『カビ除去』とひと口に言っても、実は正しいものと間違ったものがあります。
正しいカビ除去方法は、以下の5つの手順で行います。
- STEP1:換気をする
- STEP2:カビ除去する空間の全体を掃除する
- STEP3:カビを死滅させる
- STEP4:死滅後のカビの死骸を取り除く
- STEP5:水気を取る
この手順を踏むことにより、カビをしっかりと死滅させ、再発を防ぐことができるのです。
一方、間違ったカビ除去は、方法・やり方はどんなものであれ、以下のどちらかをしています。
- カビを拡散している
- カビに栄養を与えている
カビを除去しようとしてやっているはずなのに、これではカビを死滅させるどころか、増殖させたり成長を促してしまいます。
ちゃんと掃除をしているつもりなのにカビが再発してしまうというのであれば、それはカビ取りの方法が間違っているからかもしれません。
カビを本気で除去したいなら、カビを取りたい場所ごとに、正しい成分の入った正しいアイテムを正しく使う必要があるのです。
そこでこの記事では、正しいカビ除去の方法と、カビ取りしたい場所ごとのカビ取り成分の使い分け、やってはいけない誤ったカビ掃除の仕方について解説します。そして場所や素材ごとのおすすめのカビ除去剤や選び方のポイント等を紹介していきます。
この記事を読むことで、効率よく根本的なカビの除去ができ、カビとの戦いを終わらせることができるようになります!
Contents
1.カビを正しく除去する基本の5STEP
カビを正しく除去するには、以下の2点を念頭に置いて掃除をすることが大切です。
- カビを拡散させない
- カビの栄養を与えない
なぜなら、カビは非常に拡散しやすく、付着した先に栄養になるものがあると、そこで一気に増殖するからです。
このことを念頭に置いたうえで、カビを正しく除去して再発を防ぐには、以下の手順でカビ除去を行うことが大切です。
- STEP1:換気をする
- STEP2:カビ除去する場所の空間全体を掃除する
- STEP3:カビを死滅させる
- STEP4:死滅後のカビの死骸を取り除く
- STEP5:水気を取る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.STEP1:換気をする
カビを正しく除去するには、まずは掃除空間の換気を行います。
なぜなら、目に見えるカビがそこにあるということは、その空間全体にカビの胞子が浮遊しているからです。
そのため、換気をしないでカビ除去を行うと、カビは同じ空間の別の場所に引っ越しをするだけになってしまいます。
カビ除去のポイント①「カビを拡散させない」ことを念頭に、換気をして空気を入れ替えながらカビ除去を行います。換気によってカビの胞子を追い出すことができるだけでなく、この後に使用する薬剤の吸い込みによる危険を回避することもできます。
カビ除去をする際の換気は、以下の点に注意してください。
■窓を開ける
窓を開けることで、カビを除去したい空間の空気を入れ替えます。
窓が一つの場合 | 扇風機を窓の外に向けて回す |
---|---|
窓が複数ある場合 | できるだけ対角線上にある窓を二つ開ける |
窓がない場合 | 換気扇を回す |
後述しますが、カビは高い湿度を好むため、雨の日には窓を開けてのカビ除去は行わないでください。
かえって室内の湿度が高くなり、カビの好む環境を作り出してしまいます。
カビ除去を行う場合は、できるだけ晴れた日の日中に、乾燥した空気を取り込みながら行うことが原則です。
■換気扇を回す
トイレや洗面所などの窓のない空間は、換気扇を利用して空気の入れ替えをします。
空気の入口と出口の両方を確保することで換気効率が良くなるため、ドアを開け、隣接する部屋の窓を開けた状態で行うと、よりきれいな空気が入ってきます。
■扇風機を回す
クローゼットなど換気扇のついていない場所では、扇風機を回して風を送りながらカビ除去を行います。
その際、カビの生えている箇所に直接風が当たらないように角度を調整してください。
できるだけ大量の新鮮な空気との入れ替えを行うことが、カビの除去と再発防止に有効です。
1-2.STEP2:カビ除去する場所の空間全体の掃除をする
カビの除去に取り掛かる前に、カビのある場所の空間全体を掃除します。
カビは目には見えない胞子を放出するのですが、この胞子はほこりや汚れに付着することで、そこで栄養を得て成長し、増殖していきます。
換気と同様、カビが生えている場所以外の掃除ができていなければ、カビはそちらに引っ越しをするだけなのです。
