやること一覧

「3.孤独死が発見された後の流れ」でも解説したような火葬や葬式、特殊清掃に加えて、場合によっては賃貸物件の解約手続きや相続手続き、周囲への連絡など親族がやらなければならないことはたくさんあります。

孤独死は突然のことで、親族の気持ちの整理がついていないことが多いです。その状況の中で、これだけ多くのことをやらなければならないのは心身ともに大きな負担となるでしょう。

また、孤独死は死亡時の状態にもよりますが、突然まとまった資金が必要となる側面があります。火葬や葬式、特殊清掃などの費用だけでも、200万円以上かかってしまう事もあります。

孤独死は誰にでも起こりうることなのですが、想像以上に残された親族への負担となることを把握しておきましょう。

5.孤独死をした場合を想定して準備をしよう

孤独死は他人事ではなく、誰にでも突然訪れる可能性があります。孤独死をしてしまうと想像以上に周囲に負担をかけることになるので、孤独死をした場合を想定した準備が必要です。

そこで最後に、孤独死をした場合を想定し準備ができる

  • 生前整理を行う
  • 死亡保険に加入する
  • 葬式の生前契約をする
  • 親族や友人とのコミュニケーションを大切にする

という4つの方法をご紹介します。孤独死に備えて活用できる方法はあるのか、ぜひチェックしてみてください。

5-1.生前整理を行う

生前整理とは、生きている間にある程度身の回りの整理を行うことです。

生前整理を行っている業者は多数あり、主に下記のようなサービスが受けられます。(実施できるサービスは、業者により異なります)

生前整理の一例

家の中の清掃家の中をきれいに清掃しておくことで、孤独死したときの清掃の手間を少しでも軽減する
不要品の処分あらかじめ不要な家具や品物を処分しておくことで、孤独死をしたときに大変な遺品整理の手間を軽減する
デジタル整理SNSのアカウントやクレジットカード、月額料金が発生するサービスを把握、整理しておくことで、孤独死した後の契約解除がしやすくなる
財産目録の作成自分が所有している財産を一覧にしておき、孤独死をしたときに財産が一目で把握できるようにしておく
遺言書の作成法律に沿った形で遺言書を作成し、孤独死後の相続などがスムーズに進むようにしておく
財産の整理生前贈与などを踏まえて、自分の保有している財産を整理する

生きているうちに部屋の中を整理整頓しておくだけでも、孤独死をしたときの清掃費用が抑えられます。また、孤独死で発見された後に親族の負担となる相続や契約解除についても、生前整理である程度整理をしておけば負担が軽減できます。

このように、現状のままで突然孤独死を迎えたら親族の手間や負担が大きいと感じる場合は、生前整理を検討してみてください。

5-2.死亡保険に加入する

孤独死をした場合に親族にかかる費用的な負担を減らしたい場合は、死亡保険への加入を検討してみてください。

実は、自分の死後にかかる費用を普通預金で貯めていても、死亡届提出後には簡単に貯金を引き出せません。口座の名義人の死亡が確認された時点で口座が凍結され、相続手続きを終え正式な書類等がないと普通預金のお金を引き出して利用できないのです。

一方で、死亡保険は死亡保険金受取人の設定ができるため、あらかじめ設定しておいた親族に葬儀費用を振り込むことができます。(保険商品により設定方法が異なります)

孤独死をした後に親族に金銭的な負担をかけたくないと考えている場合は、前もって死亡保険に加入することも考えてみましょう。

5-3.葬儀の生前契約をする

孤独死をしたときに大きな費用負担となるのが、火葬や葬式の費用です。孤独死をしたときに親族に費用負担をさせたくない場合は、葬儀業者と生前契約を結んでおくこともできます。

生前契約は、事前に葬儀の方法や規模、会場を決めて支払いを済ませておく契約方法です。このときに喪主や喪主候補者を決めて遺言書を作成しておけるため、孤独死をしたときにスムーズに葬式や火葬が進められるのです。

喪主を任せられる親族がいる場合には生前契約をしておくことで、孤独死をした場合の親族への金銭的な負担が軽減できるでしょう。

5-4.親族や友人とのコミュニケーションを大切にする

「1.孤独死を発見するきっかけ」でも解説したように、孤独死は親族や友人との音信不通で発見させることが多いです。

逆に言うと、普段から親族や友人とコミュニケーションが取れておらず孤立している状態だと、孤独死をしてもなかなか発見されない可能性があります。

厚生労働省が公表している「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議報告書」でも孤独死と孤立の関係性に注目し、コミュニケーションが取れる環境作りが大切だと述べられています。

孤独死は発見が遅れれば遅れるほど死体の腐敗が進み、親族や警察に迷惑をかけることになります。普段から親族や友人と連絡を取り合い、互いに連絡が途切れた場合には心配し合える関係を築きましょう。

参考:厚生労働省「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議報告書」

6.まとめ

いかがでしたか?

