「床下浸水の被害を受けてしまった…この場合、罹災証明書は受け取れるのだろうか」
「床下浸水の罹災証明書で受けられる支援はあるのだろうか」
台風や集中豪雨の被害に遭い、床下浸水で罹災証明書が受け取れるかどうか不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、床下浸水による罹災証明書は発行されます。
床下浸水は国が定めた被害区分の中の「一部損壊」として認められているからです。
ただし、床下浸水の罹災証明書で受け取れる支援は限定的なので、注意が必要です。
限定的とは、必ず充分な支援が受け取れるという訳ではなく、災害の規模や支援を行う団体や自治体の状況により、配布有無や支援額が大きく左右されるということです。
床下浸水で罹災証明書による支援を受けられる場合があるのは以下の4つです。
- 義援金
- 市区町村からの災害見舞金
- 所属組織・団体からの復旧見舞金
- 火災保険の特約
上記の支援が受け取れない場合は、床下浸水に対して以下の3つの方法で対応する必要があります。
- 自治体に依頼する
- 自身で処理をする
- 業者に依頼する
この記事では床下浸水で罹災証明書を受け取るための具体的な方法や床下浸水への対処法について、順に説明していきます。
この記事を読むと、床下浸水で罹災証明書を発行してもらうために自分がするべき具体的な行動が分かり、床下浸水の被害にも適切に対処できるようになります。
安心して元の生活が一日でも早く送れるように、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
1.床下浸水で罹災証明書は発行される
冒頭でもお伝えしたように床下浸水した場合、罹災証明書は発行されます。
床下浸水は住宅の一部損壊と認められるため、各自治体に床下浸水したことを証明できれば発行されるのです。
そのためには、以下の床下浸水と判定される基準を全て満たす必要があります。
【床下浸水と認められる基準】
- 床下に水が入ったことが認められる(たとえ1mmの浸水でも認められる)
- 床下浸水によって住戸や生活への被害が認められる
- 災害と被害の間に因果関係が認められる
参考:国土交通省 浸水深と避難行動について / 消防庁 災害報告取扱要領
それぞれの基準をもう少し詳しく説明すると下記のようになります。
<1>床下に水が入ったことが認められる(たとえ1mmの浸水でも認められる)
床下浸水の定義は、国土交通省によると「0~0.5m」とされ、消防庁によると数値の記載はなく「床上浸水にいたらない程度に浸水したもの」とされています。このことから、床下に水が侵入してしまった時点で床下浸水とみなすことができます。
<2>床下浸水によって住戸や生活への被害が認められる
<1>の床下浸水の基準を満たしていても、住戸や生活への被害が認められない場合、床下浸水での被害認定はされません。なぜなら国が定めた被害認定基準で「災害で被災した住家の被害の程度を確認する」と定められているからです。
<3>災害と被害の間に因果関係が認められる
発生した災害と被害の間に因果関係が認められないと発行されません。
例えば、床下浸水の被害に遭ったことを申請した際、被災住所が被害にあった地域と距離が明らかに離れていたり、災害発生から期間が数か月以上経っていたりする場合は、災害と被害に因果関係を証明することが難しくなり、罹災証明書の発行ができない場合があります。
上記3点の基準を満たしていることを、各自治体の調査員に判定をしてもらえれば、床下浸水の被災証明書が発行されます。
ただし、調査員の判断によっては床下浸水と認められないケースもあり、それを避けるためには被害直後の写真撮影や早めの申請が重要になります。
次章で床下浸水と認められるためにするべき3つのことについて詳しく説明します。
2.床下浸水で罹災証明書を速やかに発行してもらうためにすべき3つのこと
床下浸水で罹災証明書を発行してもらうためには、後述する罹災証明書の申請~発行までの流れの中の、被害認定調査において、調査員に被害を正確に把握してもらうことが重要です。
床下浸水で罹災証明書を発行してもらうためにするべきことは、以下の3つです。
