もうすぐ賃貸のマンションを退去する予定の時、
「壁についた傷の修正で敷金が返ってこないって聞いたけど、大丈夫かな?」
「原状回復トラブルが起きることがあるって聞いたけど、私は該当するのかな?」
と心配になる方も多いと思います。
原状回復トラブルとは、賃貸物件退去時に貸主と借主のあいだで、物件の原状回復費用の負担者や金額について、意見の食い違いがある場合に発生するトラブルです。
独立行政法人の国民生活センターによると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された原状回復トラブルや賃貸物件の敷金についての相談件数は、毎年1万件を超えています。
参考:独立行政法人 国民生活センター「PIO-NETに登録された相談件数の推移」
賃貸物件の原状回復トラブルは多く発生しており、家を貸し借りしている人には誰にでも起こりうるトラブルの一つです。
「大家さんから法外なクリーニング代を請求された」
「敷金が思ったより返ってこなかった」
などといった、金銭トラブルに発展することがあり、話がこじれると弁護士に相談する必要まで発生する大きな問題になりかねないので、注意が必要です。
この記事を最後まで読めば、原状回復トラブルがどのようなものか理解でき、トラブルを避けるために具体的に何をしたら良いかがわかります。
トラブルを避け、大家さんと良好な関係で気持ちよく賃貸物件を退去できるよう、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
Contents
1.原状回復トラブルとは
原状回復トラブルとは、賃貸物件の契約が終了し、借主が退去する際に、家の状態をめぐって物件の貸主と借主の間で起こるトラブルです。
- ペットが壁につけた傷
- 畳の汚れ
- 壁に染み付いたタバコのにおい
など、賃貸物件に入居した際にはなかった物件の傷や汚れ、においについて、借主(入居者)と貸主(大家)のどちらがその修正費用を負担するかや、修正費用の金額をめぐり、トラブルが発生することがあります。
原状回復トラブルの例として、下記のようなケースが実際に発生しています。
- 賃貸マンション退去時、高額なハウスクリーニング代を請求された。
- 亡くなった母の住んでいた賃貸住宅の原状回復費用を請求された。
- 退去時に温水器の取り替え工事費まで請求された。
上記のように、退去時に物件のダメージの修正費用を大家が入居者へ請求し、入居者が納得いかずトラブルになる、というのがよくある原状回復トラブルです。
それでは具体的にどういった原状回復トラブルが発生しているのか、次章で詳しく見ていきましょう。
2.原状回復トラブルの事例
それでは、具体的にどういった原状回復トラブルが発生しているのでしょうか?
国土交通省が定める原状回復ガイドラインには、実際に起きた原状回復トラブルの事例が紹介されています。
実際に発生した原状回復トラブルのケースを知っておくことで、具体的にどういったトラブルが起きてしまう可能性があるのか、イメージをしておくことができます。
ここでは、実際に発生した次の3つのケースを、発生状況、請求額、裁判所の判決とその理由を含め、具体的に見ていきます。
- ケース1. 原状回復費用の一部が入居者の負担となったケース
- ケース2. タバコのヤニ汚れや破れた障子が入居者の過失と認められたケース
- ケース3. 結露のカビは入居者の過失ではないとされたケース
それぞれ状況や請求金額、判決が異なるケースですので、いろんなパターンがあるということを知り、自分の状況とも照らし合わせて確認してみましょう。
2-1. ケース1. 原状回復費用の一部が入居者の負担となったケース
入居者が物件を退去するとき、大家から原状回復修正費用として約46万円もの費用を請求されたケースです。
網戸の張り替えや洗面台の取り替えなど、通常に使用していれば取り替える必要がないものまで請求金額に含まれていたため、入居者は提訴しました。
【ケース詳細】
借主が物件を退去する際、貸主から「契約書に基づく原状回復義務」として、合計46万110円の費用を請求された。
(※敷金51万3000円のうち、46万110円を返金しないという主張。)
貸主が、借主の原状回復義務であると主張した損耗は
- フローリング張り替え(6枚分)
- ふすま片面張り替え
- 畳一畳張り替え
- ビニールクロス(壁紙)張り替え
- ハウスクリーニング
- 網戸張り替え
- 洗面台取り替え
など。
【裁判所の判決】
これに対し、裁判所の判決は
- フローリング張り替え(2枚分)