カビ除去のポイント②「カビの栄養を残さない」を念頭に、まずはカビがある場所の空間全体から、カビの栄養となるほこりや汚れをなくすことが大切です。
特に、窓際の結露など水分が多くある場合は、しっかりと拭き取っておいてください。カビ取り剤の多くは、カビ除去したい場所に水分があると、カビの死滅効果が半減してしまうからです。
1-3.STEP3:カビを死滅させる
換気と掃除が終わったら、いよいよカビ取り剤などを使ってカビの除去に取り掛かります。
カビを確実に死滅させるために覚えておきたいのは、どんなカビ取り剤を使ったとしても、充分な浸透時間を置かないと効果が得にくいということ。
つまり、薬剤をつけてすぐに洗い流したりブラシで擦ったりしたのでは、カビを完全に死滅させることはできないのです。
カビをしっかりと死滅させるため、以下のようなやり方で充分な浸透時間を取ります。
■キッチンペーパーを使う
壁などの垂直面や天井では、液ダレを防ぐことで浸透時間を長くすることができます。
液ダレを防ぐには、カビ除去したい範囲を十分にカバーできる大きさのキッチンペーパーを用意し、カビに貼り付けてから薬液を浸透させます。
また、タイル目地などには、キッチンペーパーを細くこより状にすることで、しっかりと密着させることができます。
後述しますが、スプレータイプのカビ取り剤を使う場合は、カビに直接吹き付けるのではなく、キッチンペーパーの上から薬剤を使うことで、カビの胞子の周囲への飛び散りを防ぐことができます。
■ラップを使う
ラップで覆うことで、薬液をじっくり浸透させることができます。
カビ除去したい範囲とその周辺に薬液をつけたら、ラップで全体を覆います。薬剤の蒸発や揮発を防ぐため、薬液をじっくりとカビに浸透させるばかりでなく、カビに酸素を与えないことでさらに死滅効果を狙うことができます。
■ペーストを作る
粉末状のものは水を加えたり、液体状のものは重曹を加えることで、ペーストを作ることができます。
ペースト状にすることで、溝などの垂直面のある隙間や天井にもしっかり薬剤が止まり、浸透時間を長く取ることができます。
なお、カビの菌糸を破壊して死滅させることができる有効成分で、家庭用で購入しやすいものとしては、主に以下の4種類の薬剤が挙げられます。
- 塩素系カビ取り剤
- 酸素系カビ取り剤
- エチルアルコール
- 次亜塩素酸水
どの成分も、カビのタンパク質を溶かしたり変質させたりすることで、カビを死滅させるものです。
カビ取りに有効なそれぞれの成分の液性や臭い、使い方の注意点などは「2.カビの発生箇所に合わせたカビ除去剤を選ぼう」で詳しく説明するので、そちらもしっかり参考にしてください。
1-4.STEP4:死滅後のカビの死骸を取り除く
カビを死滅させたら、しっかりとその死骸を取り除きます。
これはカビ除去のポイント②「カビの栄養を残さない」にあたるものです。
カビの死骸が残っていると、死骸そのものがまたカビの栄養源になってしまいます。
そのため、カビの死骸と死骸の混ざったほこりなどは、しっかり取り除くことが大切です。
カビの死骸は、以下のような方法で取り除きます。
■水で洗い流す
風呂場や、キッチンや洗面所のシンク周りで洗い流しができる場所であれば、水で流すのが最も効果的です。
食器や小物などで水洗いができるものも、カビ除去をした後は水ですすぎます。
■柔らかいブラシで取り除く
凹凸のある場所に残っているカビを含んだ汚れは、柔らかいブラシや刷毛などを使って掻き出します。
硬いブラシなどでゴシゴシとこすり洗いをすると、素材の表面に傷がついてカビの隠れ家を作ってしまうので、ブラシは必ず柔らかいものを選んでください。
■水またはアルコールで拭き取る
水洗いできない場所や大きな物などは、水またはアルコールを含ませた清潔な布でカビの死骸を拭き取ります。
特に、「混ぜるな危険」の表示のあるカビ取り剤を使った後は、必ず商品裏の表示をよく読んで、十分な水拭きをしてください。
1-5.STEP5:水気を取る
カビ除去が終わったら、しっかりと水分を取ります。
水分が残ったままでは、空気中に浮遊しているカビの胞子を付着させてしまうからです。
水洗い流した後の水分は拭き取り、換気扇を回したり扇風機を使って風を当てたりして、できるだけ早く水気を飛ばしましょう。
2.カビの発生箇所に合わせたカビ除去剤を選ぼう
市販のカビ取り剤はたくさんありすぎて、いったいどの成分のものが一番カビ除去の効果があるのか、どれを使えばいいのか、分からなくなりますよね。
結論から言うと、カビを死滅させる効果はどれも変わりません。
どの薬剤を使用しても、それぞれの仕組みでカビを死滅させる化学的な効果がしっかりあります。