孤独死で発見されるときの状況や孤独死で発見されたときの対応、孤独死をすると親族にかかる負担が具体的に把握でき、万が一孤独死をした場合の対策が考えられるようになったかと思います。

最後にこの記事の内容をまとめてみると

◎孤独死の現状や孤独死を発見するきっかけは下記のとおり

  1. 孤独死を発見するきっかけは、当事者と音信不通になり訪問をするケースが51.3%と圧倒的に多い
  2. 孤独死の第一発見者は、アパートやマンションの管理人や親族であることが多い
  3. 孤独死をして発見されるまでの平均日数は17日程度
  4. 孤独死の原因として最も多いのは病死
  5. 1年に約4,400人が孤独死しており、孤独死は他人事ではなくなってきている

◎孤独死を発見したときの初期対応は下記のとおり

死亡が確認できない場合救急車を呼ぶ(119番)
死亡していることが明らかな場合警察を呼ぶ(110番)

◎孤独死が発見された後の流れは下記のとおり

1)事件性がないか警察が現場検証をする
2)警察から親族に孤独死で発見された旨の連絡が入る
3)親族が確認できた場合は、下記のような流れとなる
①親族が遺体を引き取りに来る
②親族が死亡届を提出する
③孤独死の場合は死体の損傷が激しいことが多いので、先に火葬をする
④葬式を行う
⑤孤独死をした人の遺品整理を行う
⑥アパートやマンション等の賃貸物件は原状回復をする必要があるため特殊清掃を行う
4)警察が連絡をしても親族が見つからなかった場合は、自治体で火葬をする

◎孤独死を発見した後には、親族は下記のようなことをする必要があります。

遺族がやる必要があること費用の目安
遺体の引き取り遺体の搬送費用:20,000円(搬送距離により異なる)
死亡届の提出死亡の事実を知ってから7日以内に提出:無料
火葬公営の場合:20,000円程度(自治体により異なる)
民営の場合:150,000円程度(ランクにより異なる)
葬式平均196万円(規模により大きく異なる)
遺品整理業者に依頼する場合:1LDKで70,000円~
遺言書、遺書の確認遺言書、遺書の有無の確認
特殊清掃1LDKで100,000円~(状況により大きく異なる)
マンション等の賃貸物件の解約契約状況により違約金発生
周囲への連絡勤め先等がある場合は死亡したことを連絡する
孤独死をした人が使用していたものを停止スマートフォン代やガス、電気等を停止する
墓地を建てる80万~300万円(ランクにより大きく異なる)
相続の手続き相続すべきものがある場合は相続手続きをする
(遺言書がある場合は内容に沿って相続をする)
相続の規模や方法により、費用が大きく異なる
孤独死を発見した後に親族がやる必要があること一覧

◎孤独死をした場合を想定し準備をする方法は下記の4つ

1)部屋の整理整頓や遺言書作成、相続の手続きなど生前整理を行う
2)孤独死をしたときに親族に費用を渡せるように、死亡保険に加入する
3)葬式の生前契約をして、親族の手間や費用負担を減らす
4)親族や友人と常にコミュニケーションが取れるようにしておく

この記事をもとに、孤独死で発見されるとどうなるか理解でき孤独死を想定した備えができるようになることを願っています。

番外編! 孤独死発生時に必要な特殊清掃とその費用とは?

特殊清掃とは、通常の掃除やハウスクリーニングでは綺麗にしきれない場所を、専門の薬剤や機材を使用して徹底的に清掃することを言います。

最近は、孤独死現場における特殊清掃を取り扱ったドキュメント番組や取材記事が増えてきたこともあり、「孤独死」と「特殊清掃」をセットで考えている方も多いのではないでしょうか?

しかし実は、特殊清掃が必要とされるのは、孤独死が起こった場合のみとは限らないのです
例えば孤独死の他に、次のような局面でも特殊清掃業者が利用されています。

  • ゴミ屋敷
  • 水害現場
  • 火災現場
  • ペット屋敷(多頭飼育崩壊等)

こういった現場では、特別な薬剤を使用した清掃、除菌消毒、徹底消臭、床材等の解体といった専門技術が必要となるため、業者による特殊清掃が行われるのです。

特殊清掃について、その専門的な技術や様々なケースで利用できることを知らないと、特殊清掃が必要な状況に直面しても解決策が分からず、いつまでもその問題に悩み続けることになってしまうかもしれません。

そうならないために、ここからは「特殊清掃とは何か?」を徹底的に解説した上で、

  • 特殊清掃が利用される局面
  • 特殊清掃で行う作業内容
  • 特殊清掃の実際の事例
  • 特殊清掃を依頼する状況

について説明します。
さらに、特殊清掃の依頼が必要な方のために、費用相場や業者選びのポイント依頼する際の注意点も紹介していきます。

特殊清掃に対する疑問を解消し、あなたが置かれている状況を速やかに改善するために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

この記事を読めば、、特殊清掃がどんなものかを理解した上で、あなたにとって特殊清掃が必要かどうかを判断し、適切な業者にスムーズに依頼することができるようになりましたら幸いです。

番外編1. 特殊清掃とは?

冒頭でもお伝えしたように、特殊清掃とは、通常の清掃では対応しきれない汚れや臭いを、専門の薬剤や機材を使用して徹底的に掃除することです

下記のグラフの通り、日本では孤独死が年々増加していて、それに伴って特殊清掃の需要や認知度も拡大しています。

出典:国土交通省

とはいえ、専門の薬剤や機材を使用した清掃が必要なのは、孤独死が発生した場所だけではありません
孤独死現場での特殊清掃は、テレビ番組や書籍で取り上げられる機会が多いので、「特殊清掃=孤独死現場の掃除」とイメージされているかもしれませんね。