- ふすま片面張り替え
- ビニールクロス(壁紙)張り替え 半額
合計7万7490円のみを借主が負担することとなった。
参考:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 101ページ
本ケースでは、大家が入居者の責任だとする物件のダメージを一点一点確認し、どちらが負担するべきかが判断されました。
結果として、約46万円全額ではなく、その一部を入居者が原状回復費用として負担することとなりました。
2-2. ケース2. タバコのヤニ汚れや破れた障子が入居者の過失と認められたケース
入居者が物件を退去する際、大家からハウスクリーニング代及び原状回復費用を請求されました。
原状回復費用には、タバコのヤニによる汚れなどの修正が含まれていました。
【ケース詳細】
借主が物件を退去する際、①特約に基づくハウスクリーニング代、および、②一部の物件の損耗を、借主の「通常の使用を超える損耗」として原状回復修正費用、合計26万円の費用を、貸主が入居者へ請求した。
(※敷金27万円のうち、26万円を返金しないという主張。)
【裁判所の判決】
これに対し、裁判所の判決は、
①特約に明記されているため、ハウスクリーニング代は借主が負担
②下記について通常の使用を超えた損耗として、借主が負担
- クリーニングで除去できない、タバコのヤニによる壁の汚れ
- 大きく破れた障子
- 畳のシミと黄ばみ
とすることとした。
参照:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 99ページ
ハウスクリーニング代は、通常であれば大家が負担することが多いですが、今回は特約にハウスクリーニング代の費用は入居者が負担すると明記されていたため、入居者の負担になりました。
こういったことが起きないよう、入居時に契約書や特約をきちんと確認し、その時点で不明点があれば解決しておくのが良いでしょう。
また、タバコのヤニによる汚れなどは、通常の使用を超えた損耗と判断されました。
2-3. ケース3. 結露のカビは入居者の過失ではないとされたケース
入居者が物件を退去する際、物件に残ったカビの修正費用を負担するよう大家に求められたケースです。
【ケース詳細】
借主が物件を途中解約し退去する際、敷金25万円の返還を貸主に求めたところ、物件のカビは入居者の原状回復義務であるとし、貸主は入居者への敷金の返金を拒否した。(一部抜粋)
【裁判所の判決】
これに対し、裁判所の判決は
- カビの原因は結露であり、結露は建物の構造上の問題で発生したものである
- 目に見える部分にはカビはなかったことから、入居者は、結露に気づいた時はきちんと拭き取っていたと考えられる。そのため、入居者は通常の使用をしていたとされる。
- 上記より、結露によるカビの修正費用は貸主が負担
とした。
参照:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 89ページ
今回は物件のカビの状況などから、入居者の故意または過失によるダメージではないと判断されました。
ですが、すべてのカビが入居者の負担にならないというわけではなく、ケースバイケースですので、入居者としてはできるだけ物件を綺麗に保つよう心がけることが重要です。
以上が実際に発生した原状回復トラブルの例となります。
上記のケース例からもわかるように、原状回復費用を借主と貸主のどちらが負担すべきかは、契約書の内容やその時々の状況によって様々です。
3.原状回復トラブルに発展しないために知っておくべきこと
先述した通り、さまざまなパターンの原状回復トラブルが実際に発生しており、状況によって裁判所の判決も異なります。
そもそもなぜトラブルが発生してしまうかというと、多くの人が、原状回復に関する基礎知識を知らないからです。
原状回復には基本の考え方やルールがあり、この基礎知識を知っておくことでトラブルになりそうになった時に建設的な話し合いができ、トラブルへの発展を防ぐことができます。
原状回復の基本知識として知っておくべきことは次の4つです。
- 原状回復義務と経年劣化の違いと費用の負担者
- 貸主の負担になる物件のダメージ
- 借主の負担になる物件のダメージ
- 物件の残存価値に応じた費用負担の決定方法
これらを具体的に理解しておくことで、正しい知識に基づき意見を言えるようになり、トラブルへの発展を防ぐことができます。
3-1. 原状回復義務と経年劣化の違いと費用の負担者
「物件の傷や汚れ、においをめぐってトラブルになるということだけど、どういったケースが誰の責任になるのか決まっていないの?」