- 被害場所に目印をつける
- 被害直後に被害状況の写真をできるだけ多く撮影する
- 被害から1週間以内に申請する
2-1 被害場所に目印をつける
被害にあった場所をすべて確認しておきましょう。これは現地を調査員が訪問した際に被害に遭った場所をすべて正確に伝えられるようにするためです。
被害場所に目印をつけて、漏れなく調査員に報告ができるようにしましょう。目印は水の濡れに強いフィルム素材の付箋や強粘着タイプの付箋を使用しましょう。
2-2 被害直後に被害状況の写真をできるだけ多く撮影する
罹災証明書の申請の際に、被害状況の確認資料として被害写真の提出が必要です。
申請窓口の担当者が写真から被害の状況が分かるような、被害写真の撮影をすることが大切になります。
また、自治体やケースにもよりますが、写真から明らかに床下浸水であることが確認できる場合、現地調査が省略され、罹災証明書が通常より早めに交付される場合もあります。
浸水の被害が写真からよく分かるよう撮影するため、特に以下の点に注意して撮影しましょう。
2-3 被害から1週間以内に申請する
罹災してからできるだけ1週間以内に申請しましょう。なぜなら罹災後は被害場所の片付けや復旧作業など、対応しなれけばいけないことが多いため、申請が後回しになってしまい、被害写真の撮り忘れなどが起こることを防ぐためです。
また、罹災証明書の申請には期限があるため、できるだけ早めに行いましょう。長くて3ヵ月以内、早いと1ヵ月以内の自治体もあります。
注意が必要なのは、申請が遅れると発行までの期間が1か月以上かかってしまうこともあることです。このような事態を避けるため、できるだけ迅速に申請しましょう。
参考:長岡市/ 災害により罹災したとき/罹災証明書 罹災証明書_住家の被害認定基準
3.床下浸水の罹災証明書の申請から発行までの流れ
床下浸水で罹災証明書の発行に必要なポイントを理解したら、次に実際の罹災証明書の申請から発行までの流れを把握しましょう。
床下浸水の罹災証明書の申請から発行までの流れは以下になります。
3-1.罹災証明書の申請
床下浸水の罹災証明書の申請は以下の手順で行います。
- 申請窓口の場所を確認
- 申請場所への持参物を用意
- 申請書の記入
- 申請窓口へ申請書を提出
3-1-1. 申請窓口の場所を確認
まず床下浸水の罹災証明書を申請する窓口がどこなのか、確認しましょう。
申請窓口は、総務部・企画部・行政部などの税務課もしくは防災課となっていることが多いですが、
各市区町村によって役所・役場の担当部署が異なるため、必ず事前に確認をしましょう。
確認する問い合わせ先は、各市区町村の総合案内に確認しましょう。
もし総合案内を設置していない市区町村の場合は、各市区町村の代表電話番号に連絡しましょう。
3-1-2. 申請窓口への持参物を用意
申請窓口を把握したら、次に持参物を用意します。
具体的な持参物は以下になります。
【持参物】
●罹災証明交付申請書
申請窓口で入手可能です。記入の仕方は「3-1-3. 申請書の記入」で後述しますが、記入は5分程で完了するため申請場所で直接記入しても問題ありません。
事前に申請書に記入して持参したい場合は、申請窓口に問い合わせてダウンロードできる市区町村のwebサイトページを確認します。市区町村によっては書類を郵送してくれる場合もあるので、まずは申請窓口に確認しましょう。
●委任状(代理申請の場合)
被災した本人以外が代理で申請する場合、委任状が必要になります。
ただし、配偶者・同居の親族の場合は委任状は必要ありません。
委任状は罹災証明交付申請書と一緒に入手可能です。
●被害を確認できる写真
担当者が被害を正確に把握するため、被害の状況が分かる写真が必要です。
写真の撮り方詳細は、「2-2. 被害直後に被害状況の写真をできるだけ多く撮影する」を確認ください。
●被災住宅の図面写し
(持っている場合)
被害認定の調査員が調査しやすくなるため、持っている場合は提出しましょう。
必ず提出しなければいけない訳ではないので、ない場合はしなくても問題ありません。
●本人確認書類
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きのものになります。