しかしそうではなく、特殊清掃の技術が必要なたくさんのケースのうちの一つが孤独死現場というだけなのです。

つまり、強烈な臭いを完全に消したり、市販の洗剤では落とせないような汚れを落としたいなら、孤独死現場に限らず特殊清掃が必要になりますし、特殊清掃の業者に相談する

事態なのです。

ここでは、状況や場所に囚われず特殊清掃を適切に利用するための第一歩として、まずは

  • 特殊清掃でできること
  • 特殊清掃と合わせて利用できるサービス

について理解していきましょう。

1-1. 特殊清掃でできること

通常の清掃では綺麗にしきれない場合に必要とされる特殊清掃ですが、具体的に何ができるのかはよく分かりませんよね。

特殊清掃でできることは、かなりシンプルに分類すると次の3つです。

  • 清掃、洗浄
  • 除菌消毒
  • 消臭

この3つを確実に行うことが特殊清掃の基本となります。
言い換えれば、

  • 市販の洗剤では取れない汚れ/害虫
  • ウイルスや細菌の蔓延
  • 強烈な臭い

といった問題を抱える現場を、一般的な清掃では対応できない方法で清掃するのが特殊清掃の基本です。もう少し詳しく言うと、それぞれの問題に対して次のような方法でアプローチしていきます。

市販の洗剤では取れない汚れ/害虫・専門の薬剤や機材による清掃
・床材を解体して、床下に到達した汚れを取り除く
・殺虫剤の噴霧による害虫の徹底駆除
ウイルスや細菌の蔓延・防護服やゴーグルを装備
・専門の薬剤や機材による消毒、除菌
・消毒や除菌の際に死滅した善玉菌の補填
強烈な臭い・専門の薬剤や機材による消臭、脱臭
・床材を解体して、床下に到達した匂いの元を除去、封じ込める
・臭いを吸収した壁紙を剥がす

このように専門的な技術や薬剤・機材を用いて、各現場を「人が普通に立ち入れる場所」、「人が住める場所」に回復できるのが特殊清掃なのです。このような作業に特化しているからこそ、孤独死が発生した際には必須と言えるのでしょう!

1-2. 特殊清掃と合わせて提供されるサービス

特殊清掃でできる基本的なことはお分かりいただけたかと思いますが、実際の現場では基本的な特殊清掃+付帯サービスを提供することが多いです。

もし業者が基本的な特殊清掃しか行わなかったら、臭いが染み込んだゴミの処分や、特殊清掃が必要な箇所以外の清掃は依頼者自身でしなければなりません。
でも、できることなら室内や自宅全体が綺麗な状態になるまでに必要な作業は、全て任せてしまいたいですよね。

そのようなニーズに応えられるよう、特殊清掃業者では次のような作業も行ってくれることが多いです。

  • ハウスクリーニング
  • 遺品整理
  • 家財撤去
  • ゴミの処分
  • 賃貸物件の返却立ち合い
  • 保険対応

一つずつ紹介していきますね。

1-2-1. ハウスクリーニング

特殊清掃の基本的な作業が終わった後に、依頼者の要望があればハウスクリーニングも行ってくれます。

ハウスクリーニングの範囲で清掃することが多いのは、

  • キッチンシンク
  • 浴室
  • トイレ
  • ガスコンロ
  • 換気扇

といった水回りや頑固な油汚れが付きやすい場所です。

特殊清掃現場では、汚れが素人の手には負えないものになっていたり、依頼者自身では清掃できない事情があることが多く、そのような場合にはハウスクリーニングも必要とされています。

特殊清掃と合わせてハウスクリーニングが必要になるのは例えば次のようなケースです。

原状回復の必要がある孤独死現場
住人が亡くなったことで賃貸契約を解約し、物件を返却する場合には、遺族は部屋を原状回復する必要があります。室内は故人が生活していた状態のままなので、ある程度の生活汚れが付いているはずです。
そのため特殊清掃を行った後、原状回復のためには通常の清掃も必要になりますが、精神的に遺族の手で掃除するのは難しいことも多々あります。 そこで、特殊清掃と合わせてハウスクリーニングのサービスが必要となるのです。

何年も掃除されていないゴミ屋敷
ゴミ屋敷化してしまった部屋は、掃除も長期間されていない場合がほとんどです。特に何年間も放置された水回りの汚れは家主の手に負えないことが多く、ゴミ屋敷の清掃では、特殊清掃に加えてハウスクリーニングもよく一緒に利用されます。

こうした状況で特殊清掃に加えてハウスクリーニングも行えば、汚れが取れて綺麗になることはもちろん、消臭もより徹底したものになります。賃貸物件で孤独死が発生した際などには、大家様に家を帰す際に特殊清掃は必須と言えます。

1-2-2. 遺品整理

孤独死現場の特殊清掃とセットで行われることが多いのが遺品整理です。

故人の方が遺したものを遺族と共に、場合によっては代行して整理するサービスで、形見として残すものと不要なものを慎重に分類し、不用品を撤去・処分するところまで行ってくれます。

遺品整理を第三者の手で行うことに違和感を感じられるかもしれませんが、孤独死現場の以下のような状況から、特殊清掃と合わせて遺品整理のサービスも必要となってくるのです。

  • 突然家族が亡くなり、心理状態的に遺族による遺品整理が難しい。
  • 賃貸物件の返却のため、急いで遺品整理をする必要があり遺族だけでは対応できない。
  • 布製や紙製の物を形見として残したいが、臭いが染み付いていて消臭・梱包の必要がある。

特殊清掃業者の方もこのような状況を把握していて、需要が高いことから遺品整理を付帯サービスとしていることが多いのです。

身内が孤独死した場合の遺品整理について、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

1-2-3. 家財撤去

特殊清掃を行った現場に不要な家財が大量にある場合は、その撤去も特殊清掃業者に任せることができます

  • 賃貸物件の孤独死現場を家主や管理会社に返却するために原状回復する
  • ゴミ屋敷で家具が傷んでいる
  • 床上浸水で家財一式がダメになってしまった

といった場合には特殊清掃を行った上で、不要になった家具や水に浸かって使用できなくなった家電を大量に撤去しなければなりません。
依頼者側でそのような大型の家具・家電を処分するためには、次のような作業が必要となります。