と思った方もいるかもしれません。
物件についた傷や汚れは、その種類や原因によって、借主が負担するのか、貸主が負担するのか決まっています。
物件の貸し借りをする際に、貸主(大家)と借主(入居者)のあいだで賃貸契約をかわしますが、借主がその物件を退去する時に、「原状回復義務」というものが発生します。
原状回復義務とは、借主の故意や過失により、物件に傷やにおいなどが残ってしまった場合に、借主が物件をあるべき状態に戻す義務のことです。
一方、借主が物件に住んでいる間、きちんと丁寧に家を使っていたとしても、家は少しずつ傷んでいきます。
使用する時間に比例して発生するこの損耗のことを「経年劣化」と言います。
経年劣化による物件の傷みは、長期間住んでいれば避けられないものなので、基本的には借主ではなく貸主負担となります。
つまり、借主(入居者)が故意や過失により物件に与えてしまった損耗は、原状回復義務として借主がその修正費用を負担しなければならず、一方、経年劣化による損耗は、貸主(大家)が負担することになります。
原状回復義務 | 借主の故意や過失により物件に与えられたダメージ | 借主(入居者)負担 |
---|---|---|
経年劣化 | 長期間住んでいれば避けられない物件の劣化によるダメージ | 貸主(大家)負担 |
基本的にはこの考えに基づき、物件についた傷やにおいの修正費用の負担者が決まります。
3-2. 借主の負担になる物件のダメージ
それでは『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を元に、まずは具体的にどういったケースが借主(入居者)の負担になるのか確認していきましょう。
原状回復トラブルガイドラインによると、借主が負担すべき原状回復は以下のように言及されています。
①「賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの(明らかに 通常の使用による結果とはいえないもの)」
引用:原状回復トラブルガイドライン
②「賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの」
わかりやすく言うと、借主が負担しなければならない原状回復義務は、下記の2つとなります。
- 入居者がわざと与えたダメージ、もしくは入居者のミス(過失)により与えてしまったダメージ(通常どおり使用していたら起こりえないダメージ)
- 元のダメージ自体は経年劣化により仕方がないものだが、その場で清掃・修正すれば拡大が防げたのに、入居者がそれを怠ったために拡大してしまったダメージ
具体的には、下記のような事例があげられます。
場所 | 借主負担 |
---|---|
床 | カーペットに飲み物をこぼしたことによるシミ、カビ |
畳の変色、フローリングの色落ち (賃借人の不注意によるものは借主負担(雨が吹き込んだが窓を閉めなかった、等)) |
|
壁・天井 | 結露の放置により拡大したカビ、シミ |
タバコのヤニ・臭い | |
台所の油汚れ | |
建具(ふすま、柱など) | ペットがつけた柱のキズ・臭い |
設備、その他 | 風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ |
庭に生い茂った雑草 |
参照:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
上記の例からもわかるように、全てのケースが、入居者の故意または過失により発生したダメージ、もしくは入居者が手入れを怠ったために拡大してしまったダメージです。
上記のようなケースの場合、入居者はそのダメージの修正費用を負担しなければなりません。
3-3. 貸主の負担になる物件のダメージ
次は、貸主(大家)の負担になる物件のダメージを見ていきましょう。
ここでご紹介するダメージは、基本的には大家の負担になるため、入居者が費用を支払う必要はありません。
原状回復トラブルガイドラインによると、以下のような場合は貸主が負担すべきとあります。
引用:原状回復トラブルガイドライン
つまり、貸主が負担すべき物件のダメージは、
入居者がきちんと家を管理していても、発生することが避けられなかったダメージ(=経年劣化)
となります。
具体的には、下記のような事例があげられます。
場所 | 貸主負担 |
---|---|
床 | 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡 |
畳の変色、フローリングの色落ち(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの) | |
壁・天井 | テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ |
壁に貼ったポスターや絵の跡 | |
壁に残った画鋲の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの) | |
建具 (ふすま、柱など) | 網戸の張替え(破損等はしていない が次の入居者確保のために行うもの) |
設備、その他 | 物件全体のハウスクリーニング(専門業者による) |
設備機器の故障(機器の寿命によるもの) |
参照:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
上記の例からもわかるように、すべてのケースが、入居者が通常の生活をしていても避けられない、時間の経過とともに発生するダメージです。
こういった場合、入居者には修正費用を支払う必要がありません。
3-4. 物件の残存価値に応じた費用負担の決定方法
ここまでで、基本的な原状回復の費用負担の考え方はおさえました。
しかし、細かい部分を見ていくと、入居者として、どうしても費用の負担をすることに納得いかない場合があるかもしれません。
例えば、入居者がカーペットにコーヒーをこぼしてしまった場合。
この事実のみ聞くと、入居者に過失があるので、入居者がそのクリーニング代を負担しなければならないという判断になるでしょう。
でももしそのカーペットをすでに何年も使っていて、経年劣化により、どちらにしろ近いうちにクリーニングが必要だったら?
経年劣化の場合は大家さんが費用を負担すべきなので、入居者がクリーニング代を全額負担するのはおかしい!と思うこともあるかもしれません。
そんな時のために知っておきたいのが、「残存価値」という考え方。
物件のカーペットや壁紙など、時間が経つとともに経年劣化によりその価値が下がっていくものは、使用年数に対し、どれだけ価値が下がっていくのか決められています。
そのため、この残存価値の考えに基づいて、入居者と大家で修正費用の負担の割合を決めることができます。
例えば、壁紙やカーペットは耐用年数が6年と決められているため、使用年数に対し、入居者が負担しなければならない費用の割合は次のグラフのようになっています。
使用年数が0年の場合、入居者の過失でクリーニング代が発生した場合は、入居者がその費用を100%負担することになります。
そして、使用年数が3年であれば費用の50%、6年であれば費用の負担はゼロとなります。
この使用年数に応じ、修正費用の負担割合が変わってくる残存価値割合を知っておけば、ガイドラインに基づいた説明をし、不当に費用を請求されても、その負担を免れることができます。
4.原状回復トラブルに正しく対処するための5つのポイント
原状回復トラブルを避けるための基礎知識を知っていても、トラブルに巻き込まれてしまうことはあります。
そういった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
トラブルへの具体的な対処法を知っておくことで、不当に高い修正費用を下げることにもつながり、トラブルを最小限に食い止めることができます。
原状回復トラブルに正しく対処するための具体的な方法は次の5つです。
- 原状回復ガイドラインをきちんと理解しておく
- 特約や契約書をきちんと理解しておく
- 自分で修正できるものは自分で修正する
- 原状回復費用の相場を知っておく
- 自分で業者を雇って修正し、高額請求されないようにする
といった行動をとることで、トラブルの発生を防ぐことができます。
それぞれについて、具体的に解説していきます。
4-1. 原状回復ガイドラインをきちんと理解しておく
原状回復トラブルが多く発生したことから、国土交通省は平成10年に『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を定めました。
このガイドラインでは、原状回復に関する次のことを確認することができます。
- 原状回復トラブルの未然防止
- 契約の終了に伴う原状回復義務の考え方
- 賃借人の原状回復義務等負担一覧表
- トラブルの迅速な解決にかかる制度
- 実際の原状回復トラブル事例とその判決
このガイドラインを読めば、原状回復義務の定義や、ケース別の解釈の仕方、実際にトラブルになった場合の流れなど、原状回復について幅広く理解することができます。