そのため、どのカビ取り剤を選ぶかは、実はカビ取りしたい場所や素材によるのです。
カビ取り効果があるとして市販されているカビ取り剤の主成分は、主に以下の4種類に分けられます。
液性(ph) | 水洗い | 臭い | 脱色力 | 表記成分名 | |
---|---|---|---|---|---|
塩素系 | アルカリ性 | 必要 | あり | ◎ | 次亜塩素酸ナトリウム |
酸素系 | 弱アルカリ性 | 必要 | なし | ◯ | 過炭酸ナトリウム |
エチルアルコール | 中性 | 不要 | あり | なし | エタノール、発酵アルコールなど |
次亜塩素酸水 | 酸性〜微酸性 | 不要 | あり | なし | 次亜塩素酸水、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなど |
一覧したように、カビ取り剤と言っても液性が異なったり洗い流しが必要だったりするものがあるため、場所や素材ごとに使い分けが重要になってきます。
それでは実際、いったいどの成分のものをどこに使えばいいのか、気になるところですね。
順に詳しく解説していきましょう。
2-1.カビの色素を取り除きたい場合は脱色力のあるカビ取り剤を選ぶ
カビを正しく除去する基本の4STEPでお伝えした手順通りにカビ除去を行えば、どのカビ取り剤を使ったとしても、そこにあったカビは死滅します。
しかし長期間放置されたカビの場合、カビそのものが死滅しても、カビの色素が残ってしまうことがあります。
カビの色素が残ったままのお風呂ではリラックスできませんし、お子さんの使う水筒のゴムパッキンが黒いままでは、いくらカビは死滅しているとはいえ心配でしょう。
長期間放置してしまった根深いカビによる色素は、以下のカビ取り剤で落とすことができます。
- 塩素系カビ取り剤
- 酸素系カビ取り剤
なお、脱色力だけで見れば塩素系のカビ取り剤の方が効果は高いですが、素材の色もカビの色素と同時に抜けてしまうため、色柄物のカビ取りには、酸素系のカビ取り剤を使ってください。
ただし刺激臭があるため、使用にあたっては充分に換気をしたりゴーグルや手袋を着用するなど、それぞれのカビ取り剤の注意書きをよく読んで、用法・用量を守ってお使いください。
2-2.洗い流しのできない場所や物はすすぎ不要のカビ取り剤を選ぶ
室内の壁や大型家具など、水洗いすることのできない場所のカビ取り剤は、洗い流しのいらないカビ取り剤を使います。
洗い流しのいらないカビ取り剤は、以下の2種類です。
- エチルアルコール
- 次亜塩素酸水
どちらも清潔な布に染み込ませて、カビを拭き取るようにして使います。
アルコールかぶれしてしまう方は、次亜塩素酸水を使うようにしてください。
2-3.食品を扱う場所のカビ取りは口に入っても安全なカビ取り剤を選ぶ
冷蔵庫や食器、弁当箱など、食品を扱う場所ののカビ取り剤は、万が一食品についてしまった場合にも安全なカビ取り剤を使います。
口に入っても安全なカビ取り剤は、以下の2種類です。
- エチルアルコール
- 次亜塩素酸水
ただし、エチルアルコールは可燃性のため、コンロ付近で火を使用している場合は注意が必要です。食品添加物としても使用されているため、例えば残ったおかずやお弁当などにスプレーにしてひと吹きすることで、雑菌の繁殖を防ぎ、カビを発生させない効果があります。
コンロ付近では次亜塩素酸水、残ったおかずやお弁当にはエチルアルコールと、上手く使い分けることもカビ対策には有効です。
2-4.カビ取り剤による使い分けまとめ一覧
カビが生えている場所や掃除のタイミングなどによって、カビ取り剤は以下を目安にして使い分けることが効果的です。
塩素系漂白剤
- 水洗いできる場所や物のカビ除去
- 長期間放置した根深いカビの色素除去
- 色落ちの心配がない箇所でのカビの色素除去
酸素系漂白剤
- 水洗いできる場所や物のカビ除去
- 手肌や粘膜が弱い方の行うカビの色素除去
- 色柄物についたカビの色素除去
エチルアルコール系
- 壁や天井、畳などの広い面にできた表面カビの拭き取り
- 掃除後のカビ予防
- 食品のカビ予防
次亜塩素酸水
- 壁や天井、畳などの広い面にできた表面カビの拭き取り
- ペットや小さいお子さん、高齢の方のいる空間のカビ除去
- 食品を扱う場所でのカビ除去
カビ取り剤の成分によって使用できる箇所や材質が異なるので、目的に合った使い方をするのが最も効果的なカビ除去の方法と言えます。
【注意】次亜塩素酸水は「洗い流し不要の塩素系漂白剤」ではない!