  • 自治体への粗大ゴミ回収の依頼
  • 粗大ゴミ処理券の購入、添付
  • 家電の収集ができる販売店や業者への回収依頼
  • 郵便局でのリサイクル料金の支払い
  • 室内からの運び出し

このように、全てを一括で処分できるわけではないので時間も労力もかかってなかなか大変です。

こうした依頼者の負担を軽減するため、特殊清掃業者では家財の運び出しや処理会社への引き渡しサービスを用意していることが多いです。
特殊清掃に加えて家財撤去が必要な場合は、こうした対応ができる業者を選ぶと良いですよ。

家財撤去について、特殊清掃業者に依頼する以外の方法についても知っておきたい方は以下の記事を読んでみてください。

1-2-4. ゴミの処分

ゴミ屋敷や火災現場での特殊清掃には大量のゴミがつきものです。その大量のゴミを適切に処分するため、

  • 分別
  • 梱包
  • 運び出し
  • 処理業者への引き渡し
  • 市区町村/都道府県との処分方法に関する協議(火災ゴミの場合)

といったサービスを提供している特殊清掃業者もあります。

実際に処理・処分するのは、各自治体から許可を得た別業者である場合がほとんどですが、許可を持っている処理業者への引き渡しや、それまでに必要な作業を特殊清掃と並行して行ってくれます

そうした作業までカバーしてくれるのはありがたいですよね。

1-2-5. 賃貸物件の返却立ち合い

特殊清掃に入った物件が賃貸で、最終的に物件を不動産会社や管理会社に返却する場合には、引き渡しの場に特殊清掃業者が立ち合ってくれる場合もあります。

特殊清掃を利用したことのない方からすれば、

「そんなサービス必要?」

と不思議に感じますよね。

なぜこのサービスが必要とされるか、孤独死現場を例に考えてみましょう。

賃貸物件で一人暮らしをしていた親族が、自宅で亡くなっていたとします。遺族の方は、その部屋の特殊清掃を依頼し、更に原状回復をして家主や管理会社に部屋の返却をしなければなりません。
返却の日になって、遺族と家主側で室内をチェックする時、実際に特殊清掃を行ったわけではない遺族は、

  • 時間が経っても臭いが戻ることはないか
  • どんな作業を行ったのか

という家主側の確認にうまく回答できず、困ってしまいます…

このように、物件の返却の場に遺族と家主しか居ない場合、遺族はうまく部屋の状況が説明できず、家主側も確認することがわからないままで困った状況になってしまいます。

そこで、実際に特殊清掃を行った業者のスタッフがその場に出向き、部屋の汚れや臭いをどのような作業で落としたか、どのように原状回復を行ったか等の施工内容を家主側に説明することが必要になってくるのです。

こうしたサービスがあることで、管理者側も納得することができ、解約の手続きがスムーズに進みやすくなります。
また依頼者側も、自分の代わりに作業内容を詳しく説明してもらえるのは心強いですよね。

1-2-6. 保険対応

依頼者が孤独死保険や火災保険に加入していた場合、保険金を請求するために

  • 作業見積もりの提出
  • 作業内容の説明

といった対応が必要になります。

こういった保険対応は、慣れていない人にとっては分からないことも多いですし、よく分からないまま話が進むことで行き違いが起こり、もらえるはずの保険金がもらえないという事態にも繋がりかねません。

そんな依頼者の損失を避けるために、保険対応の代行を付帯サービスとしている特殊清掃業者もあります。
多くの依頼者は保険対応の経験が無い場合が多いですが、こうしたサービスを行う特殊清掃業者は保険対応に慣れています。保険金を適切に受け取るために、

  • どのような特殊清掃や作業を施したか
  • その作業がなぜ必要だったのか

などを的確に説明してくれます。
保険に加入しているなら、自分で対応するよりも保険対応に慣れている業者に任せた方が確実でしょう。

大家向けの孤独死保険について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

番外編2. 特殊清掃業者が利用される局面

特殊清掃でできることや、特殊清掃業者による付帯サービスを見ていただきました。この内容から、特殊清掃が孤独死現場に限らず、色々な現場で役立つことがお分かりになってきたのではないでしょうか?

実際に特殊清掃は次のような様々な局面で必要とされています。

  • 孤独死現場/事件現場
  • ゴミ屋敷
  • 水害現場
  • 火災現場
  • ペット屋敷

ここでは上記の局面で特殊清掃がどのような問題に対処しているのかを紹介します。

2-1. 孤独死現場/事件現場

まずはメディアでもよく取り上げられる孤独死現場と事件現場での特殊清掃についてお話しします。

孤独死現場と事件現場に共通する最大の難点は、室内に遺体があったことです。発見までの日数等、それぞれの現場の状況にもよりますが、室内に遺体があったことで、

  • 死臭
  • ウジ虫・ハエの発生
  • 体液や血液の汚れ
  • 遺体や血液が原因の細菌・ウイルスの繁殖

といった素人にはどうしようもできない問題が発生します。
特に細菌やウイルスの繁殖は大変危険な事態で、防護服無しで室内に入れば感染症や体の不調を引き起こす恐れがあります。