ガイドラインをきちんと理解しておくことで、もしトラブルに巻き込まれそうになっても、貸主から何か言われた時に、ガイドラインをもとに説明し、説得することができます。
4-2. 特約や契約書をきちんと理解しておく
通常のケースだと、入居時にサインした契約書にも、原状回復の修正費用の負担者が記載されています。
こちらもしっかり目を通しておくことで、契約書と異なることを言われている場合に気づき、証拠として見せることができます。
また、契約書は基本的には一般的な原状回復義務の範囲までが借主負担となっていることが多いですが、契約書とは別に、特約を交わしている場合もあります。
その特約にて、通常であれば借主負担ではない経年劣化等も借主負担にする、といった内容が書かれており、入居時に気づかずサインをしてしまっている場合もあります。
そういったものを理解せずにこちらの言い分を通そうとしてしまうのもトラブルの原因になりかねませんので、自分が不利になる場合も含めて、客観的に契約書や特約の内容を理解・把握しておきましょう。
4-3. 自分で修正できるものは自分で修正する
原状回復義務の中でも、入居者が自分で直せるような、軽度のダメージもあります。
- 壁にこびりついたにおい
- フローリングの落書き
など、表面上についてしまっているだけのものであれば、ドラッグストアやホームセンターに売っているグッズを使って落とすことも可能です。
一方、借主が自分では直せないような深いダメージもあります。
- 壁に傷がついてしまった場合
- 画鋲のあとが壁に深く残ってしまっている
というようケースは、テープなどを貼れば見た目はカバーできますが、実際のダメージ自体は修正されれていません。
それなのに、修正したということにしてしまうと、後に住む新しい入居者にも迷惑がかかりますし、トラブルになる可能性もあります。
4-4. 原状回復費用の相場を知っておく
原状回復トラブルの事例でよく聞くのが、高額のクリーニング代を請求されたというケース。
しかし、通常のクリーニング費用を知らないと、それが異常な高額請求なのか、相場なのかわかりませんよね。
なので、原状回復費用の相場を知っておくことも重要です。
業者によって大きく異なりますが、おおよその負担金額は下記のようになります。
畳の張り替え | 5,000~20,000円/畳 |
---|---|
カビにより壁の張り替え(漆喰塗り壁の場合) ※壁の種類によって大きく異なる | 8,000~10,000円/㎡ |
部屋の消臭 ※臭いのレベルによる | 1Kのマンションの場合 約4,000~60,000円 |
ペットなどによる柱のキズの修正 | 20,000~40,000円 |
それぞれのダメージに対し、おおよその修正費用がどれくらいかを知っておくことで、不当に高額な請求を防ぐことができます。
4-5. 自分で業者を見繕い、高額請求されないようにする
故意や過失によってついてしまった傷やにおいは基本的に借主の負担で修正をすることになります。
原状回復義務が発生したときの一般的な流れは、貸主側がハウスクリーニングサービスや修正業者を手配し、その費用を、借主に返金するはずであった敷金から差し引く、という形です。
ただ、この請求費用が、通常の業者に頼むよりも異常に高い、といったケースもあります。
そういった場合は、入居者自らでクリーニング業者を手配した方が、費用が安く抑えられる可能性があります。
請求費用が高すぎる、と思ったら、自分で業者に見積もりをとってみると良いでしょう。
ただし、その場合は貸主側に自分で手配しても良いかを確認した上で進めましょう。
勝手な判断で進めてしまうと、更なるトラブルの原因になりかねません。
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入居者が負担しなければならない物件のダメージとして、発生しがちなのがペットによる壁や柱のにおい。
原状回復ガイドラインにも、飼育ペットによるにおいは借主の原状回復義務であると定められており、入居者が必ず修正しなければならないものです。
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5.原状回復トラブルに巻き込まれてしまった時の対処法
上記でご紹介したトラブルへの対処法をとっても、問題がこじれ、解決に至らない可能性はゼロとは言えません。
入居者と貸主の間でトラブルが解決しない場合、正しい相談先に相談しないと、トラブルが長引いてしまい、最終的には入居者がトラブルに疲れ、負担する必要のない費用を支払うという結果につながる可能性があります。