健康保険証など、顔写真がついていないものは、単体では本人確認書類として受付してもらえない場合もあるので、事前に申請窓口に確認をしましょう。
●印鑑
申請書や委任状に押印が必要になるので持参します。
事前に記入した場合でも、訂正印で必要になることもあるので念のため持参しましょう。
3-1-3. 申請書の記入
申請書の記入はおよそ5分ほどで完了するボリュームになります。
申請書の書式は各市区町村によって多少異なりますが、およそ以下の書式となります。
申請書の記入項目は市区町村により少しずつ異なりますが、およそ共通する項目は次の通りです。
□世帯主住所
→申請時に居住している場所
□世帯主氏名
□罹災の原因
→台風、洪水、津波など、床下浸水した原因の災害を記入
□被災した住所
□被害程度
→自身で把握している範囲の被害状況を記入しましょう。
被害認定調査員への事前情報になるので、できるだけ正確に記入します。
例えば「床下40cmの床下浸水。床下への泥の流入、洗面所の排水口からの逆流、床下断熱材の損傷あ り」などと記入します。
3-1-4. 申請窓口へ申請書を提出
申請書の記入が完了したら、持参物を用意した上で申請窓口へ申請します。
窓口では本人確認と申請書の記入項目の確認が行われます。担当者から記入内容について質問された場合は口頭で回答します。
また、どうしてもすぐに罹災証明書が必要な場合「被災届出証明書」を即日発行してもらえます。
被災届出証明書は、罹災の届け出を受けたことを証明するものです。
罹災証明書を提出したい機関や団体で、罹災証明書が発行されるまでの間の臨時の証明書類として、被災届出証明書を利用できる場合があります。利用が可能かどうかは、罹災証明書の提出先によって異なりますので、事前に確認をとりましょう。
3-2. 被害認定調査
被害認定調査は、罹災証明書の申請後、各市区町村の調査担当者が被災住所に直接訪問して被害の程度を調査します。
住家の外観から被害状況が明らかな場合は、国の定めた調査ルールに従って外観から被害の認定がされます。
しかし外観から損傷が見受けられない場合や被害状況が分かりづらい場合、住家の内部調査を行います。
内部の基礎部分や、床下の損傷状態、水回りが使えなくなったなどの被害を総合的に判断して、被害認定を行います。
ここで大切なのは、調査員に正確な被害状況を伝えることです。
なぜなら、調査員は国が定めた被害認定にあたっての心構えとして、「迅速性と的確性」を求められているからです。できるだけ正確な情報を調査員が知れると、認定もスムーズに行われます。
また、正確に被害状況が伝わらないと、自身が望む被害認定が下りない可能性があります。
「2-1 被害状況を確認」を参考に事前に被害認定調査への準備を行いましょう。
また、1回目の調査の認定に納得できない場合は、再調査を依頼することも可能です。
納得がいく認定が下りるまで、調査員に丁寧に説明する姿勢を持ちましょう。
3-3. 罹災証明書の発行
被害認定調査が行われてから、通常1週間前後で罹災証明書が発行されます。
ただ被害の規模が大きい場合や自治体の対応状況によっては、数か月以上発行まで時間がかかってしまう場合もあります。
できるだけ早く罹災証明書を受け取るためにも、被災後は1週間以内に早めの申請を行いましょう。
4.床下浸水で罹災証明書を発行するメリットは限定的
前章で罹災証明書を発行するまでの具体的な流れをお伝えしましたが、ではこの罹災証明書を利用してどのくらいの支援が得られるのでしょうか。
結論からお伝えすると、床下浸水の罹災証明書で受け取れる支援は残念ながらほとんどありません。
ただし例外的に受け取れるケースが以下の4つです。
- 義援金
- 市区町村からの災害見舞金
- 所属組織からの復旧見舞金
- 火災保険の特約
どのような場合に支援の受け取りが可能なのか、順に解説します。
4-1.床下浸水の罹災証明書のよる公的支援はほとんどない
公的な支援において、全壊や大規模半壊などのより大きな損壊を受けた場合と比べると、
床下浸水による罹災証明書では、受けられる支援はほとんどないのが現状です。
なぜなら、床下浸水は国が定めた被害区分では「半壊にいたらない(一部損壊)」として扱われており、一部損壊で受けられる災害支援が現状ではほとんどないからです。