コロナウィルスの感染力を弱める消毒薬として、厚生労働省がモノへの使用とその効果を認めている「次亜塩素酸水」。この章でもご紹介したように、カビ菌に対しても殺菌力を持っています。
しかし「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」はまったく異なるものなので、購入や使用においては混同しないように注意が必要です。
次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム | |
---|---|---|
液性(ph) | 強酸性〜微酸性 | アルカリ性 |
殺菌力 | ◯ | ◯ |
脱色効果 | なし | ◎ |
人体への害 | ほとんどない | あり |
水でのすすぎ | 金属の場合は必要 | 常に必要 |
保存 | 時間と共に急速に効果が消失 | 原液で長期保存可能 |
次亜塩素酸水の使用は、基本的にエチルアルコールと同様に、表面カビの拭き取りやカビ菌の付着防止を目的とします。
名前が非常に似ていて混同されやすいですが、「次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めたもの」ではありません。成分表示をよく確認し、正しく使ってください。
3.場所別おすすめのカビ除去アイテム
正しいカビ除去の方法や成分ごとのカビ取り剤の使い方について理解できたところで、今度は具体的にどのカビ取り剤を選ぶかです。
カビ除去した場所ごとの特徴を踏まえて、それぞれにおすすめの市販のカビ取り剤をご紹介しましょう。
3-1.風呂場のカビ除去におすすめのカビ取り剤
家の中でもっともカビができやすく、再発もしやすい風呂場ですが、水で流すことができるため、カビ取り剤はどんなものでも使うことができます。
以下のポイントを押さえてカビ取り剤を選びましょう。
- 脱色効果が高いこと
- 液ダレしにくいこと
実際に市販されているカビ取り剤のうち、特に風呂場のカビ除去におすすめしたいのは次の2商品です。
■花王 カビハイター
出典:花王株式会社
泡の密着度が高いため、壁面に使っても液ダレしにくい塩素系カビ取り剤。スプレータイプですが、天井などに使う場合は刷毛やスポンジに染み込ませてから塗りつける方が、目や顔、服などにかからず安全です。
塩素系特有の刺激臭もあるため、マスクやゴーグル、帽子、手袋などを着用し、しっかりと換気した状態で使うようにしてください。
■鈴木油脂工業 かびとりいっぱつ
出典:鈴木油脂工業株式会社
ゴムパッキンやタイル目地のほか、シリコンコーキング内部に食い込んだ頑固な黒カビもジェルがしっかり密着することで、強力に除去します。飛び散りにくいジェル状なことに加え、塩素臭も穏やかなので風呂場のような狭い空間でも使いやすいものです。
3-2.キッチンのカビ除去におすすめのカビ取り剤
キッチンは、日常的に目につきやすく掃除しやすい箇所と、毎日は掃除しにくい箇所とがあります。また、水で流せる箇所と火を扱う箇所があることから、安全のためにカビ取り剤も意識して使い分けをしたい場所です。
以下のポイントを押さえたカビ取り剤を用意しましょう。
- 食品に触れても安全であること
- 火のそばで使えること
- 油汚れごと処理できること
市販されているカビ取り剤のうち、キッチンのカビ除去におすすめしたいのは次の3商品です。
■ジェームズマーティン フレッシュサニタイザー
約55業態1400店の外食店舗の現場から生まれたアルコール製剤。食品にそのまま吹き付けてカビ予防することもできるほどの、高い安全性を持っています。一般的なアルコールスプレーでは除菌が難しいとされている、ノンエンベロープウイルスの除菌にも有効です。
■エスエーシーラボ ジアニスト
出典:エスエーシーラボ株式会社
コンロ周辺の壁などについてしまったカビを落とすには、次亜塩素酸水が安心です。清潔な布に十分に含ませて拭き取りをします。カビをはじめとする細菌と反応した後は水に戻るため、水拭きの必要がなくて便利です。白木のまな板のカビ取りや小さいお子さんの嘔吐処理など、キッチン周りにあると使い勝手が広がります。
■グラフィコ オキシクリーン
出典:グラフィコ
換気扇など、油汚れもカビも両方落としたい場合は、酸素系漂白剤でつけ置きがおすすめです。塩素系漂白剤のようなきつい臭いがないため、キッチンと続きのリビングに赤ちゃんやペットがいる時でも、気にせず使うことができます。プラスチック製のまな板や水筒・冷茶ボトルのゴムパッキンにつく黒カビも、つけ置きですっきり落とすことができます。
3-3.リビングのカビ除去におすすめのカビ取り剤
リビングのカビは、模様替えなどをするタイミングで、家電や大型家具の裏の壁や床などに生えているのを見つけるケースが多いです。