特殊清掃では徹底した洗浄・消臭・消毒を行うことで、こうした問題に対処します。
特殊清掃の作業があってはじめて、孤独死現場や事件現場は人が安全に出入りできる環境に戻すことができるのです。

2-2. ゴミ屋敷

ゴミ屋敷の片付け・清掃でも特殊清掃が必要とされています。
一見するとゴミを捨てればゴミ屋敷の問題は解決するようにも思えますが、実はゴミ屋敷は次のような問題を抱えているのです。

  • 大量のゴミ
  • ゴミの腐敗臭
  • 長年蓄積された汚れ
  • 害虫や害獣の発生
  • 雑菌の繁殖

大量のゴミに加えて、ゴミから発生した悪臭や、長年ゴミで埋もれている床やキッチンの汚れ、ゴキブリやネズミの発生に対してまとめて対処するなら特殊清掃の基本作業や付帯サービスが必要になります。

また、ゴミ屋敷化してしまった部屋は換気をしていないことが多く、その中でゴミが溜まり害虫や害獣も発生しているため、雑菌が繁殖している可能性が高いです。

特殊清掃の消毒・除菌技術もゴミ屋敷清掃では重要なことなのです。

2-3. 水害現場

特殊清掃の洗浄・消臭・消毒技術は水害現場でも活かされています。

「水害の復旧に本当に特殊清掃が役立つの?」
と、なかなかイメージしづらいかもしれませんが、まずは浸水の発生した建物に起こる問題を見てみましょう。
浸水のあった建物では、

  • 汚泥や汚水の流入
  • 雑菌の繁殖
  • 悪臭
  • カビの繁殖
  • 使用できなくなった大量の家財

といった問題が出てきます。

建物内に流れ込んでくる泥や水は、外のゴミや汚れも一緒に運んでくるため、悪臭や雑菌が発生し、水がなかなか引かなければカビも生えてきます。
特殊清掃では、こうした悪臭や雑菌・カビに対して適切な方法で消臭・消毒を行い対処しています。

また水害現場の経験が豊富な業者なら、床下・床上に流入した泥や水を排除するところから対応できますし、使えなくなった家財の処分も手配してくれます。

自宅が浸水してしまった場合、ご自身で片付けたりボランティアの方に清掃を手伝ってもらったりするケースも多いですが、その後も長く住み続けるなら、特殊清掃を依頼して消毒や消臭を徹底してもらえると安心ですよね。

2-4. 火災現場

火災のあった建物を再度利用するのであれば、特殊清掃を行う必要があります。

火災後の建物では、

  • ススの付着
  • 焦げたような臭い
  • 大量の火災ゴミ(通常のゴミ収集はしてもらえない)
  • 有害物質の発生

といった問題を抱えることになり、素人やハウスクリーニングではとても対応することができません。

火災現場に慣れている特殊清掃業者であれば、スス汚れや焦げ臭さに対して徹底した清掃・消臭を行い、火災ゴミや有害物質の発生に対しては、

  • 火災ゴミの分別・梱包、自治体と協議した上での処分
  • 専用の機材による有害物質の分解

といった対応を行ってくれます。

2-5. ペット屋敷

多頭飼育崩壊の起こった犬屋敷・猫屋敷などでも特殊清掃の技術やサービスが役立ちます。
ペット屋敷では多くの動物が生活していて、飼い主が世話をしきれず、その結果次のような問題が起こっています。

  • 糞やおしっこによる悪臭
  • 糞やおしっこによる汚れ
  • 雑菌の繁殖

特におしっこによる汚れは床下まで染み込んでいるケースがほとんどで、これを清掃しなければ悪臭もなくなりません。そうなると床の解体や畳の撤去を行う必要があり、通常の清掃では対処することができないのです。
また、放置された糞にはウイルスや雑菌が潜んでいて、専門の薬剤での清掃と除菌が必要です。

このように、ペット屋敷の抱える問題に、確実かつ安全に対処するために特殊清掃が利用されているのです。

番外編3. 孤独死現場の特殊清掃で行う作業

特殊清掃が必要となる局面とそれぞれの現場が抱える問題について紹介しました。どのケースでも通常の掃除やハウスクリーニングでは対応できない汚れや臭い、雑菌の繁殖といった問題が起こっていましたね。

特殊清掃によってこうした問題に対処していくのですが、具体的にどのような作業を行っているのか分からなければ、本当にきちんと清掃・消臭・消毒ができているのか疑問が残りますよね。

そこでここでは、

  • 孤独死現場/事件現場
  • ゴミ屋敷
  • 水害現場
  • 火災現場
  • ペット屋敷

で行われている特殊清掃の作業内容についてお話ししていきます。
細かい作業内容は業者によって異なるので、作業方法を例に説明します。

各現場での作業の流れも含めて知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

3-1. 孤独死現場/事件現場での作業内容

孤独死や事件が起こった現場では、遺体のあった場所や発見までにかかった日数によって作業内容が少しずつ変化しますが、どのような場合でも実施される最低限の作業を次の表にまとめました。