代表的な災害時の支援制度として、災害救助法による応急修理制度や、被災者生活再建支援法による被災者生活再建支援制度がありますが、どちらも支援を受けられる被害区分の条件として半壊以上となっています。
例えば、次の表は熊本県宇城市の罹災証明書で受けられる主な被災者支援の早見表です。この表からも分かるように、一部損壊という半壊に至らない区分である床下浸水は、残念ながらどの項目の支援も受けられません。
参考:熊本県宇城市 罹災証明書で受けられる主な被災者支援メニュー(pdf)
4-2 床下浸水の罹災証明書でも支援を受けられるケースとは
ただ、床下浸水の罹災証明書がメリットが全くないかというと、そうではありません。
水害のケースによっては受け取れる場合があるのが以下の4つです。
- 義援金
- 市区町村からの災害見舞金
- 所属組織・団体からの復旧見舞金
- 火災保険の特約
4-2-1. 義援金
義援金は被害で生活が苦しくなった人々のために、特定の団体に寄せられる支援です。
代表的な団体だと、日本赤十字社や中央共同募金会といったものがあります。それらの団体に集まった寄付が被害に遭った自治体へと送られ、それらが住民へ分配されます。
床下浸水でも義援金が受け取れるかどうかは、災害の規模や影響によるところが大きくなります。なぜなら義援金の配布は、大規模な災害でない場合、多額の寄付は集まりづらく分配が難しくなるからです。
必ずもらえるわけではありませんが、もらえるケースもあるので、継続的に自身の住んでいる市区町村に義援金の支援について確認するようにしましょう。
4-2-2. 市区町村からの災害見舞金
各市区町村が独自の支援として、住民に直接支援金を配布することがあり、これが災害見舞金です。
こちらも災害規模や市区町村の財政状態によって実施されるかどうか、それぞれの市区町村で対応が異なりますので、自身の住んでいる市区町村に確認しましょう。
4-2-3. 所属組織・団体からの復旧見舞金
所属している会社や団体が、独自の支援として社員や会員に対して災害に対する支援金を送る場合があります。
ただ、会社や団体の規模や状況により対応が異なるため、こちらも自身で所属の会社・団体へ随時確認が必要です。
義援金、災害見舞金、復旧見舞金はいづれの支援でも、支援金額は2,3万円~10万円以下である場合がほとんどで、支援金で床下浸水の修理費用を全額補うことは難しいと認識しておくことが賢明です。
4-2-4. 火災保険の特約
水害補償の火災保険は、原則として以下の条件の1、もしくは2と3の両方を満たしていないと受け取ることができません。
- 床上浸水であること
- (床上浸水ではない場合)地盤から45cm以上の浸水であること
- 再調達価額の30%以上の被害が発生していること
しかし民間の保険会社によっては、保険契約のオプションとして、特約(特別に条件をつけて約束されたもの)で床下浸水でも補償が受けられる場合があります。
ただ、こちらの補償対象は基本的には住家の機械設備の損害に対するもので、水や泥の除去や乾燥・消毒などの床下清掃の費用が出るわけではありませんので注意が必要です。
部分的な補償であることを、事前に認識しておきましょう。
火災保険の補償については、「床下浸水では火災保険がでない!補償条件と保険以外の支援の最新情報」で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
5.知っておくべき床下浸水した場合の対処法
前章でお伝えした通り、床下浸水による罹災証明書ではほとんど支援が受けられない、もしくはある場合でも限定的な支援になります。
このような状況下において、床下浸水には自身で対応しなければいけません。
被害にあった床下浸水の処理について、
「どうしたらできるだけ費用を抑えられるだろうか?」
「自分で処理できるだろうか?もしくは業者に依頼した方が良いのだろうか?」
と悩む方も多いのではないでしょうか。
まずは、床下浸水の処理を自治体に行ってもらえるかどうかを確認をしましょう。自治体で行ってもらえる場合無料になるからです。