そのため、リビングのカビ除去においては、カビが生えてからの時間が経っていることと、壁紙や床の色を損ねたり材質を傷めたりしないことに注意しなければいけません。
その上で、以下のポイントを押さえたカビ取り剤をご紹介します。
- 洗い流しの必要がないこと
- 壁紙や床を傷めないこと
- 壁紙や床の色が変わらないこと
市販されているカビ取り剤のうち、リビングのカビ除去におすすめしたいのは次の2商品です。
■ドーバー パストリーゼ77
出典:ドーバー酒造株式会社
酒造会社のノウハウから生まれたアルコール製剤。アルコールの含有率が77%と高濃度で、カビをはじめとした多くの細菌やウィルスを除菌します。中性なので、壁や木製のフローリングを傷めることなくカビを除去することができます。
ただし、フローリングのカビに吹き付けてそのまま放置すると、ワックスが溶けて白く濁り、変色したようになってしまうため、必ず拭き取りは行ってください。
■日本トリム ジアウォッシュ
出典:日本トリム公式ショッピングサイト「トリムショッピング」
次亜塩素酸水を生成することのできるパウダー。10gずつ分包してあるため計量が簡単で使い勝手が良いのが特徴。酸性のため、木材を傷めずにカビ除去ができ、長時間浸透させることで黒カビの色素にも効果があります。
3-4.子ども部屋のカビ除去におすすめのカビ取り剤
小さなお子さんや赤ちゃんのいる部屋は、確実にカビ除去ができることを望む一方で、薬品の臭いやアレルギー物質などを考慮し、使用後にもできるだけ安全性の高いものを選びたいものです。
子供部屋のカビ取り剤は、以下のポイントを押さえたものを選びます。
- 使用後の箇所に触れても安全なこと
- 木製のおもちゃにも使えること
市販されているカビ取り剤のうち、子ども部屋のカビ除去におすすめしたいのは次の2商品です。
■エスエーシーラボ ジアニスト
出典:エスエーシーラボ株式会社
次亜塩素酸水は、哺乳瓶の消毒にも使われるほどの安全性を持っています。水道水で10倍に希釈することで、おもちゃの拭き取りに使うことができます。アルコール製剤ではないため、万が一お子さんがアルコールにアレルギーを持っている場合でも、安心して使うことができます。
■日本トリム ジアウォッシュ
出典:日本トリム公式ショッピングサイト「トリムショッピング」
計量が簡単で使い勝手の良い、次亜塩素酸水を生成することのできるパウダー。木材はアルカリ性の薬剤を使うとガサガサとケバだってしまいますが、次亜塩素酸水は酸性のため、木材を傷めずにカビ除去ができます。長時間浸透させることで、木製のおもちゃの黒カビの色素取りにも効果があります。
部屋の中にできてしまったカビの除去方法について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事もどうぞ。
4.素材別おすすめのカビ除去アイテム
市販のカビ取り剤の多くは、風呂場やキッチンなどの水回りのカビを除去するために作られています。
しかし実際のところ、カーテンやソファ、鞄などにもカビは生えてしまうもの。
カビ除去をしようと思っても、素材が傷んだり意匠性を損ねてしまうものを避けたい場合には、それぞれの素材に合ったカビ取り剤を選ぶことをおすすめします。
4-1.布のカビ除去におすすめのカビ取り剤
白い洋服やカーテンなどの布製品は無数の繊維の中にカビ菌が入り込むため、水洗いできるものは漂白効果のあるカビ取り剤を使い、使用後にしっかり洗うのが一番です。
しかし、マットレスなど水洗いのできない大物布製品やシルクやウールなどで水洗いができない繊維製品についてしまったカビには、以下のカビ取り剤がおすすめです。
■健栄製薬 消毒用エタノール
出典:Amazon
エタノール (C2H6O) 76.9~81.4vol%を含有し、消毒用として幅広く使える第3類医薬品。ドラッグストアなどでも安価で購入できるため、気になったその日に購入してたっぷり使えます。
使い方
- 清潔な布に含ませる
- カビ取りしたい箇所にポンポンと叩き込む
- カビをつまみ取る
4-2.木材のカビ除去におすすめのカビ取り剤
収納付きベッドのフレームや靴箱などの木製の製品は、見つけた時にはカビが根深く浸透していることがあります。木材についてしまったカビを、強度や意匠性を損ねないように除去したい方におすすめのカビ取り剤はこちらです。
■ドーバー パストリーゼ77
出典:ドーバー酒造株式会社
中性なので、木製製品を傷めることなくカビを除去することができます。
ただし、フローリングのカビに吹き付けてそのまま放置すると、ワックスが溶けて白く濁り、変色したようになってしまうため、使用後には必ず拭き取りを行ってください。