作業内容作業詳細・目的
汚染物除去体液が染み込んだ敷物や畳、ベッドマット等を梱包し撤去。
この作業で細菌やウイルス、臭いの発生源を取り除く。
汚物清掃遺体のあった場所を中心に、血液・体液・糞尿等を清掃。
作業員が汚れた場所を踏んで汚染箇所を広げることを防ぐ効果もある。
ライト照射確認紫外線を照射して、汚染物が除去できたか、汚物清掃した箇所に残留物が無いかを確認。
消毒剤散布消毒剤を噴霧器を使用して散布。
壁や天井、カーテン・窓に付着した病原菌を死滅させる。
オゾン燻蒸高濃度オゾン発生器を設置して、除菌・消臭を行う。
ウジ虫・ハエの除去剤散布発生しているウジ虫やハエを専用の薬剤で殺虫・除去。
近隣への対策基本の特殊清掃が完了しても、遺品等が残っていて原状回復には至っていない場合、玄関の隙間に養生テープを貼って、臭い漏れを防止。

ここまでの作業を終えることで、ご遺族やお部屋の管理者の方が防護服なしで立ち入っても問題のない環境に回復します

さらに、体液が床下まで染み込んでいる場合や完全消臭のためには、

  • 床を解体した上での洗浄・消毒
  • 壁のクロスを剥いだ上での洗浄・消毒
  • 解体できない部分に染み付いた臭いを封じ込めるための特殊コーティング

といった作業も行われます。
他にも現場の状況や依頼者の要望に応じて、必要な作業があれば追加で実施されます。

番外編4.【孤独死】特殊清掃の事例紹介

ここまでで、特殊清掃にできることや各現場での具体的な作業内容はお分かりいただけたかと思います。
とはいえ、特殊清掃が利用される局面はどれもイレギュラーな事態であるため、なかなかイメージしづらい部分もありますよね。

そこでここでは、特殊清掃が行われた実際の事例を紹介します。作業中の画像も掲載しているので、特殊清掃の内容についてより理解が深まるはずですよ。

4-1. 孤独死現場の特殊清掃事例

孤独死の特殊清掃は状況によって作業内容が変わりますが、今回は人が安全に立ち入れる状態に戻すための基本的な作業場面を紹介します。

状況としては、故人が畳の上で亡くなられていた事例です。

まずは室内に消毒剤を散布します。空中に浮遊する雑菌を落下させることで、作業員が飛沫感染することのないようにします。

次に体液の付着したものを撤去していきます。畳も剥がして廃棄します。
この時、体液を踏んでしまうと汚染箇所が拡大してしまうため、体液を踏まないように注意をしながら作業を進めます。

畳の下まで体液が染みていたので、洗浄を行います。
洗剤だけではなく、様々な薬品を合わせて使用することで徹底的に洗浄していきます。

洗浄した箇所を乾燥させて、コーティング剤を塗っていきます。この作業によって、わずかな臭いも封じ込めます。
コーティング剤は臭気の程度によって、使用する種類を変えています。

コーティングが終わり、さらに殺菌消毒と簡易消臭を施したところで人が立ち入れる状態にするための特殊清掃作業は完了です。
この後に家財整理や原状回復作業が必要な場合もあり、そうした作業も一貫して依頼されるケースが多いです。

番外編5. 特殊清掃を依頼する状況

様々な現場での特殊清掃の事例を作業の画像と共に紹介しました。
ここまで読んでいただいて、様々な局面で特殊清掃がどのように作業を行い、問題を解決していくかがイメージしやすくなってきたのではないでしょうか。

それでも特殊清掃は、日常からは離れたところにある存在ですよね。
だからこそ、もしあなたが特殊清掃が必要な状況に陥っていたとしても、なかなか相談・依頼に踏み切れなくて状況が悪化してしまう可能性もあるはずです。

そこでここでは、特殊清掃が利用される局面において、具体的にどういった状況なら特殊清掃業者に相談するかを可能な限りお伝えします。

5-1. 孤独死現場/事件現場で特殊清掃を依頼する状況

孤独死や事件が発生した場合には、基本的にほとんどのケースで特殊清掃を行った方が良いです。具体的には下記のような状況であれば、迷わず特殊清掃業者に相談してください。

  • 遺体の発見が5月〜10月中で、死後2日以上経っていた
  • 遺体の発見が11月〜4月中で、死後4日以上経っていた
  • 遺体が暖房器具の作動している室内で発見され、死後2日以上経っていた
  • 遺体発見までの日数に関わらず、体液が室内に残っている
  • 出血や吐血による血液で室内が汚れている
  • 汚物がある
  • ウジ虫が発生している
  • 遺体を移動させても死臭が残っている
  • 賃貸物件を返却するため家財撤去や遺品整理が必要だが、心理的に難しい

遺体や体液、血液にはウイルスや細菌が潜んでいる可能性が高く、素人の手で清掃するのは危険です。

上記のような状況であればもちろん、少しでも不安なことがあるなら必ず特殊清掃業者に相談してくださいね。

孤独死現場の特殊清掃を依頼する理由やメリットなどを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

番外編6. 特殊清掃に必要な費用相場

ここまで読んでいただいて、特殊清掃を依頼する状況が具体的にお分かりいただけたかと思います。
もしあなたが孤独死や水害、火災等に遭遇した場合に、特殊清掃を依頼すかどうか適切に判断するための情報をお伝えしてきました。

そこで次に気になるのが、

「特殊清掃にはどれくらいの費用がかかるのか?」

ということですよね。

もちろん現場の状況や作業内容で費用は変動するのですが、どのように費用を計算するかというと、作業を行う間取りと作業内容によって算出されているのです。

まず作業を行う間取りによって、次のような基本作業料金がかかります。

1R・1K70,000円〜
1DK100,000円〜
1LDK130,000円〜
2DK180,000円〜
3LDK240,000円〜

※特殊清掃全般の相場であるため、各現場での相場は事前に確認をしてください。

このような間取りによる基本料金に加えて、作業ごとの料金が加算されて最終的な費用が決まります

孤独死現場の特殊清掃費用には、その他で

遺品整理費用+消臭費用+リフォーム費用
などが追加され、概ね100万円程度の支払いになります。

特殊清掃の費用について、ケースごとのシミュレーションなども見てみたい場合は以下の記事を参考にしてみてください。

6-1. 孤独死現場/事件現場の作業費用

孤独死現場や事件現場では、人が立ち入れる状態にするための基本作業をパック料金内で行うことが多く、この場合は間取りによる基本料金は追加されず、パック料金内で消毒・清掃・消臭を行います。