自治体では行ってもらえない、もしくは行ってもらえる範囲が限られている場合、次に自分で処理をするかもしくは業者に依頼するかを検討します。
以下は自分でする場合と業者に依頼する場合の、それぞれのメリット・デメリットの一覧表になります。
上記の表を参考にしながら、ご自身の状況や被害状況に合わせてどちらで対応した方が良いのか、慎重に検討しましょう。
5-1 自分で処理する場合
床下浸水の被害を自分で処理をする場合、以下の手順でおこないます。
5-1-1. 水や泥を除去
まず最初に水や泥の除去作業をおこないます。
水や泥の除去を行うことで、
- 健康被害を受ける恐れ
- 家の耐久性・耐震性への影響
- 漏電
のリスクを避け、快適で健康的な生活を送れます。
水や泥の除去作業は、清掃用の服を着用し、畳を上げて床板をバールなどで剥がすか、通風口や床下収納の間口から行います。
まず水の除去から始め、バケツや工場用排水ポンプで水を抜きましょう。
その後水が抜けてから、スコップやちりとりで泥やゴミを取り除きましょう。
【作業時の注意点】
- ケガをしてしまった際は、感染症のリスクを避けるため、すぐに患部の消毒を行いましょう
- 清掃用の服装は、ホコリを吸ったりケガや感染症防止のため、肌の露出を避けた以下のような服装で行いましょう
より詳しい手順や注意点については「床下浸水したら行うべき2つの水抜き方法|注意すること・費用も解説」をチェックしてみてください。
5-1-2. 乾燥
水や泥の除去が完了したら、必ず乾燥作業を行いましょう。
見た目では水や泥を除去しただけでも、清掃ができたように感じてしまうかもしれませんが、
乾燥作業を行わないと、
- 住宅の強度が著しく低下する
- カビや害虫が発生する
- 感染症等の健康被害が生じる
というリスクが生じてしまいますので、必ず行いましょう。
乾燥作業は、まず床下に残っている水分をタオルなどで拭き取ります。
その後、扇風機や送風機を設置し風を送ります。
乾燥には通常1ヵ月以上かかるため、換気口から継続的に乾かし続けましょう。
【注意点】
- 壁の裏側や床下の断熱材は、特に水を吸収しやすいので、乾燥をしっかり行いましょう
- 温風の使用は控え、送風で乾燥させましょう。温風だと、床下の木材が歪んだり、配管が温められて熱を持ち火災の原因になってしまいますので温風の使用は控えましょう
より詳しい乾燥の方法については、「床下浸水・乾燥」をぜひチェックしてみてください。
5-1-3.消毒
消毒は原則として行わなくても問題ありませんが、以下のような
- し尿・浄化槽から水があふれている
- 乾燥しにくい床下
- 動物の死骸や腐敗物が流れている
- 氾濫した河川の水が流れている
- 消毒すべきケースに該当しないが汚染の確率をゼロにしたい
という場合は、消毒作業を行いましょう。
消毒作業は、消石灰をそのまま散布することで行えます。
ただし、
- し尿・浄化槽から水があふれている
- 乾燥しにくい床下
- 動物の死骸や腐敗物が流れている
- 氾濫した河川の水が流れている
のような、汚染のリスクが高い場合には、
- クレゾール石鹸液を30倍に薄めた液を噴射器に入れて散布する
- 塩化ベンザルコニウム(商品名オスバンS)を100倍~200倍に薄めた液を噴霧器に入れて散布する
のどちらかで消毒しましょう。
【注意点】
- 消毒液は肌の炎症や失明のリスクがあるため、素手で触らないよう注意して行いましょう
- 床下の水分を吸収している、床・壁・天井にも、消毒用エタノール(80%溶液)を噴射し乾燥させましょう
- 消毒液使用後は、火災のリスクを防ぐため、換気をよくして火気を使用しないよう注意しましょう
消毒のより詳しい方法については「床下浸水で消毒は不要?必要なケースと対応すべきことを解説」にて解説していますので、ぜひ一読ください。
5-2 業者に依頼する場合
自身で処理をするのが難しい場合、業者への依頼を検討しましょう。
業者への依頼は、事前の費用相場の把握と、比較検討し相見積もりをとることが大切です。
これは業者から法外な費用を請求されることを防ぎ、信頼できる業者に依頼するために必要なプロセスになります。
ここでは業者に依頼した場合の目安となる費用と、業者が行う清掃プロセスをお伝えします。