使い方
- 清潔な布に含ませる
- カビを拭き取る
■日本トリム ジアウォッシュ
出典:日本トリム公式ショッピングサイト「トリムショッピング」
酸性のため、木材を傷めずにカビ除去ができます。長時間浸透させることで、黒カビの色素にも一定の効果があります。
使い方
- 水溶液を作る
- カビ取りしたい箇所に刷毛で塗り込む
- 色素がなくなるまで数時間置きに刷毛で塗り込む
- 色素が落ちたら水拭きする
4-3.皮革のカビ除去におすすめのカビ取り剤
鞄や小物、ソファなどの革製品は、できるだけ色や手触りを損ねずにカビ除去をしたいものです。しかし、革とひと口に言っても、革の原料や加工によっても、革製品の扱い方は異なる物です。
ここでは、一般的な革製品のカビ除去におすすめのカビ取り剤とカビ取り方法をお伝えします。
■エスケー化研 カビ取り&クリーナー
出典:エスケー科研株式会社
ドライクリーニングの技術を応用して開発された皮革専用のカビ取りドライクリーナー。清潔な布に含ませて拭き取ることで、皮革製品のカビを除去します。
カビ取り後は、革の種類に合わせた保護クリーム等でしっかりと栄養を与えてください。
5.カビを再発させる誤ったカビ掃除
正しいカビの除去方法と、カビ取り剤の成分ごとの効果的な使い方について理解したところですが、ここではカビを再発させる誤ったカビ掃除について紹介していきます。
カビ掃除の際に、うっかり以下のようなことをやってはいませんか?
- カビ取り剤をカビに直接吹き付ける
- カビを水拭きする
- カビに掃除機をかける
- カビに直接ドライヤーを当てる
- カビ取り剤を流さない
このようなことをした場合、せっかくカビを除去してもすぐに再発してしまう可能性があります。
何がいけないことなのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1.カビ取り剤をカビに直接吹き付ける
スプレー式のカビ取り剤の場合、カビに直接カビ取り剤を吹きかけて使いたくなるものです。
しかし実はカビ取り剤をカビに直接吹き付けると、その勢いで周囲に胞子を拡散させてしまう危険があるのです。
胞子を拡散させない対策としては、以下の2つが効果的です。
- カビをキッチンペーパーなどで覆った上からカビ取り剤を吹き付ける
- 色のついていないカビの周辺からカビに向かって段階的に吹き付けていく
キッチンペーパーを使った方法は、壁面の液ダレを遅らせて浸透時間を長くする効果もあるので、おすすめです。
5-2.カビを水拭きする
床や壁などの表面についたカビを、水で濡らした雑巾などで拭き取ることもあるでしょう。
しかし実はカビを水拭きすると、周囲にカビを拡散させてしまうことになるのです。
水分のある雑巾で拭き取ることでカビは雑巾に移動し、そこから雑巾で拭いたところに移動します。
カビを拡散させない対策としては、以下の2つが有効です。
- 乾拭きする
- アルコールを含ませた雑巾で拭き取りする
アルコールは揮発しやすいため、十分に湿らせてから使うようにしてください。
5-3.カビに掃除機をかける
床や天井に見つけた表面カビを除去しようと、掃除機の長い柄を使って吸い込みたくなることがあるかもしれません。
しかし掃除機でカビを吸引すると、掃除機の内部がカビの温床になるばかりか、排気から胞子が拡散される場合があります。
排気の出ないタイプの掃除機で、使うたびに毎回掃除機の内部を洗浄したりアルコール除菌したりするのであれば問題はありませんが、当てはまらない場合には、カビを直接掃除機で吸い込むことはやめましょう。
5-4.カビに直接ドライヤーを当てる
「カビは熱に弱い」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。確かにカビは高熱に弱く、40度以上になると生育ができず、50度でほとんどの菌糸が死滅します。
しかし生えているカビに直接ドライヤーを当てると、風で吹き飛ばされたカビの胞子がそこら中に飛び散ってしまうのです。
また一方で、カビは乾燥状態での加熱に対してとても強く、120度以上の熱を加えても60〜120分は耐えられるほどの耐熱性を持っています。
加熱によってカビを除去したい場合は、50度超の熱湯を30分間かけ続けることでカビを死滅させる効果が得られますが、こちらもあまり現実的なやり方とは言えないでしょう。
カビ掃除した後を乾かすためにドライヤーを当てるのは良いですが、カビに直接ドライヤーを用いるのはやめましょう。
5-5.カビ取り剤を流さない
カビ取り剤の効果を引き出すには、十分な浸透時間が必要です。
しかしカビ取り剤を付けた後にそのまま流さないでおくと、残った成分がカビの栄養になってカビが再発しやすい環境を作ります。