トラブルが大きくなってしまった場合にどこへ相談するべきかを知っておくことで、正しい意見やアドバイスをもらうことができます。
それにより、正しいプロセスに乗っ取ってトラブルを解決へ繋げることができます。
原状回復トラブルが解決しない時の相談先は2つあります。
- 消費者センターに相談する
- 大きな問題になりそうな場合は、弁護士に相談する
それぞれについて、具体的に解説します。
5-1. 消費者センターに相談する
トラブルが発生してしまった場合、まずは消費者センターに相談しましょう。
消費者センターとは、日常生活において商品やサービスなどを消費した時に発生する疑問や悩み事について、全般的に相談に乗ってくれる行政機関です。
- 食品に関する相談例「スーパーで買った弁当にアレルギー表示がなかった 」
- 旅行に関する相談例「高速バスのチケット、紛失したら再発行してくれない? 」
- 住居に関する相談例「ステンレス製シンクがさびてしまった 」
など、生活に関するさまざまな疑問に答えてくれる組織です。
消費者センターでは、賃貸物件退去時の問題の相談にも乗ってくれます。
相談をすることで、適切なアドバイスや必要な情報を得ることができ、トラブル解決の助けになります。
全国からの原状回復トラブルに関する悩みは、消費者ホットラインで相談することができます。
また、各都道府県にも消費者生活センターがありますので、お住まいの地域の消費者生活センターを探して相談するのも良いでしょう。
物件の問題に関しては、現在は取締法などがなく、消費者センターがトラブルに対し判断を下して、それに当該者を従わせることまではできません。
しかし、消費者センターはトラブル解決へのアドバイスや斡旋、情報提供などをしてくれます。
そのため、裁判を起こすよりもまずは消費者センターからのアドバイスを仰ぐのが、費用を抑えてトラブル解決に繋げるのに良い手段です。
5-2. 大きな問題になりそうな場合は、弁護士に相談する
消費者センターに相談しても解決しないトラブルは、弁護士に相談することになります。
自分で解決すべく対策をとってもトラブルが解決しない場合は、トラブル解決のプロの手助けを借りるのが最終手段となります。
- 不当なクリーニング等、納得いかない費用の請求があり、貸主との話し合いが平行線
- 貸主側から少額訴訟を起こされた
といった状況になってしまったら、弁護士に相談するのが良いでしょう。
弁護士や法律相談所を探すには、次のような方法があります。
- 友人や知人に信頼できる弁護士を紹介してもらう
- 弁護士の法律相談センターから、相談先を探す
- 日本司法支援センター 法テラスへ無料で法律相談をする(経済的に困っている人対象のため、審査あり)
弁護士に相談するに当たって注意することは、相談時間を有効に活用することです。
弁護士の相談料は「30分5000円」のように、時間で区切られ、高額です。
そのため、相談する際は、必要な情報や書類をまとめ、簡潔に説明できるようにしておきましょう。
さまざまな対策をとってもどうしても問題が解決しない場合は、弁護士に相談することで、トラブルを解決へと導く手助けとなります。
6.まとめ
原状回復トラブルとは、賃貸物件退去時に、貸主と借主の間で、原状回復修正費用の負担者や金額についての考えに相違がある時に発生するトラブルのことです。
原状回復を誰が負担するかは、国土交通省の原状回復ガイドラインに基本的な事例が記載されています。
基本的にはこのガイドラインに乗っ取り、費用の負担者及び金額が決められますが、それでもトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
原状回復トラブルが発生した場合、スムーズに対処し解決へ導くために、次の5つの方法をおすすめします。
- 原状回復ガイドラインをきちんと理解しておく
- 特約や契約書をきちんと理解しておく
- 自分で修正できるものは自分で修正する
- 原状回復費用の相場を知っておく
- 自分で業者を雇って修正し、高額請求されないようにする
それでもトラブルが解決しない場合は、下記の2つの解決方法で、トラブルに決着をつけましょう。
- 消費者センターに相談する
- 大きな問題になりそうな場合は、弁護士に相談する
トラブルに巻き込まれないようにするためには、正しい知識をつけておくことがとても重要です。
退去時には契約書や特約などを再度確認し、きちんと内容を理解しておきましょう。
本記事でご紹介した内容が、スムーズに問題なく賃貸物件を退去できる助けになれば幸いです。