5-2-1.床下浸水の処理費用の相場
業者に床下清掃を依頼した場合の費用は、業者により少しずつ異なりますが、目安は以下になります。
<1>床下清掃の全工程を依頼した場合
水や泥を除去→乾燥→消毒の一連の全工程を業者に依頼した場合、1平方メートルあたり1500円~2000円が相場料金になります。
日本の平均の家の大きさを120平方メートルとすると、1,500円~2000円×120㎡=180,000円~240,000円になります。
また全工程の作業に床をはがす作業を追加すると、追加費用が約30,000円~となるので、2100,000円~となります。
もし床全体をすべて張り替える場合は、追加費用が約200,000円~となるので、3800,000円~と金額上がります。
<2>床下清掃の乾燥と消毒のみを依頼した場合
水や泥の除去を自分で行い、乾燥と消毒の工程を業者に依頼する場合、目安の費用は60,000円~となります。
上記に追加して、防カビ処理やシロアリ対策、断熱材処理などの処理を希望する場合は、さらに追加費用が発生します。
費用についてのさらに詳しい情報は、「床下浸水の処理の依頼費用はいくら?自己処理した場合との比較付き」をぜひェックしてみてください。
5-2-2. 業者による床下清掃の内容
業者が床下浸水による清掃を行う場合、以下の手順で行います。
特殊清掃業者による床下清掃の手順
作業内容 | 日数目安 | |
---|---|---|
STEP1 | 養生 | 2~3日 |
STEP2 | 排水 | |
STEP3 | 汚泥除去 | |
STEP4 | 洗浄 | |
STEP5 | 補修 | |
STEP6 | 消毒剤散布 | 1日 |
STEP7 | オゾン燻蒸 | |
STEP8 | カビ除去 | |
STEP9 | 防カビ処理 |
上記の手順の内、特にSTEP7オゾン燻蒸・STEP9防カビは、業務用機械を使用したり作業が大がかりになるため、自身で行うことが難しい工程になります。詳しい作業内容は以下になります。
■オゾン燻蒸‥オゾンには強い酸化力があり、除菌・脱臭効果があります。有害物質を出すことのない、環境に優し いオゾンを、専用の機械を使用して床下空間に浸透させます。
■防カビ‥プロバイオティクスという自然界に存在する善玉菌を床下空間に送り込むことによって、カビの発生を抑制します
床下浸水の清掃で、オゾン燻蒸、防カビを希望している場合は、清掃専門の業者に依頼すると良いでしょう。
また、床下浸水の被害が大きい場合も業者に依頼した方が安心です。
なぜなら業者に依頼をすると、プロの技術で迅速に対応してくれることはもちろんのこと、将来的にも床下空間が劣化しづらい状態を保てるように、作業を行ってくれます。
なぜ業者に依頼した方が良いのか、業者に依頼するメリットについて詳しく知りたい場合は「床下清掃はどうればいい?水害による床下浸水した時の対処法」をぜひチェックしてみてください。床下清掃を業者に頼むべき理由がわかります。
6.まとめ
床下浸水による罹災証明書は発行されます。
速やかに発行してもうらためのポイントは以下の3つです。
床下浸水で罹災証明書を速やかに発行してもらうためにすべき3つのこと
- 被害場所に目印をつける
- 被害直後に被害状況の写真をできるだけたくさん収める
- 罹災から1週間以内に申請する
また、実際の罹災証明書の申請~発行までは以下の流れになります。
床下浸水の罹災証明書の申請から発行までの流れ
残念ながら、床下浸水による罹災証明書で受けられる支援はほとんどありません。
例外的に以下の4つのケースでは支援を受け取れる可能性があります。
床下浸水の罹災証明書でも支援を受けられるケース
- 義援金
- 市区町村からの災害見舞金
- 所属組織・団体からの復旧見舞金
- 火災保険の特約
ただ支援は限定的であると認識しておくことが大切です。
そこで、床下浸水被害には自身で対応を行わなければなりません。
床下浸水の処理を行うためには、以下3つが選択肢になります。
床下浸水した場合の対処法
- 自治体に依頼
- 自分で処理
- 業者に依頼
1が難しい場合に、2と3の選択肢を考えましょう。
自身の被害状況に合わせて、適切な方法を早めに行いましょう。