塩素系漂白剤や酸素系漂白剤の主成分は、カビと反応してほとんどが生分解されて自然に還るのですが、洗浄成分として含まれている合成界面活性剤は、後に残ってしまいます。
この合成界面活性剤が、カビの生育を助ける栄養になってしまうのです。
せっかくカビ取りをしても、カビ取り剤の成分が残ったままではカビを再発させてしまいます。
カビ取り剤を使ったところは、しっかりと水で洗い流したり十分にふき取りをしてください。
6.カビを再発させないために知っておくべきこと
カビを正しく除去したら、今度はカビを再発させないように予防します。
日常の掃除や習慣に少し取り入れるだけで、カビの発生を防ぐことができるのです。
できてしまったカビを除去するよりもずっと手間がかからず、不快な状態を避けることができます。
まずはカビが生育しやすい、カビの好む環境を理解しておきましょう。
6-1.カビが生育しやすい環境を知ろう
カビは、人間が生きることができる環境であれば、基本的に生育が可能です。
その中でも以下の3つの要素はカビにとって特に好ましい環境のため、どんどん成長して増殖していきます。
- 有機物によるほこりや汚れ
- 湿度が64%〜94%と高いこと
- 温度が25度〜28度と高めであること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
6-1-1.カビの好む栄養:ほこりや汚れ
カビは有機物によるほこりや汚れを好みます。
「有機物」と聞くと少し難しく聞こえますが、その内容は毛、フケ、アカ、爪といったヒトや動物の体から出るものや、すべての食品、油脂、花粉やダニの死骸などを指します。
ほこりや汚れがあるとすぐにカビが繁殖するわけではありませんが、空気中に浮遊しているカビの胞子がそこに付着することで栄養を得て、成長してしまうのです。
風呂場ではよく石けんカスがカビの栄養になると言いますが、これは石けんの原料が油脂だからです。
そしてペットのいる家庭では、人間だけで暮らしているよりも毛や皮膚のカケラが自然に抜け落ちることが多く、カビの生えやすい環境であると言えます。
6-1-2.カビの好む湿度:64%〜94%
カビは湿度が高い環境を好みます。
毎年梅雨の時期になるとカビが一気に繁殖するのは、湿度が上がることで、カビの生育環境が揃ってくるためなのです。
カビが生育できる湿度は64%〜94%ですが、観測地点を東京で見た場合の月ごとの平均湿度は、毎年5月から11月までの半年間、ずっと64%に達しています。
1年のうち約半分はカビがどこでも生育できる湿度になるのですが、空気中の湿度が低い冬場でも、室内で加湿器を利用していたり、外気との温度差で結露などが生じたりする場所はピンポイントで湿度が高くなるため、一年を通してカビが生育しやすい環境が身近にあると言えます。
6-1-3.カビの好む温度:25〜28度
カビがもっとも成長しやすい最適生育温度は25〜28度ですが、実は0〜40度の間であればカビは生き続け、ゆっくりとではありますが成長もします。
夏場にエアコンの設定温度を「25~28度」で設定していたり、冬場でも湯を張った浴室であれば25度を超えたりするため、一年を通してカビにとって最適な生育温度の場所があるのです。
6-2. カビを再発させない3つの予防方法
カビが発生しやすい環境を理解したところで、これを応用することでカビの発生を防止したり、成長を遅くさせることができます。
具体的な方法は、以下の通りです。
- こまめに掃除する
- 換気して湿度を下げる
- 水分を拭き取る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
6-2-1.こまめに掃除する
カビの胞子は空気中を漂い、ほこりや汚れがあるとそこに付着して栄養を得ます。
そのため、まずはほこりや汚れを溜めないことが何より大切です。
そして日常の掃除にひと手間加えて、アルコールを含ませた布で拭き掃除をします。
これにより、たとえカビの胞子が壁や床に付着しても繁殖することを抑えられるため、カビは発生しません。
アルコールに弱い方やアレルギーのある方は「次亜塩素酸水」を薄めて使っても、同様の効果を得られます。
6-2-2.換気して湿度を下げる
カビは湿度の高い環境を好みますが、逆に湿度が60%以下になるとまったく生育できなくなります。
洗面所などのエアコンのない場所では換気扇を回す、クローゼットなど換気扇のない空間では扇風機を回すなどしてこもった空気を入れ替えたり、除湿剤を利用することで湿度を60%以下に押さえましょう。
ただし、除湿剤に溜まった水を放置すると逆効果になるため、こまめに取り替えてください。