この基本作業料金をパック料金で定額にしている場合が多くあります。

基本作業に加えて、次のような作業を行う場合は、パック料金に各作業ごとの料金が加算されていきます。

作業内容費用
体液等が染み込んだ床材の切断35,000円
特殊コーティング
(臭いを封じ込めるためのコーティング剤塗布)
5,000円/1箇所
ハウスクリーニング:キッチンセット15,000円
ハウスクリーニング:窓5,000円/1箇所
ハウスクリーニング:お風呂9,800円
ハウスクリーニング:トイレ9,800円

この他に、お風呂場やトイレで亡くなっていた場合に発生する追加作業の料金も知りたいという方は以下の記事にも目を通してみてください。

7. 特殊清掃業者を選ぶ時に見るポイント

特殊清掃にかかる費用相場がわかったところで、今度は特殊清掃業者を選ぶ時のポイントを理解しておきましょう。

実は、特殊清掃業者の数は年々増加していて、中にはずさんな清掃を行うようなところや内容に見合わない高額請求をしてくる業者も存在します。
そのような悪徳業者に依頼すれば、特殊清掃を別業者でやり直してもらったり、必要のない料金を支払ってしまったりと精神的にも経済的にもダメージを受けることになります。

そのようなことにならないために、特殊清掃業者を選ぶ際は次のポイントを見ておくと良いでしょう!。

  • 依頼したい現場での実績
  • 項目が細かい見積もり
  • 所持している資格
  • 過去の評価やクチコミ
  • 相談した際の対応

それぞれのポイントについて詳しくお話しします。

7-1. 依頼したい現場での実績

特殊清掃業者を選ぶ際は、依頼したい現場での経験が豊富な業者を選ぶようにしましょう。

多くの現場をこなしてきた業者であれば、会社のPRにもなるので公式サイトなどで事例を紹介しているはずです。過去の事例は必ずチェックするようにしてください。

事例をチェックする際に注意して見ていただきたいのが、「依頼したい現場の実績があるかどうか」です。

例えば、水害現場の特殊清掃業者を探している場合に孤独死現場の経験が豊富な業者が見つかってもあまり意味がありません。
確かに孤独死現場で培った清掃・消毒・消臭の基本的なノウハウは持っているでしょうが、孤独死現場と水害現場では発生する臭いの種類も汚れも全く別のものです。適切に処理するために必要となる技術も異なるのです。

あなたの直面している状況に適切に対処してもらうために、依頼したい現場での実績が豊富な業者を選ぶようにしてください。

7-2. 項目が細かい見積もり

実際に特殊清掃作業に入る前に、まずは見積もりを出してもらうことになりますが、見積書に細かい項目まで記載されているかをチェックするようにしてください。

細かい項目が記載された見積書とは、

  • 作業内容
  • 作業ごとの料金

がそれぞれ明記されているもののことです。
詳細に記載してある分、把握するのが大変かもしれませんが、それくらいの方が安心です。不明なことがあれば、メモをしながら納得できるまで担当者に聞いてみれば良いのです。

逆に、シンプルで分かりやすい見積書には要注意です。
シンプルなだけで、作業内容が不明瞭で何に対して料金がかかるのか分かりませんし、作業が始まってから追加料金を言い渡される可能性も高いです。

見積もりは細かい作業内容が記載されているものを作成してもらいましょう!

7-3. 所持している資格

特殊清掃業そのものは、資格が無くても開業できてしまいます。
だからこそ、優良業者を選ぶためには資格を所持しているか確認することが大切です。

特殊清掃に関わる資格には次のようなものがあります。

  • 解体工事業登録
  • 古物商許可

この中でも、特殊清掃の品質を左右するのが解体工事業登録です。
特殊清掃では、状況によっては床材や壁を解体・切断して作業を行う必要が出てきます。この作業をしなければ、床下や壁裏に染み付いた汚れ・臭いは除去することができないからです。

そのため、特殊清掃業者を選ぶ際はまず、解体工事業登録を取得していることを確認するようにしてください。その上で、他の資格についてもチェックしてみると良いですよ。

特殊清掃に関連する資格について、もっとよく知りたい方は下記の記事を読んでみてください。

7-4. 過去の評価やクチコミ

優良な特殊清掃業者を選ぶためには、過去にその業者を利用した方の評価を知ることも大切です。
利用者の評価やクチコミは下記のような場所で見ることができます。

  • 公式サイトなどに掲載されている「お客様の声」やアンケート
  • Googleマップの評価・クチコミ
  • その他比較サイト等の評価・クチコミ

できれば、公式サイトだけではなく、Googleマップや比較サイトといった外部の媒体に掲載されている評価も合わせてチェックしてみてくださいね。

7-5. 相談した際の対応

ここまでのポイントをクリアしている業者なら、適当な作業を行ったり高額請求をしてきたりということは無いはずですが、最終関門として相談した際の担当者の対応も見ておきましょう