6-2-3.水分を拭き取る
入浴後の浴室や、使用後のキッチンや洗面所のシンクは、しっかりと汚れなどを洗い流してから水分を拭き取ります。
汚れを流すだけでもカビ発生を抑える効果はある程度期待できますが、流した後の水を拭き取ることで、さらにカビの好む環境をなくすことができます。
また、冬場は特に温度差による結露でカビの好む多湿な環境ができてしまいます。
結露は放置せず、寝室などでも「起きたらまずは結露を拭き取る」のを習慣にしてしまうと、カビは除去が必要な状態にまで至りません。
水分を拭き取った後にアルコールや次亜塩素酸水などを吹き付けておくと、さらに除菌効果が高まります。
7.それでもカビが再発する場合は業者に相談
正しくカビを除去しても、再発防止のために掃除や除湿をしていてもカビが繰り返すという場合には、業者に依頼して根本的な理由を見つけてもらい、徹底除去してもらいましょう。
正しい対策をしても後を絶たないカビの原因には、以下のようなものが考えられます。
- 壁本体のカビ除去をしないまま壁紙だけを張り替えている
- 壁本体のカビ除去をしないまま壁の塗り直しをしている
- 家の床下にカビの温床がある
このような状態では、市販のカビ取り剤を使って対処療法的にカビ除去を行っても、その場凌ぎにしかなりません。
アレルギーや喘息など、カビを原因とした健康被害を引き起こす危険性が高いため、早めに業者への依頼を検討してください。
国際機関が認めた唯一の除菌工法を持つ特殊清掃の専門家
もしあなたが何度も繰り返すカビにお困りであれば、特殊清掃の専門家集団である株式会社リスクベネフィットにまずはご相談ください。
株式会社リスクベネフィットは、全国の特殊清掃業者をつなぐ業界最大手の専門家集団です。
水害現場の完全復旧や事故現場の特殊清掃に関する3つの特許技術を持ち、あらゆるシーンの特殊清掃に関する知識とノウハウを持っているため、特殊断熱材のある家屋についても安心してお任せいただけます。
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カビを丁寧に除去した後は、空間全体に善玉菌を送り込むことで、悪玉菌を寄せ付けないための防カビ処理も行います。
安心して長く暮らし続けるために、繰り返すカビの除去はリスクベネフィットにお任せください。
まとめ
今回は、正しいカビ除去について解説してきました。
カビを正しく除去するための、基本の5STEPは以下の通りです。
カビを正しく除去する基本の5STEP
- STEP1:換気をする
- STEP2:カビ除去する場所の空間全体の掃除をする
- STEP3:カビを死滅させる
- STEP4:カビの死骸を取り除く
- STEP5:水気を取る
カビを正しく除去するためには、この基本の5STEPに加えて、カビ取りをしたい場所や素材に合わせて、カビ取り剤の成分を使い分けることが大切だとお伝えしました。
カビ取り剤の成分による使い分けは、以下の通りです。
カビ取り剤の成分による使い分けまとめ
塩素系漂白剤
- 水洗いできる場所や物のカビ除去
- 長期間放置した根深いカビの色素除去
- 色落ちの心配がない箇所でのカビの色素除去
酸素系漂白剤
- 水洗いできる場所や物のカビ除去
- 手肌や粘膜が弱い方の行うカビの色素除去
- 色柄物についたカビの色素除去
エチルアルコール系
- 壁や天井、畳などの広い面にできた表面カビの拭き取り
- 掃除後のカビ予防
- 食品のカビ予防
次亜塩素酸水
- 壁や天井、畳などの広い面にできた表面カビの拭き取り
- ペットや小さいお子さん、高齢の方のいる空間のカビ除去
- 食品を扱う場所でのカビ除去
そして、多くの人がついやってしまいがちな、カビを再発させる誤ったカビ掃除についても、理由と合わせてお伝えしました。
やってはいけない誤ったカビ掃除は、以下の通りです。
カビを再発させる誤ったカビ掃除
- カビ取り剤をカビに直接吹き付ける
- カビを水拭きする
- カビに掃除機をかける
- カビにドライヤーを当てる
- カビ取り剤を流さない
カビを正しく除去した後は、カビを再発させないための予防をすることで、カビのない状態をずっと長く続けていくことができます。
カビを再発させないための予防策は、以下の通りです。
カビを再発させないための3つの予防策
- こまめに掃除する
- 換気して湿度を下げる
- 水分を拭き取る
ここでご紹介した正しいカビ除去をしても、どうしてもカビが再発してしまうという場合は、壁本体や床下など、家の構造や土台の部分にカビの温床がある可能性があるため、早めに業者に相談して、どこに根本的な問題があるのかを見つけましょう。
この記事が、あなたのカビとの戦いに終止符を打つ手助けとなりますように。