その他のポイントをクリアしている業者が複数見つかったなら、最後の決め手はあなたが

「話しやすい、何でも相談できる!」

と思えることです。
特殊清掃が必要な大変な状況に直面している中で、不安なことやわからないことを業者側に伝えられるということは安心感に繋がります。

少しでも安心して特殊清掃を任せられる業者を選ぶことで、あなたの精神面の負担を軽減してくれるはずです。

8. 特殊清掃を依頼する時に気をつけること

特殊清掃業者を選ぶ時のポイントについてお話しましたが、業者選びの他にも特殊清掃を依頼する時に気をつけると良い事があります。

それは、

  • 特殊清掃は早めに依頼する
  • 相見積もりを取る
  • 相談する際に状況を伝えられるようにしておく
  • 孤独死現場/事件現場、火災現場には立ち入らない

の4点です。
どれも適正な価格でスムーズに問題を解決するために必要なことです。一つずつ説明していきますね。

8-1. 特殊清掃は早めに依頼する

まず特殊清掃を依頼するタイミングについてですが、できる限り早めに依頼するようにしてください

特殊清掃が必要な状態なのに、何もせずにいると室内の臭いや環境は悪化する一方です。状態が悪くなれば、作業にかかる時間も費用も多くなってしまいます。

また、悪臭や害虫の発生源になっていれば近隣から苦情を入れられる可能性もあります。

不動産会社や管理会社から待機するよう指示された場合は、相談や簡易見積もりだけでも依頼しておくと、その後スムーズに事が運びますよ。

8-2. 相見積もりを取る

作業を行う前の見積もりは、必ず複数の業者にお願いしましょう
相見積もりを取ることで、

  • 依頼したい状況での費用相場が把握できる
  • 費用や作業内容を比較できる
  • 明らかに安すぎる/高すぎる業者を選ばずに済む
    (適当な作業を行う業者や悪徳業者を選ばずにすむ)

といったメリットがあります。
少し手間はかかりますが、適正価格で納得のいく作業を行ってもらうために、どんなに少なくとも3社以上に見積もりを取るようにしてください。

8-3. 相談する際に状況を伝えられるようにしておく

業者に相談をする時には、室内の状況をできるだけ詳しく伝えられるようにしておきましょう。
電話で相談する場合は、メモを取っておいたり、あらかじめ状況をメールで送っておくと良いですよ。

状況を伝える際に、

  • 遺体発見から何日経過しているか
  • 孤独死/事件現場の場合は、死後何日で遺体を引き上げたか
  • 部屋の間取り
  • 汚れや臭いのある場所
  • どこがどの程度汚れているか
  • ゴミがどれくらい出そうか

といったことを意識して、説明するようにしましょう。
業者側も現場がどのような状態か大体つかめて、作業内容や費用の話がスムーズにできるようになります。

8-4. 孤独死現場/事件現場には立ち入らない

これまでにもお伝えした通り、孤独死現場や事件現場には細菌やウイルスが、火災現場には有害物質がまん延している恐れがあります。

感染症や体調に影響が出るリスクがあるため、基本の特殊清掃が終わり人が立ち入れる状態になるまでは入室しないようにしてください。

どうしても特殊清掃前に室内に入らなければならない事情がある場合でも、自己判断では立ち入らず、事前に作業を行う予定の業者に相談するようにしましょう。

番外編9. まとめ

いかがでしたか?
特殊清掃がどんなものかお分かりいただけたのではないでしょうか。

最後に今回お伝えした内容をおさらいしましょう。

特殊清掃とは

  • 通常の清掃では対応しきれない汚れや臭いを、専門の薬剤や機材を使用して徹底的に掃除すること。
  • 専門技術で、清掃、洗浄除菌消毒消臭 を行う。

特殊清掃が利用される局面

  • 孤独死現場/事件現場
  • ゴミ屋敷
  • 水害現場
  • 火災現場
  • ペット屋敷

孤独死現場や事件現場以外にも、このような局面で特殊清掃が利用され、それぞれの現場に応じた作業内容で清掃・除菌消毒・消臭を徹底的に行います。

特殊清掃を依頼する状況

孤独死現場/事件現場の場合

  • 遺体の発見が5月〜10月中で、死後2日以上経っていた
  • 遺体の発見が11月〜4月中で、死後4日以上経っていた
  • 遺体が暖房器具の作動している室内で発見され、死後2日以上経っていた
  • 遺体発見までの日数に関わらず、体液が室内に残っている
  • 出血や吐血による血液で室内が汚れている
  • ウジ虫が発生している
  • 遺体を移動させても死臭が残っている
  • 賃貸物件を返却するため家財撤去や遺品整理が必要だが、心理的に難しい

特殊清掃にかかる費用相場

特殊清掃の費用は、間取りによる基本料金+作業内容で算出されます。
間取り別の基本料金相場は次の通りでした。

1R・1K70,000円〜
1DK100,000円〜
1LDK130,000円〜
2DK180,000円〜
3LDK240,000円〜

特殊清掃業者を選ぶ時に見るポイント

  • 依頼したい現場での実績
  • 項目が細かい見積もり
  • 所持している資格
  • 過去の評価やクチコミ
  • 相談した際の対応

特殊清掃を依頼する時に気をつけること

  • 特殊清掃は早めに依頼する
  • 相見積もりを取る
  • 相談する際に状況を伝えられるようにしておく
  • 孤独死現場/事件現場、火災現場には立ち入らない

あなたが特殊清掃が必要な状況に直面した時に、この記事の内容が役に立てば幸いです。

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